・・・本箱、本棚・書架・書棚・ブックシェルフなど様々な呼び方があります。
●日本大百科全書(ニッポニカ)より「書棚」
書物を並べる棚で、本棚ともいう。和式と洋式がある。和式の書棚は江戸時代には厨子(ずし)棚、黒(くろ)棚とともに三棚といわれ、大名家の嫁入り調度の一つとされていた。厨子棚と黒棚は居間に置かれ、書棚は客間座敷に置かれた。しかし現在では書棚といえば、ほとんど洋式のものをさすようになった。洋式のものには木製と鋼製があり、前者は主として家庭で使われ、後者はオフィスで使われる。構造のうえからは単位の大きさのものを組み合わせるユニット式、分解組立てするノックダウン式、天井と床の間に柱を立てて支える壁面取付け式などに分けることができる。また書物の収納量を増すために、書棚全体をレールの上にのせ、移動して前後に重ね合わせて収納する形式もある。書物の収容量は、間口90センチメートル、高さ180センチメートルのもので、普通200~250冊程度である。
●精選版日本国語大辞典より《書棚》
〘名〙書物を載せてしまっておく棚。本棚。書架。本箱。
※蔭凉軒日録‐文明一七年(1485)九月一五日「書棚積レ書置二書院一事、寺家常之事也」
※三四郎(1908)〈夏目漱石〉四「一時間後には、どうか、かうか廊下の書物が書棚(ショダナ)の中へ詰って仕舞った」
※ふみ‐だな【書棚】
〘名〙 書物を並べてのせておく棚。書架。本棚。しょだな。〔和爾雅(1688)〕
●世界大百科事典内の「書棚」より《本箱》
・・・西洋では本来,聖書などを入れる〈バイブル・ボックス〉のように単純な蓋付きの箱を意味したが,後には書物をのせる棚と扉を備えた戸棚の形式を意味するようになった。ブックケースという語は一般にガラスの入った扉付きの戸棚を指すので,棚だけを備えた書棚book shelfとは区別する。ヨーロッパでは16世紀末ころまでチェスト(櫃)に書物や貴重品などを納めていた。
●家具用語集より《ブックシェルフ》
ブックシェルフは本を収納するための家具。本棚のこと。収納する本や雑誌の高さにあわせて、棚の高さを調整できるタイプも多い。扉付きのタイプ、棚が可動するタイプもある。サイズも様々で、設置すると壁一面の大きさになるものから、ひとり暮らし用の小さなものまである。素材も木製、ステンレス製など多岐にわたる。本・雑誌だけでなくCDやDVDなどの収納棚として利用したり、雑貨や植物などを設置し飾り棚として使う人も多い。
《参考》書棚.comより
本棚選びに迷ったらコレ!老舗本棚専門店が選ぶ、初心者にもおすすめの本棚
https://www.e-syodana.com/howto/
・・・本立て、マガジンラックやブックエンドというのもありますね。
《ブックエンド》(bookend)
立て並べた書物の両側または片側にあてがって、書物が倒れるのを防ぐもの。本立て、本立(読みは「ほんたて」)とも。日本では(和製英語的に)「ブックスタンド」とも呼ばれることがあるが、英語圏でブックスタンドという場合、日本で言うところの書見台、及びブックスタンダーを指す。ブックエンドは、立てられた本の列の終わりに置くことで、本を立てておいたままの状態で保つために設計された道具である。ブックエンド無しでは、特に薄い本などは斜めに倒れてしまう。初めから本を横にして置いておけば倒れることは防げるものの、それでは下の方にある本が取り出しにくいため、本を立てておく必要があり、それでブックエンドが必要とされるのである。本棚の中、机の上等々で用いられる。図書館、出版業者、一般家庭などで広く用いられている道具である。
材質・構造としては、金属製の薄い板を型抜きし、L字形または逆T字形(⊥の形)に加工したものが一般的である。本自体の重みによって、本が横に倒れるのを防ぐ仕組みとなっている。このほか、書架の棚板の下面に固定して、棚板にぶら下げるタイプのブックエンドも存在する。こちらは金属製の棒をU字形に曲げた形になっている。
・・・近年、図書館のイメージが大きく変化し、とても素敵な場所に変身しつつあります。本屋さんは減少していますが、新しいスタイルのブックカフェや、泊まれる本屋までできてきました。以前から「まんが喫茶」とか「ネットカフェ」はありました。
《参考》西日本ブックカフェ協会
https://www.bookcafe-west.org/
周知のとおり、新刊書店並びに古本業界においては、インターネット通販による流通の革命が起きています。一般 消費者にとっては飛躍的に利便性が高まった半面、リアルな店舗を運営する書店においては、顧客数が激減する厳しい経営環境となっています。新聞記事によると今年現在、全国の自治体の5分の1にあたる332市町村に新刊書店がないとのことです。しかも、その数は増加傾向にあります。「本」に触れる機会が年々減少することは書籍文化の衰退につながる危険性があります。その一方で近年、コンセプトが明確で個性的なブックカフェが全国的に増加しており、新たな顧客層を開拓しつつあります。特徴ある品揃えで地域や趣味を同じくする方々のコミュニティの場として認知されてきております。また、空き家・空き店舗の増加、商店街の衰退、郊外団地の空洞化、地域包括ケアシステムを支えるコミュニティの不足という日本の多くの自治体が抱えている問題に対してブックカフェが有効な対策に結びついている事例が増えております。つまり、ブックカフェは単なる古本屋ではなく、様々な社会的問題を解決するソーシャルビジネスとしての側面を持ってきております。そこで、ブックカフェの開業を希望しておられる方々に、開業前から開業後の様々な経営支援、共同購入・共同配送などのバックヤード機能を提供するため、『西日本ブックカフェ協会』を設立することとしました。これは、公益財団法人ちゅうごく産業創造センターが平成27年度に実施した「空き家等のリノベーションを通じた地域振興方策調査」及び「地域包括ケアを支える都市機能のあり方に関する調査」のプロジェクト調査委員会の有志により結成するものです。当面は、広島地区において運営・確立し、地方創生のソーシャルビジネス・スモールビジネスモデルとして地方都市に拡大したいとの所存ですので、ご支援・ご協力賜りますよう、お願いいたします。
※泊まれる本屋
《NEWS》2018.6.24毎日新聞「社説」より
止まらない書店数の減少、このままでは寂しすぎる
手に取って本を選べる、街の中の「リアル書店」がどんどん姿を消している。東京・六本木の青山ブックセンターが、あすで38年の歴史に幕を下ろす。流行に敏感な立地で、2011年の震災前には午前5時まで営業していた。アートやサブカルチャー系に強く、ファンも多かった。「長年売り上げの減少が続いていた」というのが理由だ。今年2月には、東京・渋谷の代々木上原駅前で約40年間愛された「幸福書房」が看板を下ろした。個人経営で、元日をのぞく毎日、朝8時から深夜まで営業していた。地元に住む作家の林真理子さんが応援していた店だけに、閉店も話題になった。1996年をピークに長く続く出版不況のなか、書店を取り巻く環境は厳しさを増している。書店調査会社アルメディアによると、今年5月1日現在の全国の書店数は、前年比500店減の1万2026店。10年前に比べ3割近い減少だ。一方で伸長しているのが、電子出版市場だ。昨年は電子コミックの販売額が初めて紙を逆転した。さらに「リアル書店」を脅かすのが、アマゾンなどの「ネット書店」だ。欲しい本が指定した日時に配達され、確かに利便性は高い。とはいえ、本当に電子書籍とアマゾンだけでいいのか。仕事や学校帰りに、ふらっと立ち寄った書店で、何気なく手にした本との幸福な出合いを経験した人は少なくないだろう。うんちくたっぷりの店主との会話を楽しむのも、リアル書店ならではの充実した時間だ。書店がもたらすのは、そうした暮らしの潤いだ。中小書店の稼ぎ頭である雑誌やコミックの販売の不振など、経営的な問題はもちろんあるだろう。しかし、街にとって書店がどういう存在なのか、住民や自治体も、考える時にきているのではないか。米国では「デジタル疲れ」などで電子書籍の販売額が減り、紙の本の売り上げが回復しているという。発想とセンス次第で、リアル書店の活路はまだまだあるはずだ。駅前にあるのがファストフード店とコンビニエンスストア、パチンコ屋だけではあまりに寂しすぎる。
《NEWS》2019.2.5Jタウンネットより
大阪から姿を消した「天牛堺書店」もう開かないシャッターに、感謝のふせん続々と
大阪府堺市を中心に12店舗を展開していた「天牛堺書店」が、2019年1月28日、大阪地裁堺支部に自己破産を申請、破産手続き開始決定を受けた。天牛堺書店は1963年に創業。古本買い取り店から発足し、新書と古書を併売する業態で知られ、人気があった。最盛期には年売上高約28億円を計上したことも。しかし集客力が年々低下し、店舗の閉店も相次いでいた。突然の閉店から数日。ツイッターには、閉店を惜しむ人々のメッセージが閉じられたシャッターに貼られる様子の写真が投稿され、話題となっている。多くの人が 足を止めてメッセージに目を通す人で一杯でした。シャッター前にはふせんとペンが用意されていて、閉店を受けての思いを自由に書き込める状況となっているよう。
・・・「本箱」も単なる箱ではなく、様々なおもしろい工夫がされるようになってきました。
・・・「本」そのものの価値は普遍的なものだと思います。それらを保存公開する「箱もの」としての図書館は、時代のニーズにあわせてサービスを改革していく必要があります。シャッター通りと揶揄される「商店街」においても、学ばなければならないことは多いと思います。