《参考》メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド
33、 rue du Champ de Mars 51100 REIMS/+33(0)3 26 35 36 00
http://musees-reims.fr/fr/musees/la-chapelle-foujita/
MMMは、2003年にRMN(フランス国立美術館連合)とDNP(大日本印刷)との共同プロジェクトとして開設されたMMF(メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス)を前身としています。MMFの開設10周年を機に、それまでの活動を踏まえ、提供する情報や商品の領域を拡大し、2013年5月に「MMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)」と改称してリニューアル・オープンしました。
★「フジタ礼拝堂」Chapelle Foujita
1966年初夏、80歳の画家は礼拝堂内部のフレスコ画に着手しました。フレスコ画は漆喰を塗った壁が乾ききらないうちに素早く描かなければならないため、失敗が許されません。大変な集中力を必要としますが、フジタは毎日12時間、壁と向かい合い、全部で200m²にもおよぶ空間をわずか90日間で仕上げました。こうして秋に完成した礼拝堂は、ランス市に寄贈されることになりました。正面の壁画にはキリストを抱いた聖母が描かれ、その右側のサインの部分に君代夫人が描かれています。君代夫人は2009年4月に逝去され、最愛の夫が眠る礼拝堂右側、≪最後の晩餐≫の絵の下に葬られました。入り口上のキリスト磔刑図の右側には、ひざまずくラルーとフジタの自画像が描かれています。ステンドグラスがある出窓の部分の壁には、この土地にふさわしくシャンパンの樽に腰掛ける聖母とキリスト、その向こうにはぶどう畑や大聖堂が見えます。聖母を樽の上に腰掛けさせるという斬新な図像を描くにあたって、フジタは法王に許可を取ったと伝えられています。ステンドグラスはフジタの下絵を、ランスの名匠シャルル・マルク(Charles Marq)の手によって仕上げられました。その主題は、洗礼を受けたフジタの想いを表すかのように、「天地創造」や「アダムとイヴ」、★「ノアの箱船」など『旧約聖書』からとられました。また聖具室の扉にも注目してください。16枚の小さな絵がありますが、イタリア・ルネサンスのボッティチェリ(Sandro Botticelli)、ドイツ・ルネサンスのクラナハ(Lucas Cranach)やデューラー(Albrecht Dürer)など、美術史を飾る巨匠にフジタが捧げた★オマージュになっています。このように礼拝堂には、見るべきたくさんのディテールがありますが、礼拝堂奥の左右にあるステンドグラスは、故国日本に対するフジタのまなざしを感じ取ることができる作品です。テーマは広島――。ヨーロッパとアジアで大戦を経験したフジタは、戦争の悲惨さを身にしみて痛感していたのでしょう。この礼拝堂を平和の聖母に捧げたのも、穏やかな世界を希求してのことです。小さい空間のなかには、画家の強いメッセージがあふれています。
・・・藤田さんにとって、この教会は思いのすべてを凝縮させた「方舟」だったのかもしれません。
《ノアの方舟-蒐集(コレクション)による作品たち》
2014年3月22日~7月6日/於:兵庫県立美術館
フォトグラファー:澤田知子/アーティスト:東山嘉事、小野和則、横尾忠則、森村泰昌、長谷川潔、野村仁
賢者ノアはあらゆる動物を集めて舟に乗せ、大洪水を生き延びた―。旧約聖書の有名な物語を冠した展覧会「ノアの方舟―蒐集(コレクション)による作品たち」が兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1)で開かれている。「ものを集める」という、古来から続く人間の志向に注目し、同館所蔵の現代美術作品を中心に約80点を紹介している。人や大砲の形をした鈍く光るオブジェ。プラスチック製のおもちゃなどが組み合わされ、強い存在感を放つ。三田市を拠点に活躍した故・東山嘉事さんの「芸術防衛隊」シリーズ(2002年ごろ)だ。「収集は、星座を見つけることに似ている」と同館の河田亜也子学芸員。「無数の事象の中から選び出されたものには、集めた人の世界観が映し出されているから」という。放射線を遮る鉛を用いた河口龍夫さんの作品群は、植物の種子を鉛の板に閉じ込め、土、水、空気を封入した筒を鉛製の温室に並べる。チェルノブイリ原発事故後に制作され、生命の源を後世へ守り抜く祈りを込めた現代版「ノアの方舟」といえる。野村仁(ひとし)さんの「‘Grus’Score(グラス・スコア)」は、大空を飛ぶ鶴の群れを捉えた写真と、そこから紡ぎ出した楽譜や演奏録音で構成したインスタレーション。自然の美や調和を空間全体で感じることができる。空想上の美術館の模型も並ぶ。美術館自体も今昔の作品を収集・展示し、未来へと伝える役割を担った「方舟」なのだと伝える。
《リアス・アーク美術館》
988-0171 宮城県気仙沼市赤岩牧沢138-5/0226-24-1611
http://rias-ark.sakura.ne.jp/2/
気仙沼市に1994年開館したリアス・アーク美術館。リアスとは、美術館のある気仙沼市周辺によく見られるリアス式海岸のこと。アークは、旧約聖書に登場する「ノアの方舟」です。旧約聖書の中でノアが大洪水後の地球に生物圏を復活させるため、多種多様な動物を方舟に乗せて未曾有の天災を乗り切ったように、リアス式海岸地方を有する同地域特有の文化資源を発掘し、調査・収集、展示する方舟のような美術館です。そのコレクションの柱は大きく分けて2つ。東北にゆかりのある美術作品と、三陸沿岸部の歴史・民俗資料です。常設展示室は「アークギャラリー」も美術作品展示と民俗資料展示の2つに分けて展示されています。美術に関しては、開館以来、宮城県内の作家を中心としながら、より多様な芸術表現に触れる機会を利用者に提供できるよう心がけてきたと言うことです。これまで開催された展覧会の内容は、「絵画」「版画」「彫刻」「写真」「工芸」など多岐に渡っています。展示作品の多くが、過去に行なった展覧会(主に個展)の各作家から寄託・寄贈されたもの。ちょっと風変わりな絵画や、インスタントラーメンが歩く姿を表現した金属工芸など、造形的にも特徴的で、面白いコレクションが少なくありません。地域の歴史・民俗資料は、「食」をキーワードに地域の民俗資料を展示するもので、「方舟日記 ー海と山を生きるリアスなくらしー」というタイトルが付いています。この地域は太古の昔から食料の宝庫とも呼べるほど恵まれた土地であり、それは今も大きく変わっていません。「方舟日記」では当地域を昔も今も支えてきた「食文化」を中心にした資料を展示。学芸員の手書きイラストパネルによる解説や、囲炉裏など過去の暮らしを再現した実物展示にも注目してほしいと思います。気仙沼湾を見下ろす丘陵の一角に立つ美術館ゆえに、津波の影響を直接は受けませんでした。しかし、強い揺れで天井や壁面が剥落し、ガラスは割れ、外壁に亀裂が入るなど建物は損壊。作品の一部も大きなダメージを受け、一時的とはいえ全館休館に追い込まれたのです。スタッフの中には家が流されたり親族を亡くした人もいました。しかし、関係者の努力により震災か1年少々で一部開館にこぎつけ、昨年4月には完全再開したのです。「復興のシンボル」とも言える館の完全復活でした。再開後、新しい常設展示が、美術館1階の「東日本大震災の記録と津波の災害史」が公開されました。震災直後から学芸員たちが被災地を実際に歩いて撮影した約3万点の写真、収集した約250点の被災物の中から厳選した資料が主たる展示物。いわば2年間の調査活動の成果です。大きな物も、小さな物も、震災以前は誰かの所有物であり、持ち主には愛着もあったでしょう。これらの展示は「東日本大震災をいかに表現するか」だけでなく、「東日本大震災を地域の未来のためにどう活かしていくか」をテーマに編集されたもの。しかも、震災の恐ろしさを後世に伝えるという大切な役割も持っています。二度と同じ過ちを起こさないよう、我々は過去に学ばなければいけません。リアス・アーク美術館は、そう考えさせてくれる施設です。
《リアスアーク美術館開館20周年記念展》
「震災と表現★BOX ART共有するためのメタファー」展
http://d-info.jp/archives/1410
リアスアーク美術館は宮城県気仙沼市、南三陸町の広域文化施設として開館してから20年がたちました。途中、東日本大震災による長期休館を経て、この度20周年記念展を開催しています。震災による休館以降、常設展として「東日本大震災の記録と津波の災害史」を展示しています。今回の展覧会では45の参加作家、団体によるボックスアートが展示されています。
ボックスアートとは、規定のサイズの「箱」のかたちの中に作品として表現する手法です。
宮城大学からは南三陸町での復旧•復興支援活動から読み出されたテキストを造形にした作品「対話のジュークボックス」を出展しています。また、2014年9月17日にロンドンメトロポリタン大学との大学間連携協定が締結されたのを機に、ロンドンメトロポリタン大学の学生が東松島市で行ったデザインスタジオの内容を作品とした「16 proposals for Higashi-matsushima」が出展されています。発災以来、宮城大学事業構想学部デザイン情報コースの中田千彦研究室は、南三陸町戸倉長清水(ながしず)という小集落の支援活動を継続しています。2011年6月、研究室の学生や有志により、地域の人々の未来を思考するためのワークショップを避難所となっていた民宿にて開催しました。愕然とする光景を目の当たりにした学生たちが地域の人々の未来を考え、全身全霊を込めて描いたスケッチを束ね、その中から一つでも心の支えとなるようなアイデアを取り出してもらえるよう、枚数を重ねていったものをいつしか私たちは「A Book for Our Future、 311」と読んでいました。その後、地域での活動は様々な話題に展開し、養殖漁業の再開を支援する番小屋の建設や復興活動のシンボルとしての「ながしずてぬぐい」の製作、さらに地域での産業再生の手がかりとしての漆苗木植林プロジェクトなど、数多くの取り組みが「A Book for Our Future、 311」から発進しました。今回の作品は、私達の一連の活動の経験と履歴を収納、そしてこれから求められる多様な試行錯誤と発想のさらなる飛躍を促す作品を学生とともに作ります。作品のメタファーは「ジュークボックス」です。音楽を次から次に送りだす、少しレトロな存在ですが、ボックスに格納された発想や思いがまるで音楽のように奏でられ、人々の未来の創出に働きかけをしていく様子を作品にしたいと思っています。
・・・ぜひ、行ってみたい。
いつまでも逃げられる準備をはじめたのはいつの日からか。
絵に、アトリエに、車輪がついていたっていいじゃない。
大事な絵たちと描く道具、大好きな書籍に小物たち。
そうだ、植物たちも連れて行こう。
逃げて逃げて、描いて描いて。
逃げて逃げて、描いて描いて。
《ギャラリー・マルヒ》
113-0031東京都文京区根津2-33-1/03-5832-9911
ギャラリー・マルヒは根津の路地にある元質屋をリノベーションしたギャラリ―です。大正6年(1917年)に建造。和室六畳間に隣接された「座敷蔵」が特徴です。ギャラリーとして、展覧会、展示会、イベント、ワークショップなど・・・カフェとしてもご利用いただけます。
★企画展/新創世記Ⅲ「5章:ノアの方舟・11章:バベルの塔」
2019年2月9日(土)~17日(日)/中垣拓磨・石下雅斗
「新創世記」第三弾は、誰もが知る『5章ノアの方舟』と『11章バベルの塔』です。中垣拓磨は鉛筆ドローイングで「方舟」描き、それを基に木工で立体化します。また、石下雅人は人体と建築の一体化した「塔」を塑像で創り出します。