《報道発表》2010.5.10
平成17年度に病院事業局に対して貸し出されていた★現代美術センター所蔵の絵画が紛失していることが判明したので、お知らせします。このような事態を招きましたことに対し深くお詫びいたしますとともに、今後、再発防止に向けて下記のとおり対処してまいります。
1 紛失した絵画
・作者:木村嘉子・作品名★作品 17−59・サイズ:116cm×116cm・設置場所:病院事業局次長室(府庁本館4階北側執務室内)
※平成17年度時点
・借用期間:平成17年4月1日〜平成18年3月31日・評価額132万5千円(寄贈当初)
2 本件の概要
・平成17年度、現代美術センターから病院事業局に対し1年間の絵画の貸出しが行われました。・その後、平成18年度から平成21年度まで、現代美術センターの運営を指定管理者が行うこととなりましたが、本件作品の貸出しの延長、更新の手続きがされないまま貸出しが継続されていました。・平成22年4月に現代美術センターの運営を指定管理者から府の直接実施方式に変更したことに伴い、長期にわたる貸し出し作品の所在確認を行ったところ、本件絵画について詳細が確認できなかったため、関係者及び庁内での捜索を行った結果、紛失したことが判明しました。・調査の結果、平成18年度に旧病院事業局の大部分の本庁機能が府立病院機構へ引き継がれることとなり、平成18年3月31日に移転作業を行った際、紛失した可能性が高いものと考えています。・こうした事実確認が遅れた点については、指定管理者において、18年度以降の毎年の更新手続きが一部の作品でなされていなかったこととともに、本府としても、指定管理者への当時の引継ぎや、指定管理者から毎年貸出状況の報告を受ける際に十分な確認ができていなかったことが主な要因と認識しています。・なお、本件絵画は作者から大阪府に寄贈されたものであり、5月6日に本件絵画の紛失について作者にお詫びと状況説明を行いました。
3 今後の対応
(1)作品管理の徹底と事務改善
・作品の貸出期間中も、現物確認を行うなど定期的に設置状況を確認します。・貸出先において日常的な管理を行う管理責任者を設置することとします。・組織改正や設置場所が変わる場合は、変更届を必ず徴し、状況確認を徹底します。・貸出作品に責任担当者、貸付期間、管理上の注意事項等を添付し、事故の未然防止に努めます。
(2)関係職員への処分等については、今後、事案についての十分な調査を行った上で適切に対応していきます。
【木村嘉子】(1933~)
高槻市に生まれる。1955年(昭和30)京都市立美術大学を卒業し、神戸海星女子学院高等学校の教諭となる。1957年(同32)★パンリアル美術協会に洋画家として初めて参加、会員となる。1962年(同37)神戸海星女子学院短期大学助教授、1971年(同46)教授。1973年(同48)NECOプリントによる制作を日本で最初に始める。1975年(同50)関西の現代美術家集団Ge展の結成、翌年の大阪府美術家協会の結成に参加、パンリアル展と平行して作品を発表、さらに個展でも発表する。1986年(同61)パンリアル美術協会を退会する。1996年(平成8)兵庫県教育功労者として表彰。
世界各地の先史美術の調査研究を続けてきた美術史家で、京都市立芸術大・大阪大名誉教授★木村重信(1925~2017)さんが京都芸大の教授をしていた頃の教え子であり、妻でもある。
※「パンリアル美術協会」
https://www.facebook.com/panreal21/
1948年に★三上誠らによって結成された前衛日本画グループである。結成当時のメンバーは、三上誠、山崎隆、星野眞吾、田中進(田中竜児)、不動茂弥、青山政吉、八木一夫、鈴木治である。その後、1949年5月にパンリアル宣言を出し、本格的に活動を始めた。現在でも、京都や大阪を中心に活動中。
http://hoshinogallery.com/zuroku/Z_77_1/index.html
《参考》現代美術の回廊ココア[COCOA]The Corridor of Contemporary Art
http://www.enokojima-art.jp/collection/cocoa.html
大阪府では、所蔵する約7,800点の美術作品による「大阪府20世紀美術コレクション」を、皆様により身近なところで鑑賞していただくために、大阪府庁本館1階から3階の吹抜付近に『現代美術の回廊-ココア[COCOA]The Corridor of Contemporary Art』を設置しています。
展示作品/1階:須田剋太(抽象絵画)3点。2階:大阪トリエンナーレ(絵画)12点。3階★木村嘉子(絵画)4点
《報道発表》2010.7.30
平成22年5月10日、現代美術センターが所蔵していた絵画1点の紛失を公表したところですが、下記のとおり、今回新たに、データベースに登録していない作品が104点あり、その内の24点の絵画が所在不明であることが判明しましたのでお知らせします。このような事態を招きましたことに対し深くお詫びいたします。
1 所在不明となっている絵画
・内 容:昭和59年に大阪府に寄贈された104点の作品のうち、①成人病センター貸出中の44作品のうちの7点(H17年度から所在不明)②倉庫等にないもの17点(H9年度から所在不明)評価額:台帳上の評価額合計643万円・作者:大阪府美術家協会会員他
2 本件の概要
・7月12日、現代美術センターの担当者から、データベースで管理している作品(7、778点)以外にも府が所蔵している作品が約100点あり、その一部が現物確認できていないとの報告がありました。・このため、詳細について調査したところ、それらは大阪府美術家協会が昭和59年に開催された「大阪百景」展に出品された作品等104点で、同年、府が寄贈を受けたものであることがわかりました。・府では、これらの作品を平成3年頃から府の関係機関等に貸し出してきましたが、定期的な点検や更新等の手続きを行わないままとなっていました。また、府の現代美術コレクションとは異なるものとしてデータベースに登録していなかったため、組織としてその存在を認識せず、5月の絵画紛失の際の調査対象から漏れてしまったものです。・担当者は、5月の絵画紛失の公表の際、データベースに登録していない作品があり、そのうちのいくつかが所在不明となっている可能性があることに気付いていましたが、詳細が不明であったためその段階では上司に報告せず、その後、これらについて更にチェックを行ったところ所在不明であることが明らかになったため、上司に報告するに至ったものです。・今回、このような事態を招いた原因は、報告よりも調査を優先させた担当者の判断の誤りもありますが、何よりも、組織として、寄贈を受けた作品は府民の貴重な財産であるとの認識が欠けていたこと、絵画の管理を担当者任せにし、組織的なチェックができていなかったことにあると考えています。
3 今後の対応
①大阪府の全所属と関係機関に照会等を行い、全力で捜索を行います。②絵画の管理体制や組織マネジメントのあり方など、抜本的な対策を検討してまいります。
《NEWS》2010.7.31産経新聞より
大阪府に美術家協会寄贈/絵画24点不明10年以上放置
大阪府が寄贈を受けた絵画の所在が不明となっていたにもかかわらず、10年以上にわたり所在確認のための本格的な調査をしていなかったことが30日、分かった。所在不明となっているのは、昭和59年に寄贈された104点のうち24点の絵画で、大阪の風景が描かれた作品。当時の評価額で70~15万円だといい、評価額の総額は643万円にのぼるという。府によると、絵画は府美術家協会から寄贈を受けた後、平成3年ごろから成人病センターといった府関係機関に貸し出されるなどしていた。保管倉庫で9年に調査したところ17点の所在が不明に。また、成人病センターに貸し出された44点のうち、7点の所在は分からないままと分かった。しかし、こうした事実を公表していなかったうえ、庁内調査もしていなかった。府では、今年5月に府現代美術センターが管理する絵画1点の紛失が発覚したばかり。7月中旬に、担当職員が「まだ現物確認できていない絵画がある」と上司に報告し、あらためて24点の所在不明が判明した。府文化課は「所在不明の絵画は、記録を残さずに府の関係機関に貸し出されている可能性もある」と説明しており、今後、全庁調査を行う方針。同課は「寄贈受けた作品が貴重な財産だという認識に欠けていた。管理を担当者任せにしていたことにも問題があった」としている。
《美術作品の管理及び活用》府民文化部都市魅力創造局文化・スポーツ課
大阪府では、「大阪府現代美術コレクション」として、作品データベース上7、859 点(評価額 4、553 百万円)の美術作品を保有している(寄託作品 77 点を含む。)。美術作品は、主に現代芸術文化センター構想の整備を推進していた際に集められたものであるが、当該構想は★平成13年に中止が決定し、★平成19年を最後に美術作品の受入れは行っていない。美術作品★収蔵場所は、大阪府立江之子島文化芸術創造センター(以下「センター」という。)及び咲洲庁舎である。美術作品は、財産管理をするための備品出納簿と現物管理をするための作品データベースに登録されている。備品出納簿は、大阪府が管理を行っており、作品データベースは、センターの指定管理者が管理を行っている。
●平成 22 年度監査結果を受けた照合作業
24 点の絵画が所在不明となっていることが明らかになった平成 22 年度の監査において、作品データベース上で作品ごとに割り振られた作品ID番号では、保管場所・位置を特定することができず、円滑に作品データベース上の作品と現物とを確認できる状況にないものが見受けられるなど、管理体制が不十分である旨の委員意見が出されている。この委員意見を受け、作品データベースに未登録となっていた作品の登録等を含む照合作業を進めており、その作業途上で所在不明となっていた絵画5点を発見した。平成22年度から継続して実施している作品データベースと現物との照合作業の結果、現在、平成 22 年に所在不明を公表した作品以外に、所在不明の美術作品が3点ある。平成 27 年6月時点では、備品出納簿と作品データベースに差異が生じている。作品データベースと備品出納簿では、作品の数え方の違いや作品データベースにのみ寄託作品を登録していることなどにより、データの個数及び評価額は必ずしも一致するものではないが、差異の原因は明らかになっておらず、調査継続中である。
美術作品の公共施設への貸出し等の活用は、平成24年度から、センターの指定管理者が行っている。大阪府所蔵美術作品貸出規程に基づき、貸出しは、原則として無償であるが、貸し出した美術作品の輸送及び展示に要する経費、保険については、すべて借受人の負担となっている。
その後、当該相違点の原因を分析・特定し、その結果に基づき、備品出納簿及び作品データベースの修正作業を実施し、★平成28年3月28日に完了した。そのなかで、最終的に所在不明が確定した作品3点については、作家への説明等を行い、備品出納簿から除外した。また、美術作品の活用方法として、監査結果を踏まえ、平成27年11月10日から29日の間、センターにおいて、年度当初の計画では予定していなかった「大阪府20世紀美術コレクション」の展示を実施し、来館者に観覧していただいた。さらに「大阪府20世紀現代美術コレクション」の活用・貸出について、センターのホームページで募集を行ってきたが、新規作品貸出先の開拓のために、平成28年1月29日にホームページをリニューアルし、公共的な空間を管理する方々に美術作品の貸出事業について周知を行っている。今後も、センター内外での展示機会を増やすとともに、創造的活用事業という観点から単なる作品展示にとどまらず、本物の作品に接してもらうセンターならではの作品活用を通じて、効果的な活用事業を企画・実施する。
《大阪府20世紀美術コレクション「貸出事業」》
http://www.enokojima-art.jp/collection/rental.html
大阪府は絵画をはじめ、版画、写真、彫刻、陶器、書など、およそ7、900点に及ぶ美術作品を所蔵しています。これらの作品は、enocoや府庁舎での展示のほか、府内のさまざまな場所で展示されていますが、より多く、府民の皆様の身近な場所(公共的空間)で展示・紹介することができればと考えています。大阪府では、一般向けに美術作品の貸出を行っています。まとまった作品による企画展から、1点のみの展示まで、美術作品の展示に関心のある方は、ぜひ一度お問合せください。
※お問い合わせ・お申込み
●大阪府府民文化部都市魅力創造局文化・スポーツ課 文化創造グループ
電話: 06-6210-9306
●大阪府立江之子島文化芸術創造センター(担当:高橋)
電話: 06-6441-8050
《大阪府が所蔵する美術作品の概要》
http://www.enokojima-art.jp/collection/qa.html
①関西の現代作家コレクション
芦屋で活動し多くの後進を育てた洋画家・伊藤継郎、司馬遼太郎著作『街道をゆく』の挿絵原画を担当した須田剋太、抽象絵画のパイオニア津高和一、京都の僧侶でありながら画家としても活動している齋藤眞成、雑誌「フォーカス」の表紙を手がけた三尾公三、抽象絵画からレリーフ、鉄彫刻へと移行した森口宏一、パンリアルやGe展で活躍した木村嘉子など、その他にも、1950年~70年代に関西を中心に活躍した美術作家の作品がまとめて収集されています。
②カネミツ・マツミ(金光松美)コレクション
1950年~70年代にニューヨークとロサンゼルスで活躍した日系アメリカ人画家、カネミツ・マツミの作品が収集されています。
③現代版画コレクション
川西英、吉原英雄、池田満寿夫など現代版画の作品が数多く収集されています。
④田中一光のポスターコレクション
デザイン界で活躍した田中一光のポスターを100点以上収集しています。
⑤写真コレクション
1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」(花博)のときに展示された「花」をテーマとした日本の現代写真、海外の写真家の写真も幅広く収集されています。また、大阪を中心に活動していた写真家 岩宮武二、田中幸太郎、津田洋甫の作品も所蔵しています。
⑥大阪トリエンナーレコレクション
1990~2001年に大阪府が開催した国際現代造形コンクール「大阪トリエンナーレ」の受賞作品を中心に、欧米、日本はもとより、アジア、アフリカ、オセアニアなど世界各国のさまざまな地域の美術作品を収集しています。
⑦その他、花器、書など
花器の陶磁器や飛・翼・翔をテーマにした書、花をテーマにした書、大阪府内の風景を描いた油彩画などもあります。
《大阪府20世紀美術コレクション展示施設一覧》