稲刈りを終えて | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
北川八郎の日々の想いや情報を発信してまいります。


「光る足」

1999年2月から2000年12月まで百回にわたって毎週火曜日 熊本日日新聞のコラム「ワラブギ談義」の原本を10年ぶりに開きました。当時53才~55才。当時から伝えていることは変わりなく その心を読み返したく連載します。


1999・12・10 no45


今年もお米がおいしい。

東京にいた時 お米がこんなにおいしいとは知らなかった。当時お米は単にエサだった。食べることを楽しんでいなかった。お米がおいしくなかった。お米よりおいしいおかずと料理に心を奪われていた。味付られた料理をおいしいと思っていたのだ。熊本に住んで初めてお米がおいしいと知った。


初めておいしいお米を食べた時 昔の人はこんなにおいしいお米を食べていたのかと驚かされ うらやましく思った。私たちの田は谷の奥にあり ヤマメが紛れ込んでくるような不便な田だ。筑後川の一番水を使う 人家のない山谷にある。


今年の稲は倒れなかった。台風18号の強風の中 しっかりと立っていた。周りの田の多くは稲が倒れていた。三人の仲間で作る反あたり六俵もとれない冷たい水の山の田だけども・・・。収穫のほとんどはバス会社に勤めていた穴井さんの力によるものだ。私は口だけ 申し訳ありません。感謝。


46歳まで田や稲のことは何も知らなかった。日本の農業がおかしくなりつつあることを感じて田を始めた。すぐに台風19号と今年の18号に見舞われた。これらの台風は私たちが作ったようなものだ。過去便利な生活を楽しませてもらったツケが回ってきている。


これからも もっと大きな台風が生まれるだろう。近くの阿弥陀杉も千年にして倒れてしまった。それにしても熊本のお米はおかずがいらない。みそ汁と少しののりで十分食が進む。水さん 土さん 虫さん 鳥さん 稲さん 穴井さんありがとう。心から感謝!