H・S・Z(3)鳥獣戯画 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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・・・今回から「ホップステップ造形教室」略して「H・S・Z」と標記し、具体的な内容を表題に掲げるようにしました。

 

《参考》

●「紙」の字源と「かみ」の語源

https://maruraku.co.jp/paper_qa/paper_history

・字源/『説文解字』によれば 「紙は絮(じょ)の一せん(竹篇に沾)なり」とある。絮とは絹のわたの古いものをさし、「せん」は簀のことである。当時の紙は 古い真綿(絹繊維)を水につけ、叩いてほぐし、簀の上にすくい上げて乾かしたものとされる。糸へんは蚕のまゆから出た象形文字 「つくり」の「氏」の字は山の崖の平らにそそり立つさまを表し、その他滑らかという意味もある。よって、「紙」という字には紙の作り方、原料の古まゆのこと、出来上がったものの形すべてがもりこまれている。

・語源/諸説あるが 紙の前段階の★書写材料であった木簡(もくかん)竹簡(ちくかん)の「簡」の音が転化したとされる説が有力。

 

・・・知れば知るほどに「紙」は「神」だと思います。そして、

 

●「すみ」「すずり」「ふで」/奈良墨「錦光園」より

https://kinkoen.jp/about/history/

墨の起源は今から2200年ほど前に遡り、中国における漢の時代と言われています。漢の時代の墳墓からは墨書された木簡・竹簡が多数発見されています。また、漢時代のものとして、「墨丸」と言われる小さな球形の墨があった事が、発掘された硯の形から推測できます。平安時代中期頃には硯の事を「すみすり」と呼んでいたそうです。その言葉が変化して、現在の「すずり」になりました。当たり前ですが、墨は墨だけでは道具の意味を成しませんし、硯も硯だけでは道具の意味を成しません。墨と硯だけでなく、筆も紙もその物だけでは、道具として意味を成さないのです。★筆作りが始まったのは今から約4000年前の仰韶文化(ぎょうしょうぶんか)の時代(前2500年頃)で、新石器時代末期の彩陶(さいとう)にも毛筆状の物で描いたと思われる文様があり、筆の様な物が存在していたと言われています。実際には殷(いん)時代(前17世紀ごろから前11世紀半ば)の甲骨片に筆を用いて書かれたと思われる文字が書き残されており、殷代あるいはそれ以前から筆があったと言われております。現在確認できる最古の筆は、戦国時代の楚(そ)(?~前223)の遺跡から発見された「長沙筆」(ちょうさふで)で、長さ約16cm・細い管の一端を裂いて、兎の毛を挟み、糸でくくりつけられて、漆(うるし)で固められています。秦代(しんだい)(前221~前202)には、蒙恬将軍(もうてんしょうぐん)が穂首に一種ではなく数種の毛を用いて筆造りに数々の改良が施されていったそうです。その後も技術が洗練されていき、漢代の木簡とともに発見された「居延筆」(きょうえんひつ)は、前75~57年頃作られて筆で、約21cmの木軸の一端を四つ割にした後、1.4cm程の穂を差し込み、2か所を麻と思われる糸で縛り、漆で根元を固めて作られています。毛の種類ははっきりとはわかりませんが、筆としてかなり完成した姿をしていて、現在の筆に大分近かったと思われます。

★本日、6月25日18時よりREADYFORにてクラウドファンディングに挑戦します。

https://readyfor.jp/projects/64365

挑戦する理由は「産地の存続に対する危機感」。昨今の墨離れから、墨の生産量の激減、相次ぐ墨屋の廃業や、職人・関係者がいなくなっていく現在の状態に対し、少しでも現状を伝え、奈良墨を広める活動をこれまで行ってきました。今後もその活動や、新たに墨の魅力を感じて頂ける商品作りの為の資金を目的に、今回のクラウドファンディングに挑戦する運びとなりました。詳細はURLに記載されていますので、お時間のある際に読んで頂ければ幸いです。

 

・・・微力ながら、支援させていただきました。

 

《参考》「墨」「硯」「筆」「紙」(文房四宝)/池田櫻HP

https://ikedasakura.com/sho/

 

《参考》「墨の継ぎ方」/書遊より

https://syoyu-e.com/article/column/tools_how/sumi-seccyakuzai

 

・・・めったに書写することはありませんが、「文房四宝」の素晴らしさについては疑う余地はありません。とりわけ硯で墨をおろす時の、★墨の香・磨る音と感触・墨の濃淡など五感をくすぐります。それら五感を通して、ココロが安らぎ自然と精神が集中・統一されます。その良さを、現代の作品として受け継げたらと、日々心がけているところです。

 

《参考》「墨の香料」/墨運堂より

https://boku-undo.co.jp/faq/34/

墨に使用する香料は刺激的な香りではなく、側に置いておくと、★そこはかとなく香りが漂ってくるという“幽香”です。昔は天然香料の甘松末・白檀・龍脳・梅花・麝香等を使用しておりました。墨は「ニカワ」と「スス」を練り込んで成型したものです。「ニカワ」とは、動物の骨や皮から作られるゼラチンを主成分とする接着剤・分散剤(界面活性剤)のことを言います。一般に食べ物や医薬品などに使われる純度の高いものをゼラチン、画材や工芸品などの接着剤として使われる精製度の低いものをニカワという。「ニカワ」は動物から作るので、強烈な臭みがします。その臭みを消すために香りづけとして混ぜ込んだのが「リュウノウ」というものでした。「リュウノウ」とは、竜脳樹という植物の隙間に出てきた結晶で、古くから防虫剤や防腐剤として使われてきました。別名「ボルネオール」ともいい、アロマの精油などにもあります。今では、合成香料の梅花・麝香等多種普及しておりますが、弊社では龍脳を主として使用しております。墨の箱を明けた時に漂う香りは、振香(ふりか)といって包装時に箱に入れる香料の香りです。墨を磨って初めて漂う香りが典雅を好む墨客に愛され、後に良墨は芳香を持つものとなったようです。

《香り墨》錦光園より

https://kinkoen.jp/kaorisumi/

その昔、墨は知識人の間では必須の筆記具であり、奈良を代表する土産物として、しばしば贈答用として扱われていました。でもこの「香り墨」はこれまでのような筆記具としてではなく墨の「美しさ」と「香り」を愉しんでいただくため老舗の墨屋が作った商品です。

 

・・・そして今回とりあげたいのが「鳥獣戯画」です。「古くて新しい」を象徴する作品、誇るべき日本文化です。

 

《特別展「国宝・鳥獣戯画のすべて」》

https://chojugiga2020.exhibit.jp/

2021年4月13日(火)~6月20日(日)東京国立博物館 平成館

国宝「鳥獣戯画」は、擬人化した動物たちや人びとの営みを墨一色で躍動的に描いた作品です。本展では、展覧会史上初めて、甲・乙・丙・丁全4巻の全場面を、会期を通じて一挙公開します。加えて、かつて4巻から分かれた断簡、さらに原本ではすでに失われた場面を留める模本の数々も集結します。まさに<鳥獣戯画のすべて>をご堪能いただける、またとない機会です。

今回の展覧会では合計44メートルを超す国宝4巻の全画面を一度にご覧いただくことができます。普段はできない、各巻を横断的に見比べることができるのは全巻全場面展示ならではの醍醐味。よく似通った甲巻と丙巻の擬人化された兎、猿、蛙はもちろんのこと、乙巻と丙巻の鶏や犬、乙巻と丁巻の馬や牛といった動物を見比べてみると、各巻の線の違いがよく分かります。その他、甲巻と丁巻の法会の場面、丙巻と丁巻の験競べといった人間と動物が同じ行動をしている場面を比較してみるなど、楽しみ方は無限大です。

「鳥獣戯画」が伝わる京都の高山寺は、鎌倉時代の僧、明恵上人によって再興され、今も多くの美術品が伝来しています。本展では、重要文化財「明恵上人坐像」をはじめとする高山寺選りすぐりの名宝などから、明恵上人の魅力にも迫ります。

https://kosanji.com/

特別展「国宝・鳥獣戯画のすべて」は、6月20日(日)をもって閉幕いたしました。ご来場、誠にありがとうございました。

 

元来★表面裏面に書かれていたものが裏打ちで剥ぎ取られ現在に伝わる状態になっていることが近年の修復で判明している。一部の場面には現在の漫画に用いられている効果に類似した手法が見られることもあって、★「日本最古の漫画」とも称されるが最近の研究において高山寺の成り立ちや高山寺での本絵巻の格付けから、何かしらの宗教的意味合いが含まれている可能性が高いとし「日本最古の漫画」と称するには否定的な意見が主流となっている。成立については、各巻の間に明確なつながりがなく、筆致・画風も違うため、12世紀 - 13世紀(平安時代末期 - 鎌倉時代初期)の幅のある年代に複数の作者によって、別個の作品として制作背景も異にして描かれたが、高山寺に伝来した結果、鳥獣人物戯画として集成したものとされる。作者には戯画の名手として伝えられる鳥羽僧正覚猷(とばそうじょう かくゆう)が擬されてきたが、それを示す資料はなく、前述の通り各巻の成立は年代・作者が異なるとみられることからも、実際に一部でも鳥羽僧正の筆が加わっているかどうかは疑わしい。現在は甲・丙巻が★東京国立博物館、乙・丁巻が★京都国立博物館に寄託保管されている。

 

・・・いろいろな研究がなされ、見解がわかれることもあるが、ともあれ作品の素晴らしさは他に類を見ない。だからこそ表裏を剥ぎ取り、同時に見比べられるよう4巻にまとめあげたのだろうと、思いを馳せる。

 

《NEWS》2017.8.8

http://www.arthajime.com/writers/?p=6245

この発見!何がそんなに凄いことなの?国宝《不動明王像(黄不動)》に「御衣絹加持(みそぎぬかじ)」の痕跡を発見!!

京都 洛北の門跡寺院 曼殊院に伝わる 国宝《不動明王像(黄不動)》に、強い横折れ、彩色の剥落、糊離れによる浮きなど劣化が生じていたため、平成25年から2年間文化庁補助事業として解体修理が実施されました。文化財の修復は、次の世代へ文化財を伝えるための保存事業であるとともに、修復過程は作品の詳細な研究の機会でもあります。掛軸は、絵が描かれた本紙の後裏に4枚の和紙が裏打ちされ、積層構造となっています。今回の修理では、本紙1枚を残して4層の裏打紙を全て取り除く完全解体修理となりました。昨今のブームでよく耳にする「裏彩色」、国宝《不動明王像(黄不動)》も絹地の裏から彩色が施されていました。ですから、本紙のすぐ裏にある肌裏紙を剥がす肌裏紙の除去は、本紙を傷つけないようにと作業は緊張の連続だったことでしょう。熟練の方でも1日20㎝角の作業だそうです。

 

・・・表現された内容やテーマが重要であることは言うまでもないが、それを★「裏打ち」する職人さんや技術がどれだけ大切か、そこに注目しなかったらこれからの日本のアートは発展しないとさえ思う。