・・・次なるデュシャンのオマージュ制作は、「チェス」です。その前にデュシャンについて、頭を整理しておきたいと思います。
《NEWS》2018.10.28産経ニュースより
デュシャンと日本美術/「頭」で楽しむ美の悦楽
故国フランスで無名だったデュシャンを米国で一躍有名にした伝説的絵画「階段を降りる裸体No.2」(1912年)が展示されている。キュービズム的手法で身体運動を抽象化しようとした20代半ばの意欲作だが、間もなく彼は絵画制作を放棄。次に展開したのは、いすに取り付けた自転車の車輪、百貨店で買った瓶乾燥器、便器…などのレディメイドの作品だった。「彼は『創る』のではなく★『選ぶ』ことにしたのです」。工業製品の機能美を称賛したいわけではなく、「身の回りのすべてのものが芸術になり得るという概念の提示。彼の中で生活と芸術の境界はなくなっていった」と分析する。「重要なのは、デュシャンが『目』よりも『頭』で楽しむ芸術、『見る』というより★『考える』美術の扉を開いたことでしょう」何げないものに新たな価値を与える★“知的ゲーム”は、日本の茶の湯にも通じる。既に室町末期から、茶人は朝鮮半島で焼かれた日用雑器を茶道具としてめでるなど、★「見立て」の精神を発揮。米フィラデルフィア美術館のティモシー・ラブ館長も★「自然をそのまま生かす日本人の感性は、偶然性に事を委ねることを好むデュシャンの感性にどこか似ている」と指摘する。死後に公開された「遺作」がフィラデルフィア美術館にある。デュシャン芸術に通底する性的欲望を表した作品だが、複雑な★構造物であるため門外不出。映像と関連資料で読み解くしかないが、きわどさと悪趣味な要素も相まって謎めいている。ラブ館長は言う。「デュシャンはいつも★『遊び』を好んだ。遊びの中に、深遠な何かを見ていたのでしょう」先頃、英拠点の覆面美術家、バンクシーが競売で落札直後に額縁に仕込んだシュレッダーで自作の絵を切り刻んだように、現代美術は何でもあり。議論を巻き起こすアートの源流にはいつも、デュシャンがいる。
・・・そもそも「チェス」とは、
《チェス》chess
★2人で行うボードゲーム、マインドスポーツの一種である。先手・後手それぞれ6種類16個の駒を使って、敵のキングを追いつめるゲームである。チェスボード(チェス盤)縦横8マスずつに区切られ、濃色(「黒マス」と呼ぶ)と淡色(「白マス」)で市松模様に塗り分けられた正方形の盤。駒 (Chessmen)白・黒のキング・クイーン・ビショップ・ナイト・ルーク・ポーンの6種類計32個。それぞれ動き方が異なっている。このチェスボードと駒をあわせて、「チェスセット」と呼んでいる。文化的背景などから、チェスプレイヤーの間では、チェスはゲームであると同時に★「スポーツ」でも★「芸術」でも★「科学」でもあるとされ、ゲームに勝つためにはこれらのセンスを★総合する能力が必要であると言われている。
西洋の絵画、特に17世紀までのヴァニタスをはじめとする寓意的な静物画には、★触覚を示す比喩として、チェスボードや駒が描かれる事がある。また、近現代においては、マルセル・デュシャンは自身もチェス・プレイヤーをしていた経歴をもち、作品に度々登場させている。現代音楽では、★ジョン・ケージ(チェスに関してはデュシャンの弟子でもある)が、チェスボード上を動く★駒の音を作品に取り入れた例がある。
《NEWS》2017.9.12朝日新聞デジタルより
有田焼のチェス駒を開発 「最強」の新素材、世界へ一手
佐賀県有田町の陶磁器販売業者や窯元らが、有田焼のチェス駒を開発した。13日から19日まで東京都世田谷区の玉川高島屋に出展、予約販売を始める。色鮮やかで美しいのはもちろん、壊れにくい「最強」の新素材を使ったのが特長だ。創業から401年。競技人口7億人ともされるチェスで、世界市場に新たな一手を投じる。愛称は「チェジェル」。チェスの宝石という意味だ。古伊万里風の絵付けや金箔(きんぱく)が施されたものなど、16個1組の駒を10種類開発した。最も大きいキングは高さ10センチほどで、競技用として一般的な大きさ。県窯業(ようぎょう)技術センターが昨年開発した、磁器として「世界最高強度」を誇る新素材を初めて使用。一般の磁器の4倍ほどの強度があり、落としても壊れにくいという。有田焼は、昨年創業400年を迎えたのを機に、海外への販路拡大に力を入れている。同町の陶磁器販売会社「陶楽」の代表取締役原口隆さん(66)は、2020年★東京五輪を意識した商品開発を模索する中でチェスに着目。「将来、五輪の競技種目に」という機運があることや、フランスのセーブル焼などでも駒が作られていることを知った。「有田焼でセーブルに負けないチェス駒を作ろう」。センターの協力を得て、町内の窯元などと開発を始めた。新素材を使うため、水加減や土の収縮具合などの勝手が違い、型から外すとひびが入っているなど苦難もあったが、今年8月におおむね完成した。インテリアとしての使用も想定し、価格は駒1組あたり20万~50万円程度を予定している。有田焼1616年、朝鮮から来た陶工・李参平が磁器の原料を同町の泉山で見つけたのが始まり。17世紀後半には欧州に輸出され、佐賀藩が幕府、薩摩藩とともに参加した1867年のパリ万博でも来場者を魅了した。原口さんは「将来、五輪でも使ってほしい。チェスで有田焼を世界に発信できれば」。今後は駒の改良や、同じ素材を使った盤の開発も進める。
・・・チェスの駒は、インテリアとしてもオシャレですね。
《参考》「こけス」
https://kokesu.jimdo.com/こけス概要/
★青森県立黒石商業高校生の課題研究が生み出した『既存製品の新用途開拓商品 「こけス」 』
平成22年(青森新幹線が開通した年)黒石市のお土産として何か商品開発をしようと考え、こけしを昔のように、子どもの遊び道具とすることで、地場産業である津軽系伝統こけしの知名度を上げ、黒石市の活性化をめざしました。私たちはこけしの「既存製品の新用途開拓商品」として世界的なゲームチェスとコラボレーションさせることを発案しました。こけしの要素を活かすことで観光できたお客さんへ、チェスの要素を持つことで海外からの観光客へ販売できるのではと考え、先輩から後輩へと調査研究を引き継ぎ、開発された商品です。現在は指導してきた今が、退職を機に生徒から出された様々な研究仮説や提案を検証しようとこけスの製作・販売・普及を続けています。皆さんからのご意見をお待ちします。
・・・「こけし」と「チェス」、素晴らしいコラボです。
・・・それでは、オマージュ作品の制作にとりかかります。