《平成15年度(第14回)》②工事用仮設塀に描かれた絵画等表彰
★地下鉄「中之島新線」渡辺橋駅工事現場
従来の手法とは一線を画す試みでイメージアップに取り組んでいる。発注者の中之島高速鉄道が目指したのは、★「見る・見られる関係」をつくること。中之島新線のルートはほぼ全区間が河川の護岸に近接している。川沿いにある遊歩道を一時撤去し、新たに仮設の遊歩道を造って工事を進める。工夫したのは、この仮設遊歩道と工事現場とを隔てる仮囲い。木製の柵を使用し、所々に格子状の部分を設けた。格子の間から工事の進ちょくや作業員の働く姿を見ることができる。イメージアップの経費として約2000万円を計上。仮囲いは工事が終わる2008年まで設置する。柵のデザインや植栽の選定は、景観デザイナー★二見恵美子氏が監修した。
【二見恵美子】ランドスケープデザイン事務所 E. M. I . PROJECT代表
530-0047大阪市北区西天満4-5-16二見老松 Bld. /06-6363-2218
http://www.emi-web.com/index.html
景観デザイナー。大学卒業後、デザイン関連の企業勤務を経てイギリスとアメリカに留学し、本場のランドスケープを習得する。帰国後、環境デザインオフィス『E.M.I.プロジェクト』を設立し、「環境改善のための仕事」をポリシーに幅広く活躍。都市緑化の視点から、いち早く屋上緑化を提唱し、近代建築の保存活動にも活躍の場を広げている。英国「クリフトン・ナーセリーズ・ジャパン」代表、W.M.ヴォーリズ建築保存再生運動NPO理事/英国文化研究協会「緑の星」代表、京都光華大学客員教授 。
E.M.I.プロジェクトは1988年大阪中央区★「船場ビル」に設立以来、「もっと安らぎのある都会を…」をポリシーにさまざまな活動実績を重ねてきました。そして、2011年、新たな情報発信基地を設立しました。場所は北区老松町。JR大阪駅から徒歩10分、付近には米国領事館、大阪中央公会堂などが点在し、古美術商が軒を連ねていて、古き良き大阪を彷彿とさせてくれる一角です。緑あふれる館内には新業態・サロン・空中庭園(オリーブの木が70本育つ)などを設け都会生活の楽しみ方を体感していただけるよう配慮しました。この二見老松ビルから空間資源の活用、文化資源の継承とともに、新鮮で永遠なるものとは何かを探りつつ持続性のあるまちづくりを展開したいと思います。
《参考》登録有形文化財「船場ビルディング」大阪市中央区淡路町2-5-8
設計:1925(大正14)村上徹一(村上建築事務所)/改装:1998(平成10)★二見恵美子
施工:竹中工務店
http://www.e-cosmetics.co.jp/momoi/
1998年、壁などの塗装もはがれゆくゆくは取り壊されようとしていたこのビルを、E..M.I Projectの環境デザイナー、二見恵美子さんが改装。当時のモダンな洋風建築としての船場ビルヂングが取り戻された。入居者がまばらだったテナントビルが今では入居待ちの状態になっている。
■中之島新線<歴史ある大阪市の中心中之島と京都が直結>
http://www.emi-web.com/toshi.html
大阪市北区中之島地区は国の都市再生緊急整備地域に指定されたひじょうに大きな公共事業のアプローチ。2008年完成の中之島新線 はその名の通り大阪の中心である中之島に地下鉄4つの駅ができ、全長 2.9km 工期6年、工事現場も色・素材統一され美しい。企画コンセプトは工事現場の "見せ方"を「見る見られる新線工事」。工事現場は通常、人を寄せ付けないものだが、工事現場と並行する仮遊歩道にハーブや果樹の植え込みが続く光景は、工事現場の3Kのイメージをすっかり変えてしまった。自然素材を使用し環境にも、市民にもやさしい★工事現場を創出した。工事のインフォメーションセンターは古レンガ使用、建物の前後に本格的な庭園がある。いわば現場事務所と情報発信の場も従来のイメージとはまったく異なるユニークさが話題になった。工事期間中に★大阪市都市環境アメニティ表彰(2004)他多数受賞。
日本銀行沿いの大川に張り出して設けられた遊歩道。人が歩いているのは、じつは川の上に設けた板一枚の上である。チャコールグレイの板囲いとレンガ風にしつらえられた道で、工事現場脇を歩いているようには見えない。工事現場のすぐ前に中之島公会堂がある。中之島公園の一角で行う工事であるので景観に配慮し、現場事務所もすべてチャコールグレイの板塀をあしらっている。
《参考1》2004中之島新線駅企画デザインコンペ案「審査員特別賞」
/塚本由晴・貝島桃代、東京工業大学塚本研究室(Jorge Almazan、倉林貴彦、富永大毅、Simon Moville、Lars Henrik Kockum)
http://www.arch.titech.ac.jp/tsukamoto_lab/nakanoshima.htm
《参考2》錢高組-大阪中之島新線工事-
地下鉄工事で「夏休み親子現場見学会」を開催しました
https://www.zenitaka.co.jp/back/back070803.html
中之島新線工事は、京阪本線の大阪中心部への乗り入れ地下鉄工事です。錢高組は、玉江駅渡り線部(開削工法)及び渡辺橋駅までのトンネル(シールド工法)の土木工事を担当しています。施工場所の周辺には、国立国際美術館、大阪市立科学館(いずれも当社施工)があり、人の往来、車の交通量が多い場所です。中之島新線工事全工区が周辺環境に配慮して★エコ・フレンドリーな黒と緑を基調とした環境整備に取り組み、当工区では現場と並行して流れる堂島川沿いに、★遊歩道を設置して市民の方に利用していただいています。また、開削区間の山留工事では、環境負荷低減型ソイルセメント連続壁工法(ECO-MW工法)を採用して産業廃棄物(汚泥)の低減を行っています。
・・・「都市環境アメニティ」に関する紹介をこれにて終了します。長らくのお付き合いありがとうございました。現在は、「大阪まちなみ賞」が実施されています。
《大阪まちなみ賞》
本市では、都市景観及び環境の向上を図ることを目的に「大阪市都市環境アメニティ表彰(建築物等に付属するモニュメント表彰並びに工事用仮設塀に描かれた絵画等表彰)」を★1990年度(平成2)に創設し、モニュメントについては、企画、デザイン、管理に優れ、市街地の景観及び環境の向上に貢献すると認められるものとして、★平成15年度までに約60件の施設を表彰しました。
現在は、美しく個性と風格のあるまちの景観づくりを進めていくため、敷地内や壁面等に壁画・彫刻・モニュメント等を配置することにより魅力ある景観に寄与しているものなど、周辺環境の向上に資し、かつ景観上優れた大阪府内の建物やまちなみを広く一般から推薦いただき、その中で特に優れたものを表彰する★「大阪都市景観建築賞(大阪まちなみ賞)」を、大阪府・公益社団法人大阪府建築士会・一般社団法人大阪府建築士事務所協会・公益社団法人日本建築家協会近畿支部・一般社団法人日本建築協会とともに主催し、毎年、実施しております。
●大阪都市景観建築賞運営委員会
540-0012大阪市中央区谷町3-1-17高田屋大手前ビル5F(公社)大阪府建築士会内
「大阪まちなみ賞」では大阪府知事賞、大阪市長賞、審査員特別賞、★緑化賞、建築サイン・アート賞(第35回新設)及び奨励賞を設けています。2003年(平成15)に、大阪施設緑化賞(みどりの景観賞)を統合している。
http://osaka-machinami.jp/collection/collection.html
★受賞作品一覧
第1回1981年(昭和56)受賞作品~第36回2016年(平成28)受賞作品
◆推薦の対象となる「建物」及び「建物を中心としたまちなみ」
「建物」
・大阪府内の建物で平成24年8月1日から平成28年7月31日までに完成したもの
1 将来のまちの景観をリードしていくようなもの
2 周辺の建築物等と調和し、美しいまちなみの形成に役立っているもの
3 伝統的なまちなみの維持・向上に役立っているもの
4 自然の景観(河川、山並みなど)と調和しているもの
5 敷地内や壁面、屋上を緑化することにより、魅力ある景観に寄与しているもの
6★敷地内や壁面等にデザイン性やアート性に優れたサイン・壁画・彫刻・モニュメント等を配置することにより、魅力ある景観に寄与しているもの
7 その他、この賞の趣旨に沿ったもの
「建物を中心としたまちなみ」
・大阪府内の建物を中心としたまちなみで平成28年7月31日までに完成したもの
1 総合的な計画、良好な維持管理により優れた景観を作り上げているもの
2 伝統的なまちなみの維持・向上を図っているもの
3 適切な緑化により、魅力あるまちなみを形成しているもの
4 その他、この賞の趣旨に沿ったもの