赤い有明海 | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
北川八郎の日々の想いや情報を発信してまいります。

「光る足」

1999年2月から2000年12月まで百回にわたって毎週火曜日 熊本日日新聞のコラム「ワラブギ談義」の原本を10年ぶりに開きました。当時53才~55才。当時から伝えていることは変わりなく その心を読み返したく連載します。


1999・12・17 no46


ある秋の日 熊本市内に向かってミルクロードを下った夕、西の空が真っ赤に燃えていた。視線を上げると高い位置にキラキラ光る赤い大蛇の腹のようなものが見えた。海だった。夕日に映える有明の海は蛇の腹のように赤く 空の高い位置で帯状に光っていた。


年に一度か二度 この幸運の景色に出合う。この景色を見ると天草の友人を思い出す。天草を愛し 天草をもり立てようと努力している友である。彼の素晴らしさは素直な心だ。素直な人は人生のチャンスが増えてくる。「面倒くさい」という態度からは人生の変革は訪れないだろう。


時々 子供たちとタイタニック遊びをする。楽しい遊びだ。すぐ少年になれる者だけがこの楽しみを味わえる。それを大人とやってみる。どこまでも続くススキ野で両手を広げ 風の匂いと遠い景色に身を浸してゆく。だれもが少年になれる。時々こうして純真な時を持ってみるのだ。


天草の友人が言う。高校の時ある友人と仲たがいをし 毎日その友人を心でののしっていた。一方で その分苦しみ学校へ行くのがつらかったという。その彼を見て母親が「毎日何回も友人が幸せになるように唱えなさい」と忠告してくれた。彼は学校へ行く前ーごめん 君のために祈りますーと続けていると気持ちが柔らかくなった。


そんな朝 校門でバッタリとその友と出会ったとき 敵対していた友はにっこりとした。それからは前にも増して大親友になったという。心からの祈りはオーラの広がりとなって二人を同じ色で包むらしい。人のためにひたすら祈ってみると解決することは多い。氷は必ず溶ける。