満願寺小学校の廃校 ② | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
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<2003年月刊致知10月号より48回にわたり連載された「三農七陶」から抜粋します>


・・・前回つづき



この村の消防団も50代が中心になり、あと10年もすると60代が中心になるかもしれない。どうして こんなに子供たちが少なくなったのだろう。

私の顎髭(あごひげ)は長くなり、古い毛が抜けない限り 新しい髭が生えてこない。このように人間も老人が多くなると、生命体は次の種を育てようとしないかの如く見える。この村も年寄りばかりで 赤ちゃんを見る事がなくなってしまった。保育園も小学校も中学校も子供の数が激減し、代わりに老人センターと老人病院が増えてゆく。


少し上の年輩者の人達の兄弟は 10人とか11人とかいう方がたくさんいる。私の代は5人から6人が普通だった。インドや難民の住む所や貧しい土地にゆくと、どこも子供たちが「わんさ」と走り回っている。そこは大体 平均寿命が40代なのだ。このように老人が増えると子供が生まれない。


私は長い断食の経験があるが、私と共に断食した人で、男性が長断食すると 子供は男の子が生まれ、女性が長断食すると 女の子が生まれる。また なかなか子に恵まれない若い夫婦が断食すると、弱い方か 長断食した方の性の子が生まれる。


昔 幼いころ肺病が流行り「あそこは奥さんが肺病になったから女の子が生まれるぞ」と大人がささやいていたのを覚えている。

また近頃 虫にやられて松枯れが激しいが、松が枯れる前年には 何とか種を残さんぞとばかりに 松が実を「わんさ」とつける。あるリンゴ農家に聞いた事がある。古くなって 実をつけなくなったリンゴの皮を大きく剝ぐと あわてて実をつけるという。


この世の生命体は 安全で数が多くなると新しい実をつけず、また失う方(少なくなる性の方)を補おうとする法則があるように見受けられる。また 私の家の近くを流れる筑後川では 洗剤やダイオキシンの影響で川魚はメスばかりになり、そのメスも卵が不全の魚が多くなっている。魚の数も激減している。


さらに もう一つ思い当たるのは 肉食動物が増えると、肉食動物は子供を産まなくなるという事実だ。動物界において 肉食動物の数は到底草食動物にかなわない。10倍から20倍 草食動物の方が繁殖能力は高い。それが当然の自然の掟である。

肉食動物が増えると それは自分たちの絶滅を意味する。だから肉を多食する白人種の人達は 野菜中心のアジア人の数に到底及ばない。


近年 日本人や韓国人が肉を多食し始め 繁殖能力が落ち初めている事実を見てもわかるだろう。政府がいくら子供をたくさん産む政策をとっても無駄のようだ。


校庭の風は渦を巻いて砂をすくい 走り去って戻ってこない。



(月刊致知2004年6月号)



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