太陽の気まぐれ(1) | すくらんぶるアートヴィレッジ

すくらんぶるアートヴィレッジ

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

・・・このブログ表題「すくらんぶるアートヴィレッジ」を開村した頃、「藍染」に取り組んでいました。その流れで「渋染」にも取り組んでいたのですが、ご無沙汰していました。

 

【今田町子】柿渋染め工房「布美人」

http://fubijin.blog45.fc2.com/

柿渋染めと出会ったのは、およそ20数年前…古布のリメイクをしていた頃、とある知り合いから柿渋染めの話を聞き、★1本の柿渋液を頂いたことから始まります。ほぼ自己流に近い状態からの施行錯誤、この出会いがなければ今の私はなかったのかも…★太陽の陽射しと風によって染まっていく柿渋染めは、結果オーライの自然染め染め。あがるまでわからない色合い風合いは、意外性がいっぱいほんまもんの手仕事です。毎回試行錯誤の連続…期待ばかりして振り回されているけど、それが魅力年々深みを帯びてくる染布は、まるで生きているよう。私は、柿渋の息遣いを聞きながら染めています。柿渋染め…渋柿に含まれるタンニンを主原料に作られた染料を使った日本古来からの染色方法で、防水・防腐作用があります。木製品・和紙・麻・木綿などの身近なものに使われ、実用向きの染色です。酒袋や漁網は有名です。

 

・・・「1本の柿渋液」から始まったという、私の場合は★「太陽のきまぐれ」という言葉(表現)に心動かされ(動機=モチーフ)始めました。

 

 

岡林染里】柿渋染作家:宝しぶ染

http://tamashibu.jp/04gallery/index.html

岡林染里が、染めをするときに心掛けることは、ただ、「色が長持ちするように、糸が長持ちするように、健康に良いように」ということなのです。「色は、草木にまかせる」ため、染める上がる色が毎回違ってきます。まったく同じ染まり具合ということはありません。もともとの草木染めは、薬草から始まっているようです。薬草は飲んだり食べたりすることで、中からの健康を保ちます。また、草木染として身に付けることによって、外からの健康を保ちます。ですから、色は長持ちしないといけないし、健康に良くないといけないと考えています。宝しぶ染は、虫や汚れがつきにくく、十年以上長持ちし、その発色は年を経るごとに美しい色合いを見せてきます。「草木染めは、色あせするものと言われているし、その具合が魅力の一つでは?」と聞くと、「色あせするのが本物、なんていうのは、大嘘や。ということは、命を大切にしてないんや」と答えます。「草木染めのために、木を切り、草を刈る。そこで草木の命は絶たれる。草木の命は、染めることで色に変化する。だから、★少しでも長持ちするようにするのが、本当だ」と…。宝しぶ染は、ひとつ染めるのに、ゆうに3、4年以上かかります。染を何回も重ねるから、時間がかかるというのはもちろんなのですが、植物を採る時、染める時、下準備にも時間と手間をかけるのです。「草木の声を感じるくらいの修行をせいや」という想いで、工房を「草木の心(そうぼくのこえ)」と名付けました。草木の命が、心が、岡林染里の染めには染みとおっているのです。

 

・・・「色褪せするもの」とあきらめていましたが、岡林染里さんの言葉をかみしめて、「柿渋」再始動したいと思います。

 

 

《柿と柿渋》「里古りて柿の持たぬ家もなし」芭蕉/尾山製材より

http://mitsurocream.com/shopdetail/004000000001/

柿は古くから日本人にとって馴染みの深い果物です。昔は農家の庭先には★必ず柿の木が植わっており、赤い実を付けた柿の木は日本の秋の風物詩の一つでした。昨今は色々な果物が店頭を賑わす様になりましたが、日本の秋の果物といえばやはり柿でしょうね。又、「柿の豊作の年には★医者要らず」と言われた様に、柿はビタミンが豊富な健康食品でもあるのです。柿にはこの様な食用としての一面の他にももう一つ、人にはあまり知られていない別の顔があります。それが柿渋です。★青い未熟の渋柿を潰し、圧搾してできたその果汁を発酵させた物を柿渋と言います。柿渋は平安時代より様々な用途に使用されてきました。特に江戸時代には、北海道と一部一部寒冷地を除いて全国的に盛んに生産されるようになり、その後第二次世界大戦までは様々な分野で日本人の生活と文化を支えてきました。戦後は20世紀の急速な石油化学製品の発達により急速にその需要が減退し、殆ど忘れ去られた存在となりつつありましたが、世界的に★環境問題が叫ばれる21世紀を向かえ、今又その素晴らしさが見直されてきました。

★柿渋での色対応/柿渋は茶系のみですので、他の素材を使用してその色合いを変化させる方法が採られてきました。

①媒染:一般的な草木染めと同じ様に、柿渋染も媒染剤を利用してその色の変化を楽しむことができます。但し、その方法は★後媒染が一般的です。即ち、最後の水洗いの段階で、薄い媒染液に浸して変色させます。代表的な物としては鉄媒染とチタン媒染があります。

a)鉄媒染★鉄分に敏感に反応して黒くなるのが柿渋(カキタンニン)の特徴で、昔からその性質を上手く利用されてきました。柿渋の濃度と鉄媒染の濃度によって、薄いグレーから濡れ羽色の黒まで様々な色合いに変化します。

b)チタン媒染:あまり知られてはいませんが、柿渋はチタンに反応して★黄色系から綺麗なオレンジ系の色になります。

c)アルカリ処理:柿渋は★弱アルカリ処理をすることにより若干の色の変化を起こし、酸化作用が抑制されますので、急速な色の変化を抑える効果がありあます。又、風合いも若干柔らかくなりますので、拘りの柿渋染をされている方などは後処理としてアルカリ処理をされています。材料としてはソーダ灰が一般的ですが、身近で手に入る材料としては★重曹があります。

柿渋独特の★悪臭の臭いの元となる犯人は、発酵工程に於いて発生する酢酸・オウロピン酸・酪酸などの有機酸系の不純物なのです。特許製法により、その不純物を取り除くことに成功し、画期的な無臭柿渋★柿多冨(2008創業)が誕生しました。今まではその悪臭を嫌って敬遠されていた方にも、これからは安心して柿渋に親しんで頂けるようになりました。

 

・・・「レジ袋」やプラスチック製品を減らす一方で、「柿渋」や「竹」など★自然素材の活用を考えていかなければ、根本的な「環境問題」解決にならないですよね。

 

 

《柿多冨》

541-0053大阪市中央区本町4-7-16/06-6121-2853

https://kakitafu.com/

竹籠に和紙を貼り、上から柿渋を塗布したものが★一閑張りです。日本古来の伝統文化である柿渋と和紙のコラボで、★脱プラスチックなエコ生活のお手伝いができればと考えております。竹籠の代わりにダンボール・厚紙を使用したものが★五感張りです。厚紙を利用したフランスの民族工芸品である★カルトナージュと日本の伝統文化の一閑張りがコラボした感じで新しい文化が誕生しました。和紙に柿渋を塗布すると強度が増すことを利用して、いろいろな用途で使用されてきました。渋紙は江戸小紋の型紙や★伊勢型紙に利用され、日本の文化を支えています。また★渋団扇は今でも全国で広く製造されています。

 

《伊勢型紙「おおすぎ」》大杉型紙工業

510-0243三重県鈴鹿市白子3丁目8-6/059-387-1515

https://www.osugi.co.jp/kakisibu-hosoku.htm

従来の臭いのある柿渋3種類は、それぞれ粘度が異なりますが、いずれも柿渋の原液そのままです。(水などで薄めて粘度を調整したものではありません。従ってタンニンの濃度が濃かったり薄かったりするものではありません。)

 ※「濃度」ではなく、「粘度」(粘り気)ですので、ご注意ください。

(注)時折、柿渋の度数(※)を尋ねられますが、当社の通常品柿渋は4度程度、無臭は3.5度程度でその時々により異ることがあります。※柿渋の濃さを言う場合によく使われる「度数」とは、「ボーメ度」のことで、これはボーメ計(比重計)という液体に浮かせる器具で測った濃度のことです。昔は簡易的な尺度としてボーメ度(比重)をタンニン成分の多少の尺度とされていましたが、実際の因果関係について私共では検証できておりません。ちなみにこれらの種類は、もともと私共が★伊勢型紙の地紙(渋紙)製造の際に、粘度の異なる柿渋が必要なために設定しております。例えば、高粘度は接着力が強く、薄い和紙を張り合わせるために使用しています。逆に低粘度は、工程の後の方で、地紙の表面に塗布するだけに使用しています。高粘度は特殊な柿渋といえるかもしれません。竹かごに和紙を張り合わせたり、厚塗りする用途には適しています。一般的な柿渋は、私共のものでは低粘度にあたると思います。

(注)当社販売の柿渋について、食用・飲用ができるかとのお問い合わせをいただくことがありますが、食品としての管理をしておりませんので、飲用などされる場合は、自己責任でご利用いただきますようお願いいたします。

(注)柿渋のph(水素イオン指数。 酸性・アルカリ性の度合い)についてお問い合わせをいただきました。通常の柿渋はいずれもph3程度(★酸性)で、無臭柿渋はph4程度(★弱酸性)です。以下のような文献があります。私自身も参考にさせていただきました。上から3点は現在でも入手可能だと思います。一番下は図書館で閲覧可能。

「柿の民俗誌-柿と柿渋」近畿民俗叢書-8/著:今井敬潤

「柿渋」法政大学出版局 ものと人間の文化史-115/著:今井敬潤

「柿渋クラフト(柿渋染めの技法)」木魂社/著:寺田昌道

「柿渋の力-くらしと伝統工芸を支えた南山城の柿渋」/京都府立山城郷土資料館

 

 

・・・とりあえず★身近なものから塗っていきます。

 

 

・・・夏はやっぱり「Tシャツ」です。

 

《参考》「柿」雑学/「柿の博物館」より

https://a-kaki.com/hakubutukan.html#top

・柿は学名にまで★「kaki」と命名されるほど、果樹の中では日本的なものと考えられています。中国、朝鮮半島にも柿はありますが、★甘柿はわが国特有のものです。日本原産の果物「柿」は16世紀頃に★ポルトガル人によってヨーロッパに渡り、後にアメリカ大陸に広まっていきました。

・生果の柿は、もともとは全て「渋柿」だった。その渋柿から突然変異で「甘柿」が生まれました。もともと柿と云えば、古くは「干し柿」にしたりして渋を抜いて食べるものだった。そして、ある時の突然変異が起きてから、品種改良を加えて今の様な美味しい甘柿が出来上がった。甘柿は世界でもあまり例が無く、日本独特のものと云って良いかもしれません。特に生産量が多い渋柿が「平核無柿(ひらたねなし柿)」です。他にも、「刀根柿」「紀の川柿」「甲州百目柿」「蜂屋柿」「富士柿」「愛宕柿」「西条柿」「身不知柿(みしらず柿)」「市田柿」「横野柿」「高瀬柿」等が有名です。これらの渋柿はそのままでは出荷できません。店頭で「これは渋柿です」と云って売られている柿はありません。産地によって、それぞれの品種に合った方法で渋を抜いて出来た甘い柿が手元へ届くようになっています。アルコールや炭酸ガスなどを使って渋抜きをして甘さを出す方法が有ります。これも産地の農家さんたちの努力の賜物です。

・柿の品種は現在約1,000種類あるとも云われています。

https://www.seika.aussie-fan.co.jp/post-1587/