中止連絡が遅くなり、申し訳ございませんでした。
この間、様々な状況・情報・動向を見守ってまいりましたが、非難・批判・非常識?ばかりが横行し、自信をもって判断・決断・結論を出すことができません。
もとより、美術館やギャラリーなどの閉鎖的空間「キューブ(cube)」(密)でのアートには限界があると考えておりました。2021年度開館される「大阪中之島美術館」の基本コンセプトは「パサージュ(passage)」であり、「通過」「小径」「回廊」を意味しています。
同一線上にある「商店街」において、2019年5月(令和)より堺山之口商店街「玉手箱プロジェクト」をスタートさせ、新しい時代にふさわしいアートが展開できればと考えてきました。
今回の「緊急事態宣言」を受けて、学校・施設・公園などが閉鎖・閉館・閉店されています。私たちプロジェクトの「展示替え中止」など、さほど大きな出来事ではありません。しかし、簡単に「右に倣え的であっていいのか?」と考えてきました。そして今日、
●2005年107人もの犠牲者を出したJR西日本「福知山線」脱線事故から、15年。
●2014年、鉄道事業者で初めてとなる計画運休を実施して、自然災害時における前向きな運休を業界で一般的にした。
●2022「JR西日本グループ鉄道安全考動計画」の中で、「異常時には現場の判断を最優先とする」という考えを掲げている。
しかし以後に生起した事故は、いずれもこれだけ危険な状況にありながらも「運転継続」という現場判断を下してしまった。はたから見れば、異臭・異音を感知すれば、真っ先に停止措置を取れば大きな事故を防げると考える。ところが、当事者にとっては列車を止めること、つまり遅延・運休はとても罪深いことであるという考えが染み付いており、多数の乗客や先のJR東海管内にも迷惑をかけることを考えると、決断する勇気がなかったのだと予想できる。それほど、「定時運転こそが鉄道の原理である」という考え方が、今もなお根深く残っており、その風土が本来、真っ先に守るべきはずの安全を揺るがしているのである。
以上のニュースに接するとともに、現在進行形で医療現場の混乱・混迷・葛藤は並大抵のものではないと思うと、私たちが今できることの最善は、「良かれと思って」などということも含めて「余計な」意見や行動を起こさず、静かに「見守る」(※「静観する」という意味ではない)ことではないかと思うのです。
無責任に「専門家に任せる」ということではなく、専門家の方々が外野のくだらない意見や行動に左右されることなく「専念できる」状況を生み出すために、積極的な意味での「中止」でなければと思っています。
うだうだ書きましたが、「5月展示替え」を中止いたします。
コンダクター/イシバシオサム