《NEWS》天平の風に舞うハート型の可憐なうちわ、奈良市・唐招提寺/2010.4.30Wedgeより
630-8032奈良市五条町13-46/0742-33-7900
唐招提寺といえば、誰もが思い浮かべるのが開祖・鑑真和上の名前だろう。唐の高僧・鑑真は、日本の仏教者に戒律を授けるため、度重なる渡海の失敗と失明という悲運にも屈せず、12年の歳月をかけて渡来。東大寺に戒壇を設けた後、この地に唐招提寺を建立した。「うちわまき」は、その唐招提寺の中興の祖、覚盛上人の命日5月19日に行われる法要で、正式には「中興忌梵網会」という。「覚盛上人は、平安遷都で衰退した寺を鎌倉時代に復興し、“鑑真和上の再来”と謳われた高僧です」と教えてくれたのは唐招提寺執事の石田太一さん。うちわまきの由来についてこんな逸話があるという。「ある夏の日、覚盛上人の体に蚊が止まりました。弟子たちが蚊を叩こうとすると、師はこれを制し、『殺生はいけない。蚊に血を与えるのも菩薩の行である』と仏の道を示したそうです。慈悲深く、清廉な人柄の師を慕う弟子は多く、亡くなられたとき、法華寺の尼僧が★『せめてこれで蚊を追い払ってください』と手作りのうちわを供えました。以来、命日にはうちわが供えられるようになったと伝えられています」当日は13時から、うちわが飾られた講堂内で法要が営まれ、同時に、前庭で舞楽・雅楽が奉納される。その後、舎利殿と呼ばれる鼓楼から数百本のハート型のうちわがまかれる。うちわには千手観音と烏須沙摩明王の御真言が刷られており、これを授かると★魔除け、虫除けなどにご利益があるとされることから、多くの参拝者がうちわを求めて殺到する。そのため、近年は、安全を期して、用意したうちわのうちおよそ1000本は僧坊で手渡ししているとか。唐招提寺の境内には、天平時代に建立された金堂をはじめ、講堂、宝蔵、鼓楼(すべて国宝・世界文化遺産登録)などの伽藍が立ち並び、まるで屋根のない博物館といった風情だ。特に、井上靖の小説『天平の甍』で有名な金堂は、ギリシャ神殿を想わせるエンタシス(柱につけられたわずかな膨み)の柱が美しい。2000年から10年をかけた「金堂平成大修理事業」が2009年秋に完了し、一般公開されているので、ぜひ拝観したいものだ。
★2020年は法要のみとなり、うちわまきの一般参加はありません。
奈良市の唐招提寺で19日、770年以上続く恒例行事「うちわまき」が開かれた。新型コロナウイルス対策で拝観停止中のため、戦後初めて一般の参拝客を入れずに寺の職員ら約60人のみで実施した。午後3時に鐘が鳴ると、国宝「鼓楼」の2階から、ハート形のうちわ「宝扇」を僧侶がまいた。宝扇は長さ約40センチで、厄よけや虫よけの御利益があるとされる。まかれた本数は、例年の5分の1程度の約100本。風に乗ってひらひらと舞ったり、まっすぐ落ちたりするのを、下で待ち構える寺の関係者が取った。西山明彦長老は「伝統行事をやめるわけにはいかないので、職員のみで実施した」と話した。(共同通信より)
★2020.5.29新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除されたことに伴い、唐招提寺は6月1日(月)から境内の拝観を再開いたします。非常事態宣言は解除されましたが、再流行の可能性も危惧されることから、6月5日(金)~7日(土)の「鑑真和上坐像(国宝)の御開帳」を中止いたします。なお、6月5日(金)、6日(土)の「開山忌舎利会」につきましても、一山僧侶のみで厳修いたします。講堂内にお入り頂けませんが、ご理解の上ご寛恕頂きますようお願い申し上げます。
・・・お隣「薬師寺」の重要な情報を紹介しておきます。
★平成21年より史上初の全面解体修理が進められてきた東塔が4月に修理が完了し、東塔内陣特別公開は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止されています。
★Youtube 国宝・東塔「平成大修理」密着動画のお知らせ
https://www.yakushiji.or.jp/news/2020-06-04.html
Youtubeの読売テレビニュースで6月1日より5週にわたり【密着】世界遺産・薬師寺 国宝・東塔大修理 動画が毎週1本ずつ★期間限定で公開されます。
-以下番組公式紹介文より引用-
読売テレビは2009年から行われた奈良の世界遺産・薬師寺の国宝・東塔平成大修理に11年にわたって密着、その貴重な映像を5回にわたって公開します。東塔は、1300年前に建てられた当時の姿を保っている、日本を代表する木造建築です。大きな屋根と小さな屋根が重なる三重塔で、その絶妙なバランスが作り出す美しさが愛されてきました。 第1弾は塔の解体で明らかになった1300年の歴史です。瓦や壁、塔を形作る1万超の木材を1つ1つ取り外していくことで、決して見ることができなかった塔の内部があらわになっていきます。 木材のひとつひとつには、塔を建てた古代日本の技術の素晴らしさ、それを守り伝えた人々の努力が刻み込まれていました。こうした木造建築の根本的な修理は、百数十年に一度といった頻度でしか行われません。貴重な映像をじっくり御覧ください。
(1)https://www.youtube.com/watch?v=779s8T1HlNg
(2)https://www.youtube.com/watch?v=ouh9YQUPyoA
(3)https://www.youtube.com/watch?v=du91kgaVKtk
《参考》「すもも祭(7月20日)」大國魂神社
183-0023東京都府中市宮町3-1/042-362-2130
https://www.ookunitamajinja.or.jp/matsuri/7-sumomo.php
当日神社では五穀豊穣・悪疫防除・厄除の信仰をもつ★「からす団扇」「からす扇子」を頒布しています。この扇を以て扇ぐと、農作物の害虫は駆除され、又病人は直ちに平癒し、玄関先に飾ると魔を祓いその家に幸福が訪れるといわれ、これを受ける人達で境内は終日賑わい、参道には李子を売る店をはじめ多数の露天商が軒を連ねます。「からす扇・からす団扇」の起源は、五穀豊穣・悪疫防除の意味からで、その扇や団扇で扇ぐと害虫は駆除され病気は平癒する、という深い信仰があるからである。そのいわれは今から約1200年前、大同2年(807年)に「古語拾遺」の神話から出ており、内容は次のとおりである。
神代の昔、大地主神が田植えをなさる時に、早乙女や田夫らを労うために牛肉をご馳走(※)した。 ところが御歳神の御子がそれをご覧になって家に帰ってそのことを御父にお告げになった。 御歳神は、これをお聞きになり非常にご立腹なされて、田にイナゴを放ち、苗の葉をことごとく 喰い枯らせてしまった。大地主神は大変に驚かれて、何か神の崇りであろうといって卜者を呼んで 占わせてみたところが「これは御歳神の崇りであるから宜しく白猪、白馬、白鶏を献じて お詫びするのがよろしい、されば怒りも解けるであろう」とお告げがあったので、その通りに したところお怒りが解けたばかりではなく、蝗の害を駆除する方法も、いろいろと教えて下された。 その方法の中に「烏扇をもって扇げ」とお教えなさったのである。※明治に入るまでは、鳥以外の肉を食する事を嫌っていた。
・・・魔除け・厄除けと言えば「アマビエ」ですが、まあ皆さん元気にいろいろ作っておられます。新型コロナも吹っ飛ぶ勢い?ですね。ようするに★「つくる」ってことは元気の証だということなのでしょう。
・・・団扇だけでもこれだけあるのですから、まあ様々なアマビエグッズであふれています。
・・・パロディは問題になる場合もありますが、理屈抜きに楽しませていただいております。