・・・近くに用事があって、大好きな「ハーベストの丘」に立ち寄り、広い駐車場をくまなく観察してみました。
★葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり/作:釈迢空(折口信夫)
『海やまのあひだ』大正14年 (1925年) 刊行。この歌は大正13年 (1924年) に詠まれた歌です。連作「大正十三年 -五十二首- 島山」の冒頭にある、非常に有名な歌です。
●現代語訳「あざやかな赤紫の葛の花が 踏みにじられて、鮮烈な色があたり一面に広がっている。ああ、この山道を自分より先に通った人がいるのだ」
●『折口信夫全集31(自歌自註・短歌啓蒙歌評)』著:折口信夫(1997年刊行) より
「壱岐は島でありながら、伝説の上では神代の一国である。それだけに海としても個性があり、山としても自ら山として整うた景色が見られた。蜑の村に対して、これは陸地・耕地・丘陵の側を眺めたものが集まつてゐる。山道を歩いてゐると、勿論人には行き逢はない。併し、さういふ道に、短い藤の花房ともいふべき葛の花が土の上に落ちて、其が偶然踏みにじられてゐる。其色の紫の、新しい感覚、ついさつき、此山道を通つて行つた人があるのだ、とさういふ考へが心に来た。」
《クズ、葛》(Pueraria montana var. lobata)Wikiより
マメ科クズ属のつる性の多年草である。日本では、根を用いて食材の★葛粉や漢方薬が作られ、万葉の昔から秋の七草の一つに数えられている。和名は、かつて大和国(現:奈良県)吉野川(紀の川)上流の★国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。国栖の人が、この植物を売り歩いたため、いつしかクズとよばれるようになったという説がある。漢字は葛を当てる。日本の地方によって、カイコズル、カンネ、クゾフジなどの地方名でもよばれている。中国植物名(漢名)は葛(かつ)といい、中華人民共和国等の中華圏では、鶏斉根とも呼ばれる。大型の草本。地面を這うつるは、他のものに巻きついて10メートル以上に伸び、全体に褐色の細かい毛が生えている。根もとは木質化し、地下では肥大した長芋状の塊根となり、長さは1.5メートル、径は20センチに達する。葉は大型の三出複葉で、長い葉柄で互生し、小葉は直径15センチメートル超の菱形状の円形でさらに中裂することがあり、受ける日光の強さで角度を変え、草質で幅広く大きい。★葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている。花は8~9月の秋に咲き、葉腋から総状花序が上向きに立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する蝶形花を房状に密集してつけ、下から順に咲かせる。花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ。花後に褐色の剛毛に被われた枝豆に似た、長さ15センチメートルほどある★扁平な果実(莢果・豆果)を結ぶ。つる性の多年草で、絡みつく相手を求めながらつるを長く伸ばして、広い範囲で根を下ろし、繁茂力が高い。クズは根茎と種子により増殖する。除草剤に強く、根絶は困難であり、雑草としてはこびることもしばしばである。海外では世界の★侵略的外来種ワースト100にも指定されている。
★かつての農村では田畑の周辺に育つクズのつるを作業用の材料に用いたため定期的に刈り取られていたが、刈り取りを行わない場合は短期間で低木林を覆い尽くすほど成長が早い。伸び始めたばかりの樹木の枝に巻き付くと、それによって樹木の枝が曲がり、やがては枯死、さらに森林全体を衰退させてしまうこともあるため、林業ではクズなどを除去するつる切り作業は森林を健全に成長させる作業の一つとされている。地上部のつるを刈り取っても地下に根茎が残り、すぐにつるが再生する。抜本的に除去する方法として、除草剤のイマザピルを使う手法がある。製品としてはイマザビルを染みこませた楊枝状の楔になっていて、根株に打ち込むことにより効果を発揮する。製品名ケイピンエースが知られる。過去には薬品ピクロラムが用いられることもあった。
本来の生態は林や垣根の周囲や斜面を覆うように生育している★「マント群落」と呼ばれるつる草や低木の代表種で、森林(特に社寺・屋敷林のような小面積のもの)の周辺・露出した裸地・斜面などを覆い、風や直射日光を防ぎ、土砂の崩壊を抑える役目を果たしており、特に森林内を自動車道路が貫通するような場合などは、クズなどを含むマント群落植物が道路周辺にあった方が★森林を保護する効果がある(むき出しの場合風や光が入って木が枯れ、森林が後退しやすい。)が、逆に森が切り開かれて林内の陰性の下生え植物が減ると、こうしたマント群落の植物が★森林内部に侵入して林内が荒れた状態になる。
様々な昆虫のつく植物でもある。たとえば、黒と白のはっきりした模様のオジロアシナガゾウムシ、マルカメムシはよくクズで見かける。また、クズの葉に細かい虫食いがある場合、それはクズノチビタマムシによる食痕であることが多い。東南アジア原産の外来昆虫であるフェモラータオオモモブトハムシの幼虫はクズの蔓を肥大させて虫こぶ(ゴール)としその中を食べる。
《葛の葉物語》/信太の森FANクラブより
http://shinodanomori-fan.com/bungakudentou.html
「信太妻」ともよばれ、文学・歌舞伎・浄瑠璃・文楽・説教節・瞽女唄(ごぜうた)など、あらゆる文学・芸能ジャンルでとりあげられてきました。江戸時代、竹田出雲による「芦屋道満大内鑑」(あしやどうまんおおうちかがみ)は歌舞伎で大ヒットし、特に「葛の葉子別れの段」は有名で、今日まで多くの人々に愛好されてきました。物語は、平安時代の天文博士★安倍晴明の出生と活躍がえがかれています。信太の森で生まれ、信太の森が育てた作品です。昔、村上天皇(10世紀)のとき、摂津の国に安倍保名(あべのやすな)という人がすんでいました。ある日、信太大明神に参詣し、みそぎをしようと池のほとりにたっていると、狩人に追われ傷ついた狐が逃げてきました。保名は、狐をかくまい逃がしてやりました。追ってきた狩人たちは、保名をさんざん責め、深い傷を負わせてしまいました。傷で苦しんでいる保名のもとへ、若い女がたずねて来ました。女の名は、葛の葉といい、かいがいしく保名の傷の手当をしました。やがて、保名の傷も治り、2人がともに暮らすうち、かわいい童子も誕生し幸せな日々が過ぎていきました。6年目のある秋の日、葛の葉は、庭に咲く美しい菊に心をうばわれ、自分が狐であることをつい忘れ、うっかり正体のしっぽをだしていました。童子にその正体を見つけられた葛の葉は、ともに暮らすのもこれまでと、
恋しくばたずね来きてみよ和泉なる
信太の森のうらみ葛の葉
の一首を残して信太の森へと去っていきました。保名と童子は母を求めて信太の森を探し歩きました。森の奥深くまできたとき、保名がふと振り向くと、1匹の狐が涙を流してじっと2人を見つめていました。はっと気がついた保名は、「その姿では子どもが怖がる、もとの葛の葉になっておくれ。」保名の声に、狐は傍らの池に自分の姿を映したかと思うとたちまち葛の葉の姿となりました。「わたしは、この森に住む白狐です、危ない命を助けられたやさしさにひかれ、今まで、お仕えさせていただきました。ひとたび狐にもどった以上、もはや、人間の世界にはもどれません。」と、とりすがる童子を諭しながら、形見に白い玉を与え、最後の別れをおしみつつ、ふたたび狐の姿となって森の奥へと消えていきました。この童子こそ、やがて成人して陰陽道の始祖・天文博士に任じられた安倍晴明だと語られています。
《NEWS》「葛の葉伝説」をテーマに描いた屏風が寄贈/2021.7.1和泉市より
和泉市教育委員会は、平成27年7月6日(月曜日)に和泉市在住の今岡一穂氏(いまおか かずほ)から和泉市の伝説である「葛の葉伝説」をテーマに墨で描いた屏風の寄贈を受けました。
http://seian-fineart.jp/portfolio/kuzunohadensetsu/
今岡氏は、成安造形大学(滋賀県大津市)美術領域日本画コースの在籍中に卒業制作として、この屏風を描きました。屏風には、「葛の葉伝説」のハイライトである、白狐とその子である童子丸(安倍晴明)との別れのシーンが描かれており、本間二曲一双で左隻右隻とも縦168センチ×横185センチとなっています。寄贈いただいた屏風は、★信太の森ふるさと館(和泉市王子町914-1)で展示されます。
https://www.instagram.com/imaoka.kazuho/
https://www.city.osaka-izumi.lg.jp/kakukano/syougaibu/bunkaisan/shinodanomori_furusatokan/index.html
・・・かなり以前から「クズ」について関心をいだいているのです。
(1)「藤井寺」と「葛井寺」
http://academic3.plala.or.jp/fujinan/fujisi/bunkazai/fujiidera.htm
葛井寺は、山号を紫雲山(しうんざん)といいます。寺伝によると、葛井寺は奈良時代、聖武天皇によって★葛井連(ふじいのむらじ)の邸宅地に建立され、春日仏師に命じて千手千眼観世音菩薩を造らせ、神亀2年(725年)に僧行基が開眼法要を行ったとされています。1096年に大和の★藤井安基が伽藍の大修理に尽力したことから、「藤井寺」ともいうようになり、地名として「藤井寺」が残ったといわれています。
(2)「葛藤」/文:木村宣彰(大谷大学仏教学教授)
https://www.otani.ac.jp/yomu_page/b_yougo/nab3mq0000000rd3.html
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。よく知られた『草枕』の一文であるが、ここで漱石は心の中で異なる思いが衝突し、悶着を生じ、いずれを選ぶべきかに迷うのが人間であることを如実に語っている。このようなことは誰しもが経験することだろう。その究極は「生か死か、それが問題だ」というハムレットの有名な独白であろうか。どちらを選ぶべきかと思い迷うことや、人と人との間の確執や抗争で苦悩することを〈葛藤〉という。ところで、二つの気持ちが対立する状態を、なぜ葛(かずら)と藤(ふじ)との二文字で表記するのであろうか。葛も藤も樹木に絡み付くツル草で、このツル草が縺(もつ)れて解けない状態が〈葛藤〉である。実はこのような意味で〈葛藤〉の語を用いたのは仏教経典である。ツル草の葛や藤が生い茂り、錯綜すると縺れて解き放つことができないように、私たちを悩ませる貪欲や愚痴などの煩悩は容易に断ちきることは出来ないと教えている。『法句経』には「愛結〔煩悩〕は葛藤の如し」といい、『出曜経』には葛藤が樹木にまといつき、樹を枯らすように「愛綱〔愛欲の綱〕に堕する者は、必ず正道に敗れ、究竟に至らず」と説き、煩悩を〈葛藤〉に譬えている。後の世になると仏典の難解な文字言語や、その難しい言句にとらわれて議論が尽きないことを指して〈葛藤〉といい、その論議を断ちきるのを〈葛藤断句〉と称している。要するに、仏典では、正しい道理の理解を妨げ、仏道修行の邪魔になる煩悩を、樹木にまとわりつき、やがて枯らしてしまうツル草の葛や藤に譬えている。仏教は、私自身の心の在り様を問い、人間一般の心を客観的に論じる西洋の心理学とは異なる。その心理学において、conflict(葛藤)という概念を用いたのはフロイトである。西洋近代の学術用語の訳語に東洋の古い仏教用語が用いられている。洋の東西を問わず、昔も今も、人は葛藤のツル草から逃れられないようである。
《おまけ》「藤の実」/作:寺田寅彦/青空文庫より
https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2339_13490.html
昭和七年十二月十三日の夕方帰宅して、居間の机の前へすわると同時に、ぴしりという音がして何か座右の障子にぶつかったものがある。子供がいたずらに小石でも投げたかと思ったが、そうではなくて、それは庭の藤棚ふじだなの藤豆ふじまめがはねてその実の一つが飛んで来たのであった。(以下略)
(3)江戸時代以前に信じられていた★陰陽五行説によれば、藤=右巻き=陽=木、葛=左巻き=陰=草という「イメージの連鎖」があったようです。しかし植物のツルの左右の巻き方については諸説あって、見解が統一されていないようです。
(4)「Z撚り」右巻き=right-handed curveと「S撚り」左巻き=left-handed curve、ネジにおける左右
https://www.cfid.co.jp/2020/10/20/thread-sz/
糸は綿、麻、羊毛等の繊維の方向を揃えて細くし、撚りをかけることによって作られます。「撚り」を行うことによって繊維間の摩擦が増して糸が強くなり、「撚り」の方向によってS撚り(時計回り)とZ撚り(反時計回り)の2種類があります。一方向だけに撚られた糸を単糸、単糸を2本撚り合わせた糸を双糸(諸糸)と呼び、双糸の撚りの方向(上撚り)は、単糸の撚り方向(下撚り)とは逆方向に撚るのが通常です。一般的な裁縫に使用する手縫い糸はS撚り、ミシン糸はZ撚り、Z撚りでないと機械の力のかかる方向が逆になってしまい、糸の撚りがほどけてきてしまいます。
(5)「草本」と「木本」
つる植物・蔓植物(climbing plant)は、自らの剛性で体を支えるのではなく、他の樹木や物体を支えにする(つる性)ことで高いところへ茎を伸ばす植物のことである。蔓草(つるくさ、まんそう)、葛・蔓(かずら・かつら)などともいう。つる植物には、草本(草本性つる植物 (vine))と木本(木本性つる植物 (liana))があり、木本になるつる植物のことを藤本という場合もある。木本性つる植物は巻き付く、貼り付くなどして周囲の樹木等(ホスト)に取り付き、その樹木に自重支持を依存しながら成長する。樹木では自重を支えながら高く成長するため茎肥大に大きな資源投資を必要とするのに対し、つる植物の成長様式はその分の資源を茎伸長と葉量増加へと振り分け、よって資源を効率良く用いて生育空間と光合成生産を拡大する戦略である。
(6)「昇龍」と「降龍」
天に向かって行く龍と天から降りてくる龍です。昇り龍の方はその姿からわかるように、運気が上向きになります。降り龍は天から降りてくる姿から「厄除け」や「家内安全」などの意味があります。つまり他の人間に対して手を差し伸べる「慈悲」の意味があると言ってもよさそうです。 昇龍と降龍には他の逸話もあります。龍が手に持っている玉、昇龍は天にこの玉を取りに行っている姿だとか。反対に降龍は玉を手にした龍が降りてくる姿だとも言われています。このドラゴンボール「如意宝珠」と呼ばれ、どんな願いも叶う玉だと言われています。
・・・「ふじ」の実も見つけました。
藤の花は古くから振り袖姿の女性に例えられるように、優雅で柔らかい印象を与える花です。藤という字は「上にのぼる植物」という意味を持つ漢字で、元はつるを作る植物を指します。日本ではこの藤の花に限定して使われます。藤の花には、魔除けの力があるといわれます。藤の発音が「不死」「不二」と似ており、縁起のよい花であるからなどが理由です。また、藤は子孫繁栄の象徴とされていることから、人間に害をなす悪霊などを除ける力があるとされたという説もあります。藤の毒のある部位は、「花」「豆」「さや」の部分です。その中でも豆とさやの毒性は強く、ふくまれているレクチンという成分により、多量に食べるとさまざまな症状が現れます。主な症状では吐き気や頭痛、めまいなどで、重症になると胃腸炎が発生する場合もあります。しかし、強い毒性のある藤は、十分に加熱を加えれば、花や豆は食べることが可能です。藤には毒性だけがあるわけではなく、役に立つ薬効もふくまれています。薬効のふくまれている部位は、主に種子です。種子は古くから便秘などに効果的とされ、下剤として少量を煎じたものが使用されます。
・・・「かたつむり」発見、
《参考》モノシリより
https://www.ipros.jp/monosiri/science/102
カタツムリの殻の巻き方には右巻きと左巻きがありますが、右巻きのほうが圧倒的に多くなっています。かたや、カタツムリを捕食する生物は多数派の右巻きカタツムリを食べやすいようにアゴ、口が進化しています(右の歯が多いなど)。つまり、左巻きカタツムリは結果“食べにくい”となり、その寿命が長くなっています。ちなみに、東南アジアではカタツムリを食べるヘビが多いため、ヘビに食べられないように左巻きのカタツムリの割合が高くなっています。
《カタツムリ豆知識》
https://www.nacsj.or.jp/shirabe/2004/07/1800/
殻の巻き方は、種類によって決まっているので、巻き方は重要なチェックポイント。殻が時計回りに成長するのが「右巻き」です。殻の右巻き・左巻きがわからなくなったときには、手をにぎってみましょう。柳田國男さんは1930年にカタツムリの呼び方の地域差に着目した『蝸牛考』という書籍を出版しています。それによると、カタツムリの呼び方には年代があることがわかります。最も古い呼び方が『ナメクジ』で次が『ツブリ』、『カタツムリ』、『マイマイ』、最も新しい呼び方で『でんでんむし』だそうです。
《アカバナ科・マツヨイグサ属》Oenothera tetraptera
英名:Evening primrose/原産地:北~南アメリカ/開花期:5~9月
「富士山には 月見草がよく似合う」という太宰治の一節で知られる月見草。花は夕暮れを待って咲き、朝日を浴びてしぼむため、「待宵草」とも呼ばれています。
・・・なかなか撮影させてくれない蝶々、
《キチョウ(黄蝶、Eurema hecabe)》
チョウ目シロチョウ科キチョウ属に分類されるチョウの一種。草原や畑、道端や市街地などでごく普通に観察できる。従来「キチョウ」とされていた種は、キチョウ(ミナミキチョウ、南西諸島に分布)とキタキチョウ(Eurema mandarina、本州~南西諸島に分布)の2種に分けられることになったが、外見による識別は困難。
・・・黄色い蝶は全部「モンキチョウ」かと思っていましたが、撮影に成功して「キチョウ」は貴重でした。ははは