・・・2016年8月の「主題派大作展」テーマが「音・音色」。夏そして音、最初にうかんだのが「芭蕉」。
《閑さや岩にしみ入る蝉の声》作:松尾芭蕉
元禄2年5月27日(1689年7月13日)に出羽国(現在の山形市)の立石寺に参詣した際に詠んだ発句。『奥の細道』に収録されている。随伴した河合曾良が記した『随行日記』では山寺や石にしみつく蝉の声とされている。『奥の細道』の中でも秀吟の詩として知られている。
1926年、歌人の斎藤茂吉はこの句に出てくる蝉についてアブラゼミであると断定し、雑誌『改造』の9月号に書いた「童馬山房漫筆」に発表した。これをきっかけに蝉の種類についての文学論争が起こった。1927年、岩波書店の岩波茂雄は、この件について議論すべく、神田にある小料理屋「末花」にて一席を設け、茂吉をはじめ安倍能成、小宮豊隆、中勘助、河野与一、茅野蕭々、野上豊一郎といった文人を集めた。アブラゼミと主張する茂吉に対し、小宮は「閑さ、岩にしみ入るという語はアブラゼミに合わないこと」、「元禄2年5月末は太陽暦に直すと7月上旬となり、アブラゼミはまだ鳴いていないこと」を理由にこの蝉はニイニイゼミであると主張し、大きく対立した。この詳細は1929年の『河北新報』に寄稿されたが、科学的問題も孕んでいたため決着はつかず、持越しとなったが、その後茂吉は実地調査などの結果をもとに1932年6月、誤りを認め、芭蕉が詠んだ詩の蝉はニイニイゼミであったと結論付けた。ちなみに7月上旬というこの時期、山形に出る可能性のある蝉としては、エゾハルゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、アブラゼミがいる。
《主題派機関紙No.50》2016.8発行「音・音色」・・・作品との響きあい
ドドッドー、バリバリー、大きな地響きをたてて悲鳴とともに崩れ落ちる家屋、最大震度7を二回も観測した熊本地震、いつまた余震が来るかと息を殺して耳をそばだてる、人々の恐怖と不安・・・日常生活の中で当たり前のように流れている「音」だが、時としてありえない「音」を耳にすることもある。「助けて!」と泣き叫ぶ声、「早く平穏な生活に」と祈るような声、支援に駆けつけた人々の励ます声、聞こえなくても心で訴えることもある。人は太古の昔から、「音」とともに生活してきた。風の音・雨の音・雷の音・水のせせらぎ・木々のざわめき・生き物の鳴き声など、自然現象から聞こえてくる「音」に、時には心癒され、時には怯え、時には慰められて共有してきた。一方、人間の生活の中から生み出される「音」もある。テレビ・ラジオから流れる音、自動車や電車の音、工場のものづくりの音、楽器が奏でる音、そして人の声、話し声、笑い声、泣き声、怒鳴り声など、これらも同様に人間の生活の中でいつでもどこにでもある風景から聞き取れる「音」である。さて、この「音」を絵画や造形に取り込めば、いったいどのように作品と「音」とが共鳴し合うのか。カンディンスキーやアボット・ホイッスラーなどは、絵画と「音」を見事に融合させ、素晴らしい作品に仕立てている。私たちもそれぞれの生活の中から、「音」を拾い出し、感じ、どのような個性豊かな作品が生まれるのか、楽しみである。(平成28年度テーマ委員)
・・・そして私は、ショックでした、「しずかさや いわにしみいる せみのこえ」。単にうるさい・さわがしいとしか聞こえなかった私、このように聴くことができるかなあ。今回のテーマをいただき句の感動がよみがえり、無心に制作することができて・・・楽しかったなあ。
How still it is here Stinging into the stones, The locust's trill
Ah, tranquility! Penetrating the very rock, a cicada's voice
・・・さわって遊んでいただく作品で、「個展」では保育園児たちが大はしゃぎでした。
・・・今回制作する「キクチサヨコ」の背景(BGM)にずっと流れているのは、「蝉の声」なんです。カブトムシも登場します。だから、セミ作ります。
・・・年老いた母親の「写経」を用いています。だから鳴き声は「ナ~ム、ア~ミ」です。
・・・蝶そしてセミと続きましたが、そろそろ主役をどうするのか?イメージに合った人形を探しました。そして、見つけました。
《オビツ製作所》
東京都葛飾区金町4-4-11/03-3600-2561
弊社は1966年・創業当初から「MADE IN JAPANにこだわる、心を込めたものづくり」を企業理念としております。私は創業時から前社長であります故★尾櫃三郎と共に、ひたむきに国内生産を続け、約半世紀オビツ製作所と歩んでまいりました。不況が叫ばれる昨今でも、少数生産から安定したクオリティの高い商品を製作し続け、おかげさまで創業以来「営業」することなくお仕事のご依頼をいただいております。近年は、日本国内だけでなく世界で特許取得している弊社商品「オビツボディ」の輸出及び海外からの商品製作依頼が増え、弊社技術の認知度が拡大しております。またロサンゼルスやシアトルで開催された日本のPOPカルチャーを紹介するコンベンションにご招待いただき、ものづくりの講演等を行う事で海外でも弊社のものづくりに対する真摯な姿勢を評価していただいていると確信しております。今後も前社長の遺志を継ぎ、いただいた御縁を大切にしながら東京・葛飾の地場産業である★「スラッシュ成型」を未来へ継承し、ソフビ人形、ドールフィギュア、アミューズメントパーツ他、多様なジャンルでのOEM生産及びオビツ・オリジナル商品製作に邁進いたします。「Made In Japan」にこだわり続ける、オビツ製作所にご期待ください。
★「オビツ11」
https://www.obitsushop.com/SHOP/11BD-D01W-G.html
約11cm(ヘッド接続時)の小型ボディです。小型ながらも広い可動範囲と関節保持力。さらに足裏にマグネットを装着し、鉄製品の上で自立能力がさらに増します。従来のソフビヘッドを接続可能な首アダプタ3種と補助用ワッシャ平手、持ち手、握り手の三種の手首パーツ、スチール板が付属します。
http://parabox.jp/o_body_11.html
・・・「オビツ11」はボディのみ使用、衣服や頭髪はダイソー「エリーちゃん」のものを改造して製作しました。我ながらますまずの出来だと思っています、きゃわいい~。