実はこの作品には★「弦」が4本張ってあります・・・
★ウクレレは4弦の楽器です。アコースティックギターは6弦なので、それと比べると覚える弦が少ない分、楽な楽器ですが、音階が特徴的なのです。親指で引き下ろすと④➡③➡②➡①となり、音階でいくとG(ソ)➡C(ド)➡E(ミ)➡A(ラ)となります。不思議なのは4弦のG(ソ)は1弦のA(ラ)に近いソの音になります。つまり★3弦が一番低い音になるのです。
4弦が高い音の理由は①ハワイ生まれのウクレレなので、第4弦を低い音にするには、金属製の弦が必要なのですが、ハワイではそれが手に入らなかった(他の弦はナイロン製)。②波打ち際で演奏する機会が多かったので、低い音を奏でても聞こえないから。★ということでウクレレ独特の高めな陽気な音になったらしい。
★ベースのご先祖コントラバス(ウッドベース・ダブルベース)、オーケストラの弦楽器はバス・チェロ・ビオラ・ヴァイオリンと、全て4弦です。チェロ・ビオラ・ヴァイオリンは弦間を「5度」でチューニングします。バスだけは「4度」でチューニングします。コントラバスとチェロ・ビオラ・ヴァイオリンは「族」が違うのです。バスは「ビオル族(4度+3度)→ギターの起源にもなっている?」、チェロ・ビオラ・ヴァイオリンは「ヴァイオリン族(完全5度)」と総称されます。なぜバスだけが4度調律なのか。それは★運指の問題のようです。バスの音域で完全5度チューニングをすると、いわゆる音階(ドレミファソラシド)を弾くときに左手が弦と垂直方向に移動するだけではなく、水平方向への移動を強いられます。音域が低ければ低いほど運指の幅が広がります。それでは演奏性が極めて悪いということが原因で、完全5度ではチェロの低域が事実上の限界で、ゆえにヴァイオリン族にはバス音域を担当する楽器がなかった。そういう消極的な理由で、唯一コントラバスだけがビオル族からオーケストラ楽器として採用された、ということらしい。コントラバスの前身であるビオローネを含め、ビオル族は元来弦の数が多く(5~7本)、ヴァイオリン族は4本弦。なぜかというと、オーケストラでの★アルコ(弓弾き)に原因があります。ビオル族もアルコが基本ですが、小音量でやさしく弾くので多弦でも問題はなかったのですが、ヴァイオリン族はオーケストラで弓を弦に強く当てて弾かないと管楽器の音量に負けてしまう。ところが、弓を強く弦に当てると、多弦だと隣の弦まで弾いてしまう。だからヴァイオリン族は4弦になったという説が有力です。そのプロセスの中で、ビオル族の低音楽器ビオローネは、いわば4本弦へのデチューンを受けてコントラバスという4弦の楽器に変化していった・・・
これまでふれてこなかった★「調べ」について・・・
★古語辞典「しらべる」(古形は「しらぶ」)平安時代以前は「楽器を調律する」「楽器を鳴らす」と言う用法がほとんどで、「調査する」という意味での使用は、中世以降にならないと出てきません。「調ぶ」「調べ」は、「楽器の調子を整える」という意味だったようで「調子を整える」という意味から「いろいろなことを照らし合わせて吟味する」→「調査する」という意味になったようです。
★漢字「調」は、「しらべる」よりも「ととのう」「ととのえる」というニュアンスが強いようです。漢和辞典では、「ととのう」「全体のバランス」という意味、そこから派生した意味の方が多く掲載されています。「調」を含む熟語(調整・調理・調和・調度品…)など、「ととのう」「ととのえる」という意味です。「調査」と言う熟語では、「色々材料を吟味・判定する」という意味は、むしろ漢字「査」に由来するようです。大昔「調」という漢字に出会って★「調=ととのう」と言う意味が、ヤマトコトバの「しらぶ」「しらべ」に一致すると考え、「調」の訓読みに「しらぶ」「しらべ」を当てたようです。
★「整う」とは、「きちんとした状態になる」という意味の言葉です。望んだような、きれいに調和の取れた状態になることを指します。「引き出しの中身が整う」「足並みが整う」「列が美しく整う」のように使われます。「整える」は動詞形で、「きちんとした状態にする」「乱れたものをなおす」「整理する」という意味合いになります。この場合は、「陣形を整える」「部屋をきちんと整える」「服装を整える」のように使われます。「整う(整える)」の「整」という字は、「たきぎを束ねた」象形と「わける」を表す象形、「まっすぐ」を表す象形から成っています。ここから「(分けたり束ねたりして)ととのえる」を意味する漢字として成り立ちました。
★「調う」とは、「必要なものがそろう」もしくは「話し合いなどがまとまる」という意味の言葉です。「書類が調う」「日程が調う」「縁談が調う」「協議が調う」のように使われます。「調える」はこの動詞形で、「必要なものをそろえる」「話し合いなどをまとめる」という意味を持ちます。使い方は、「食事の用意を調える」「スケジュールを調える」のようになります。また、「調う(調える)」は演奏のリズムなどについても使われ、「拍子が調う」「呼吸を調える」のように用います。「調」の字は、「言う」と「ゆきわたる」を表す象形から成っています。そこから「(言葉に神経が)ゆきとどく」「ととのう」を意味する漢字として成り立ちました。
平面作品(絵画)から多面作品(オブジェ)への移行を後押ししてくれたのが、亡き母が残してくれた「水墨画材、表装材料」。とりわけ襖裏に用いられる?布に漉かれたミドリ色の紙に強く惹かれ、多くの作品に使用、古書の修復などにも重宝して残り少なくなってしまった。しかし、どこで売っているのやら?そもそも何という紙なのか?とにかく紙屋さん(表具店)に行くしかない。数軒まわって辿り着いたのが「近安渡辺商店」★アメリカ村に行くたびに、貫禄ある老舗だなあと眺めていたのでした。
★「絹絓(しけ)」表装生地やふすま紙に用いる絹織物で作成された生地の総称。「絹物のふすま紙といえば、絹しけ」といわれるほど歴史のある紙です。経糸(たていと)には節のない生糸を、緯糸(よこいと)には節のある玉糸を用いることで、絹の持つ光沢を生かし、独特のムラを表現するふすま紙です。絹には美しさだけではなく、通気性、調湿効果や脱臭など、さまざまな室内環境を整える効果もあります。
・・・わけのわからない説明・質問にも丁寧に対応してくださり、とうとうお目当ての紙に辿り着くことができたのです。「正絹」だと高価なので「新絓」(絹ではない)をすすめてくださり~今回の作品にも使用しています。
★「近安渡辺商店」
631-0065奈良市鳥見町一丁目15番地の13/080-9604-7506
https://www.kinyasu.co.jp/
令和元年7月5日に★心斎橋店は閉店しました。奈良店は営業形態が変わりご来店は予約制になりました、ご来店の際は事前にご予約下さい。
私が単純な平面作品(絵画)から現在の多面作品(オブジェ)に移行するきっかけは★「室礼」という言葉に深く心酔したからです。
https://byoubu-ya.com/shitsurai-room-design-history
★室礼(しつらい)は、鋪設とも書き、建具や調度を配置して、★生活の場または儀式の場を作ることです。室礼は、主に寝殿造において、★柱だけの開放的な空間を「御簾」「几帳」「壁代」などのカーテン類、屏風や衝立などのパネル類、押障子や鳥居障子などの取り外し可能な建具などで仕切り、必要な場所に畳や二階棚などの家具・調度を配置
して、日常生活、または儀式の場を作ることです。「室礼」という言葉が生まれた背景には、奈良時代に伝来した木造建築技術と仏教の影響が深く関係しています。当時、寺院建築をベースとした大空間の住居(寝殿造り)が主流となり、広大な「ワンルーム」をどのように使い分けるかが生活上の大きな課題でした。単なる家具の配置ではなく、季節や行事、来客や目的に合わせて空間を装飾・演出する★技術をさします。屏風や襖、衝立などの障壁具を適切に配置し、飾り棚や花器、掛け軸などで時節を★表現する。こうしたトータルコーディネートこそが、「しつらい」の大きな特徴です。
★ 屏風(びょうぶ)★折りたたみ式の間仕切りで、絵巻物から発展した絵画作品としての側面も大きい存在。日常のしつらえから、美術工芸品としての鑑賞まで、幅広い役割を担ってきました。
★襖(ふすま)★紙や布を貼った引き戸で、部屋の間仕切りや押入れの扉として用いられます。和紙に描かれた襖絵(ふすまえ)は、日本画の重要なジャンルの一つとして発展してきました。
★障子(しょうじ)木の格子に半透明の和紙を貼ったもので、★光を取り入れつつ風を防ぐ役割を果たします。室内に柔らかい明かりを導く障子は、風情ある日本家屋の象徴です。
★「松柏美術館」近くにあるレストランを探して、偶然★「井上博道記念館」を発見!多くの素晴らしい写真がある中・・・★「コロタイプ」の作品に強く心惹かれた。
631-003 奈良市中登美ケ丘2丁目1984-31/0742-43-9111
https://www.asa-ban.com/him/
大和路を撮った写真家、井上博道(1931~2012)記念館が2022年6月28日、奈良市中登美ケ丘2丁目に開館、10万点に上る写真から妻の千鶴さん(75)が約20点を厳選した企画展が開かれた。記念館は住宅街にある2階建てで、晩年の約10年間を過ごした自宅兼写真事務所を改装した。木の香りが広がる部屋で軽食を取ることもできる。★「五感で満たされる場にしたい」と千鶴さん。2階には博道氏の作業場や執務室が残る。博道氏は兵庫県香住町(現香美町)生まれ。産経新聞のカメラマンとして司馬遼太郎が提案した連載「美の脇役」を担当した。1966年にフリーに転身し、奈良や京都で文化財や自然風景を撮った。見過ごされがちな細部を★虫の目で捉えたことで知られる。博道氏の死後、半世紀にわたって撮られた作品は死蔵状態に。千鶴さんはフィルムの保存にあたるうちに展示への思いを膨らませていったという。2021年11月から工事を始め、没後10年目を迎えた博道氏の誕生日である6月28日の開館に間に合わせた。「博道が風景と文化財の関わりを考えながら撮った写真を、意味ある形でご覧いただきたい。奈良の原風景を★後世につなぎたいという意思表示でもあります」
★コロタイプ(collotype)は製版方法の一種で、平版の一種である。実用化された写真製版としては最も古いもので、かつては絵葉書やアルバム、複製などに広く使われたが、現在では特殊な目的以外では使われていない。ガラス板にゼラチンと感光液を塗布して加熱することによって版面に小じわ(レチキュレーション)を作る。それに写真ネガを密着して露光すると、光のあたった部分のゼラチンが硬化して水をはじくようになる。版面を湿らせると水を受けつける部分が膨張してインクがつかなくなるため、硬化した部分にだけインクが付着する。インク付着量の大小によって連続階調が表現され、オフセット印刷のような網点を持たないことを特徴とする。欠点は印刷速度が遅いこと、耐刷力がないこと、複版する手段がないこと、多色刷りが難しいことなどで、このために現在ではほとんど行われていない。