二本の矢 | 満願寺窯 北川八郎

満願寺窯 北川八郎

九州、熊本は阿蘇山の麓、小国町、満願寺窯からお送りするブログです。
北川八郎の日々の想いや情報を発信してまいります。

「光る足」

1999年2月から2000年12月まで百回にわたって毎週火曜日 熊本日日新聞のコラム「ワラブギ談義」の原本を10年ぶりに開きました。当時53才~55才。当時から伝えていることは変わりなく その心を読み返したく連載します。


1999・12・3 no44


釈尊が言う。投げた矢は二つ返ってくる。私たちが人に投げた一本の矢は二本となり私たちの体に刺さってゆく。


私たちが怒ると一本は相手に飛び 一本は自分の心に刺さってゆく。怒った相手に飛んだ矢は二倍になって返される。私たちが口にする言葉や 起こる感情はまず自分の耳と心に入る。善きことも悪しきことも 一つは相手に刺さり二倍の力をもって投げ返される。


自分の耳が一番自分の口に近い。どんな言葉も まず自分の耳に届き次に相手に飛んでゆく。人を叱ったつもりが 自分自身がいつまでもイライラしてしまうだろう。怒り続けると自分が壊れる。イライラし相手を責め続けると自分の心がズタズタになる。


何度も言う。善きことも悪しきことも最初に効くのは自分自身である。善き言葉が大切になる。すべて私たちの体と心の両方に影響してゆく。毎日 人を責めてはいけない。毎日 人を裁いてはいけない。毎日 人を評価してはいけない。許し 認める練習をしよう。光を送り その人に善きことを祈ろう。


もし その人に正面から光を送れないならば その人の背をイメージし「光あれ」と許してみよう。きっといつか光は届く。自分の口から出る言葉は 相手よりもまず私たちの心に深く突き刺さることを知っておこう。それらが返されるのは 私たちの勢力が衰えた時 人生の下り坂にきた時だ。順調な時 平和な時に人のために生きてみよう。きっと光に満ちた二本の矢が返ってくるだろう。