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以前、お寺の住職をしている義理の弟に「八正道」という言葉を
教えてもらったことがあります。
仏教の世界では、人が煩悩をなくすためには8つの道があり
それを「八正道」というのだそうです。
ちなみに煩悩という言葉を今改めてwikipediaで調べてみると
「自己を中心に据えて思考したときに起きる数々の心の働き」
という解説がありました。
この「八正道」の一番最初に「正見」という教えがあるそうです。
その字のごとく、「正しいものの見方をすること」です。
ダウン症の娘が生まれてから、
私は自分がどれほど「正見」を意識せずに生きてきたか、
そしていかに「正見」が難しいことかを痛感しています。
つい最近、ご縁をいただき、知り合う事ができた先輩ママさんの
お嬢さんが詩集を発売されました。
お嬢さんは村上有香さんと言い、ダウン症があります。
現在20歳（もう少しで21歳）で介護スタッフとしてお仕事を
されています。
お母さまからお嬢さんの詩集が発売されると聞いた時、
最初は驚いてしまいました。
ダウン症があると言葉の発達が難しいと言われているからです。
それなのに詩集を出されるという。
また、その詩集は伊藤美憂さんという有香さんのお友達（同じダウン症をもつ同級生）が
挿絵を挿入しての共同作品だという。
詩集の出版が決まった際に、
お母さまが表紙は美憂さんの絵が良いと希望されたそうです。
それは「お友達だから」などではなく、
元々美憂さんの絵が商品にも利用されるほどの腕前で
大ファンだったからとのこと。
そこで打診をされたところ、
作品集の絵に感銘を受けられた出版社側が、
表紙だけでなく本文中にも挿絵として掲載することを
決定されたそうです。
そうやって出来上がったのが今回の詩集です。
『弱いはつよい』
文：村上有香 絵：伊藤美憂
（上記2点の画像は、出版社「風鳴舎」様ツイッターより
許諾のもと掲載しております。）
https://mobile.twitter.com/fuumeisha
私はダウン症の娘を育ててきて、娘が1歳くらいになった時に
「世界一の不器用さん」というあだ名をつけたことがあります。
それはやりたくても身体が動かない。
わかっているのに表現できない。
つまり、本人の心の中にあることが、その他大勢の人たちのように
表出ができないのです。
わかっていないのではなく、
表出ができないだけだと。
その表出のために、娘は赤ちゃんの時から「話すこと」
「書くこと」「社会性」云々、将来につながるスキルを培うために
がんばって訓練をしています。これを療育と言います。
はじめて上述のお二人の詩集にふれたとき、
私はお会いしたこともないお二人を少し知ったように思えました。
それはこの作品はお二人の「表出」であるから。
そして、お二人の表出の裏側にある愛情が伝わってきました。
お母さまはもちろんのこと、ご家族、地域の方々、
教職員の方々、などなどです。
現在、お二人は自分にはダウン症があることを受け止めた上で、
高い自己肯定感とともに、自分の強みを武器に懸命に明るく
生きているとお母さまはおっしゃっていました。
特に知的障がいを持つ方々は、
不器用がゆえに傍目には分かりにくくても、
内面には豊かな美しい世界を持っています。
今日本では、お二人は社会的に弱者と呼ばれる立場に
あるかもしれませんが、
多くの方から愛情を受けたら、こんなにも強く、幸せに
生きられる事をぜひ多くの方に知っていただきたいと思いました。
有香さんのお母さまは、有香さんをお育てになる上で
知育につながるおもちゃや教材をずっと手作りされてきました。
私には真似できない努力だと思います。
きっと「ダウン症だから」とかではなく、
自分の愛する娘を大事に大事に思い、
ただただ大事に大事に育ててこられたのだと思います。
私はこのお二人を通して、なおさら「正見」することの
重要性を感じました。
知的障がい者の心の中と表出。
私はまだまだ人の心の中までを正しく認識することが
できないなと思います。
左が有香さんで、右が美憂さんです。
お二人の心の中にふれることができる作品はこちらです。
お母さまのブログで、アマゾン速報で現代詩集部門の
売れ筋ランキング1位を獲得されたこと、
詩集のチラシ、あとは実際の有香さんがプロモーションのために
お話されている動画が紹介されています。
こちらです。ぜひご覧になってください。
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