H・S・Z(9)色形材 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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・・・美術は分野を問わず色と形と材(質感)でできています。何かを表現するには、そのイメージやアイデアに応じて、これら★造形要素に「関係」と「構成」秩序を与えなければなりません。

 

《参考》「絵画構成の造形要素」/デッサンと言う礎より

https://dessin.art-map.net/technique/composition/composition-element.html

画面を構成する造形要素は多くありますが、多くを取り入れればよいものではありません。造形要素をどのように構成に取り入れていくか考えてみましょう。

●動き/画面に何か描写することで計算せずとも動きが生まれます。それを自在に操ることができれば絵画はよりよく展開します。ただ漠然と絵画を描写したり鑑賞したりしているだけでは、その裏に潜む動きを読み取ることは困難です。絵描きは深い計算の上で狙い通りの絵画を描くために、画面に生じる動きを巧みに操ります。動きを巧みに描き出すためには、★動きから生まれる心理的効果を熟知しなければなりません。

●明度/画面全体の明度の関係は、絵画を見たときの★最初の印象となる重要な造形要素です。単純に黒っぽい絵、灰色の絵、白っぽい絵があるとします。黒い絵は重々しい印象を与え、中間色の灰色の絵はどんよりとし、白っぽい絵は軽くて弱々しさを感じます。画面全体の明度が与える印象はさまざまですが、多くの人に与える心理的効果や印象を考慮して明度の構成を決定しなければなりません。

●質感/マチエールは自分の形と色が反映されることで、デッサンや絵画としての絵画空間と質感へと変化して、★画面のミクロの範囲まで浸透します。一枚の絵に様々なマチエールがあれば、それは様々に響きあって力強い絵が出来上がるかもしれません。しかし、それは統一した絵画の構造によってできた質感表現ではないので、統一性のない絵画になったり、単なる材料や物質の塊に終止してしまいます。マチエールを追求するとき、そこでは★一貫したテーマによる統一された構造をめざす必要があります。ただ単に技法を追い求めると技法の標本が出来上がります。良い絵画は目的、テーマに合致したマチエールが流動的に変化して、組織的に構造化された質感が生み出されます。力強い技法やマチエールだけでは良い絵に近づくことはなく、テーマに適合した絵画空間と質感を生み出そうというマチエールへの試行錯誤が良い絵へ向かわせると考えるべきでしょう。

 

・・・アートについての様々な情報や知識、技法を解説するHPを読ませていただいていますが、この説明は見事なまでに簡潔明瞭です。自分自身、アートの造形要素として「色形材」を常々大切にしてきたわけですが、非常に漠然とした認識しかなかったと反省しきりです。

 

・・・セザンヌの作品を通して、「色形材」について再考してみましょう。

 

《おまけ》2012.4.13AFPより

盗まれたセザンヌの絵画、セルビアで発見 4人を逮捕

スイス・チューリヒ(Zurich)のビュールレ美術館(Foundation E. G. Bührle Collection)から2008年に盗まれた絵画4点のうち、最後まで見つかっていなかったセザンヌ(Paul Cezanne)の絵画がセルビアで発見された。セルビア当局が12日、首都ベオグラード(Belgrade)で記者会見して明らかにした。発見された絵画はセザンヌの★「赤いチョッキを着た少年(The Boy in the Red Vest)」(1888-90)。記者会見した検察官によれば、スイス人の専門家による鑑定で本物だと確認された。推定価格は約1億ユーロ(約106億円)。絵画は警察が追っていた容疑者の車の中に隠されていた。フランスの後期印象派の画家セザンヌのこの作品は、2008年2月にドガ(Edgar Degas)、ゴッホ(Vincent van Gogh)、モネ(Claude Monet)の作品とともにビュールレ美術館から盗み出された。近代西洋美術史の巨匠4人による作品4点の盗難は当時、ヨーロッパ史上最大の美術品盗難事件とされた。セルビアのイビツァ・ダチッチ(Ivica Dacic)内相によれば、警察の組織犯罪対策部は12日夜、容疑者のセルビア人4人を逮捕した。会見では見つかった絵画と、容疑者逮捕の様子を録画したビデオテープが公開された。絵画の傍らには覆面をした警備の警察官が立っていた。検察官によれば、2年間にわたる捜査の過程で、この絵画を300万ユーロ(約3億2000万円)で売却する取引計画が浮かび上がった。取引相手もセルビア人とみられ、容疑者らはすでに140万ユーロ(約1億5000万円)を受け取っていたという。容疑者らは絵画の引渡し準備中に逮捕された。ダチッチ内相によると、逮捕の際、150万ユーロ(約1億6000万円)と大量の武器や弾薬も押収された。2008年にセザンヌの絵画と同時に盗まれたのは、モネの「ベトゥイユ近辺のひなげし(Poppies near Vetheuil)」(1879)、ドガの「ルピック伯爵と娘たち(Count Lepic and his Daughters)」(1871)、ゴッホの「花咲くマロニエの枝(Chestnut in Bloom)」(1890)の3作品。スイス警察の当時の発表では、武装した3人の覆面の男がビュールレ美術館に押し入り、絵画4点を盗み出した。犯行グループはスラブ訛りのドイツ語を話していたという目撃証言もあった。同警察は数日後に、チューリヒ市内の精神病院の駐車場に止めてあった自動車の後部座席からモネとゴッホの作品を発見したと発表した。ダチッチ内相によれば、ドガの作品も2009年に発見されている。(c)AFP

 

★「至上の印象派展ビュールレ・コレクション」

https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/11878

 

・・・なぜ「セザンヌ」や「キュービズム」絵画に惹かれるのか?まさしく、造形要素が結実しているからだと納得しています。さらに興味深いHPを発見しました。

 

《映画界のセザンヌ「小津安二郎」》

http://rabbit2018.jugem.jp/?eid=18

小津とセザンヌの画は何れも重ね合わせて一致するようなものではありませんが、構図における類縁性が感じられます。

小津映画に頻繁に出てくる食卓上の小道具の並び、ビール瓶のラベルや調味料の置き方等、それらの不自然さを見ると小津はセザンヌを模倣したとしか思えません。模倣が必ずしも拙いのではなく、鋭い洞察力を持てば独特の表現が可能となるでしょう。小津はその不自然な空間を複数のショットに渡って拡張し統一していったのです。