4年ぶりに再訪した竹崎砲台でしたが、一番の目的は電燈所を探すことでした。
竹崎砲台の記事はこちら。
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対馬要塞探訪57 ~竹崎砲台 その1(観測所/砲側庫) -書換-
対馬要塞探訪59 ~竹崎砲台 その3(竹崎浦の補助建設物)-書換-
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電燈所は射光機(探照灯)による夜間時の警戒と加農砲の射撃補助が任務でした。要塞砲台に付属設備として構築され、竹崎砲台にも「砲台東南方高地」に設けられたことが史料に書かれています。そこで戦後の空中写真を見てみると、“砲台東南方”に怪しい影が写っていることを確認しました。
1947年の空撮で“怪しい影”を見てみます。
この影の正体を電燈所と推測して現地を探索したところ、破壊されていましたが射光機の掩燈所と照明座の痕跡を発見しました。
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竹崎電燈所の簡単な履歴です。
◆起工:昭和12年(1937)6月13日
◆竣工:昭和13年(1938)9月15日
◆装備:射光機1(九六型一米五十糎遊動式)、発電所1
150糎探照灯 (電気工学 19(4)(206)より引用・抜粋)
見取図です。
海岸の兵舎・発電所施設に下る軍道から分岐して東南方に向かう交通路があります。この道はヤブっていて歩き難いですが、道なりに進むと高い石垣の遺構が現れました。石垣に挟まれた部分は大きく掘り込まれており、無数のコンクリート瓦礫が転がっていましたので、この場所は掩燈所だと推測するに至りました。
掩燈所からさらに道(誘導路)が東に伸びていましたので辿ったところ、石積みされた掩体に辿り着きました。破壊の痕が激しいですが周辺に方向柱が複数転がっていましたので、この掩体を照明座と推測しました。
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軍道から分岐した交通路の起点です。
なんとなく道筋が残る交通路に平行して塹壕のような凹みがあります。凹みは掩燈所を経て照明座まで達していますが、これを塹壕(交通壕)とするにはちょっと違和感を感じますので、電力ケーブルを埋設した溝だったのではないかと考えました。
なお交通路の起点には孔が開いており、覗いてみると土管が通っていました。土管内にはケーブルを通していた可能性があります。
塹壕のような凹みにはケーブルが埋設されており、戦後に掘り起こされて溝だけが残った...と考えています。
土管です。
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それでは交通路を進みます。
交通路の起点から約10分で石垣が現れました。ここが掩燈所と推測する場所です。
砲台敷地内で見た観測所&砲側庫の石垣と同じく、上部に偽装の石がオブジェのように置かれています。
石垣を辿って奥に進むと掘り込まれた広いスペースがあり、地面にはたくさんのコンクリート瓦礫が転がっています。
瓦礫が散乱。
一番奥の壁。
最初の石垣とは別に、反対側にも石垣が設けられています。
他地域に現存する掩燈所を見ると石垣で挟んで造られているのが特徴ですが、この場所には右と左の石垣に挟まれるように掘り込まれた空間が確認できます。おそらくこの空間に掩燈所が存在したと思われますが、戦後に破壊されてしまったため原型を留めていません。
参考までに対馬要塞内の2つの掩燈所を掲載します。
(参考)豆酘崎電燈所
(参考)棹崎電燈所
竹崎電燈所の掩燈所はこんな感じだったはず。
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掩燈所から東に向けて道筋が見えるので進みますが、この道は車輪付き射光機を照明座まで移動させる誘導路として使われたと思われます。
誘導路と並行してケーブル溝も続いています。
照明座の入口が見えてきました。
入口からその奥にかけて石積みが確認できます。
こちらが照明座ですが、内壁の石積みは取り除かれて一部しか残っていません。
照明座を見下ろしていますが、なんとなく円形が確認できます。
写真後方に照明座の外壁が見えますが、照明座の右斜め前にあたる位置にコンクリート柱が倒されています。
左斜め前にも似たようなコンクリート柱が転がっています。って言うか照明座周辺も破壊が激しいですね。米軍さん、そこまで壊さんでも...。
3本目のコンクリート柱。照明座の周囲を囲んでいたのかな。
ケーブル溝は照明座右側で終点です。
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倒されたコンクリート柱の右横に方向柱が抜かれて放置されています。
方向柱には「沖ノ島方向」と刻まれています。
方向柱は射光機を照射する際の方向を示す標柱で、照明座の外周に埋設されます。ココでは4本の方向柱がを確認しましたが、すべて掘り起こされて転がっています。
2本目の「壱岐西端方向」。
3本目の「壱岐東端方向」。
4本目の「黒島東端方向」。
地図で示すとこんな感じになります。
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照明座の近くに何かの部品が転がっていました。
射光機の一部だったら嬉しいヤツです。
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照明座前方から右側にかけて深い溝がありますが、おそらく自然にできた亀裂だと思われます。
照明座の前に出てみました。
崖が怖いですが、照明座前方あるあるですね。
来る時は交通路→誘導路を歩いたので、帰りはケーブル溝を辿って帰ります。
以上、竹崎電燈所でした。
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[参考文献]
「現代本邦築城史」第二部 第二巻 對馬要塞築城史(国立国会図書館デジタルコレクション所蔵)
「日本築城史-近代の沿岸築城と要塞」(浄法寺朝美著、原書房)
「対馬砲台あるき放題~対馬要塞まるわかりガイドブック」(対馬観光物産協会)
「対馬要塞物語2」(対馬要塞物語編集委員会)
「対馬要塞竹崎砲台備砲工事竣功図書提出の件」(Ref No.C01004455500 国立公文書館アジア歴史資料センター)
「国土地理院地図(電子国土web)」を加工して使用