平成15年度(第14回)3 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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《平成15年度(第14回)》建築物に付属するモニュメント表彰

 

・・・以下を読んでいただいてもわかるように、作品の説明では2002年(平成14)と2003年(平成15)が混在しています。さらに「年度」という場合は、翌年の3月までを含むため混乱を招きます。とりあえず、今回紹介する作品については「平成15年度」扱いとさせていただきました。

 

 

《中之島三井ビルディング》530-0005大阪市北区中之島3丁目3番3号

http://www.mitsuifudosan.co.jp/

昭和8年の本館建設以来60数年の長きにわたり稼動した中之島三井ビル本新館を解体し、関西地区の当社の新たな基幹ビルとして建設したものです。縦方向のラインを基調とした旧建物における外観を継承しつつ、ガラスのカーテンウォールやステンレスを採用し、開放性と先進性を表現しています。また、環境に配慮しつつ、外気冷房システムの導入、氷蓄熱システムによる夜間電力利用、空調・照明はゾーン別に風量・照度調節できる装置を設置。外装ルーバーと複層ガラスとの併用により事務室内の日射・空調負荷の低減を図っています。

 

 

【エルド吉水 (吉水浩)】「Rubious」

1992東京芸術大学大学院修了

1994ART/OMI財団の招聘で渡米(New York U.S.A)

1995個展「Another Delight」(ギャラリー日鉱、東京)「大阪トリエンナーレ1995」(マイドーム大阪)

1996Civitella Ranieri財団の招聘で渡伊(Umbritide Italy)

1996「フィリップモリスアートアワード」(スパイラル、東京)

1997「第4回北九州トリエンナーレ」(北九州市立美術館、福岡)

1997「Bloom」「Good Luck」 ゆめおおおか・アートプロジェクト(横浜)

1999「瑞雲」 博多リバレインアートプロジェクト(福岡)

2000「越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭」(新潟)

2002「Grobal Priority」JCAL New York(米国)

2002「Kotodama」「Symbiosis」関西外大(大阪 枚方市)★「Rubious」三井中之島ビル(大阪)

2003「Heaven's Organ」 日本工業倶楽部ビル(丸の内、東京)「Firs t Light」 CELUX (表参道、東京)

2004「Flowers of Romance」春日部秀和病院「Laetitia」東京ビルTOKIA(丸の内、東京)

2005 「Dream seeds」神奈川県立総合産業高校「Oasis」神奈川県立総合産業高校

2006 「Infinity」豊洲IHIビル「Eternity」豊洲IHIビル

 

 

【ジェニー・ホルツァー(Jenny Holzer)】「Serpentine」(1950~)

http://www.scaithebathhouse.com/ja/projects/jenny_holzer_serpentine/

大阪・中之島三井ビルディングのエントランスに相応しく、ブルーのLEDが都会的で洗練された印象の作品。建築物に併せ、作品が柱に巻き付くような形もユニークで軽快です。

http://projects.jennyholzer.com/

オハイオ州ガリポリス生まれの美術家。そのスタイルはワード・アートと称される。オハイオ大学で版画・絵画を学んだのち、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインに学び、「言葉」を取り込んだ作品を作り始める。1977年にニューヨークに移住。電光掲示板、ポスター、公衆電話のチラシといったメディアを作品の発表手段として積極的に活用し、注目された。知名度を得た1980年代以降は、スポンサーを得て大がかりなプロジェクト形式を取ることが多くなった。1991年に日本で行われたクリストの「アンブレラ・プロジェクト」の際は、都心と展示地域(常陸太田)を結ぶ特急電車内の電光掲示板に作品を発表した。『信条を変えてみてください (Please change beliefs) 』というウェブ参加型の作品がある。

 

 

★《制作過程初公開》

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.351076771632352.78817.190342794372418&type=3

2003年に大阪三井中之島ビル(設計★シーザー・ペリ氏)に設置した作品。私の作品の中で最も困難を極めた。★三保谷友彦氏(倉俣史朗氏や吉岡徳仁氏の制作技術ブレーン)の協力で実現した。南条さん、西山さん、小柳さん、たくさんのスペシャリストの方々に感謝の言葉が見つからない。ちなみにこの空間はジェニー・ホルツァーの作品とペアで成立している。)

 

 

【三保谷友彦】

http://media.excite.co.jp/ism/147/

1945東京生まれ。東京・六本木の三保谷硝子店(創業明治42年)の3代目で、倉俣史朗氏との深い交流で知られる。建築ガラスの分野の技術と施工力では日本のトップクラス。特に建築家やデザイナーなど、クリエイターの表現したいものを実現する力に長けている。2009年秋には創業以来の仕事の集大成となる「三保谷硝子店101年目の試作展」が東京・六本木のアクシスギャラリーで開かれた。

 

 

・・・時間が経過するということは、古くなるということばかりでなく、これまで公開されなかったことがオープンにされるというメリットもあるんですねえ。そういう意味で、10年以上も前の作品を紹介する価値があったということです。そして今「エルド吉水」さんは、

 

【異端の劇画家「エルド吉水」】

2011年からギャラリーでの個展を発表媒体として連載してきた『龍子』。ファッション、銃器、車、バイクの他、調度品の細部にいたるまで不良性感度の高い作者の嗜好が盛り込まれた激烈なバイオレンスアクション。書店や同人誌即売会でも手に入れる事はできないし、WEBでも読むことはできない本作が、これまでに展示された第1~5章に加え、これから展示される第6章の冒頭部分までが遂に単行本化、作者自身による装丁も流麗な仕上がり。

2009年の一番暑い午後、とあるアスベスト除去の工事現場で誘導灯を振る男、吉水浩。この日、彼に漫画の神様が降臨した。吉水は東京芸術大学大学院を修了後、アーティスト・イン・レジデンスの招聘を受け、アメリカ、イタリアに滞在。帰国後は、「越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭」(2000年)などに参加し、日本各地の公共施設や商業ビルのパブリックアート(以下PA)を制作したアーティストである。図面を引いた 後、他者に実際の制作を委ねるというPAに取り組むうちに、自分自身の手でものを作る「等身大の制作」を求め、次第にPAから離れていった。それから2年の月日が流れ、工事現場での勤務中に流木を拾った吉水は、湧き出るようなアイデアを突然漫画にして描き出した。まるで1970年代のアート が、ミニマリズムからニュー・ペインティングへ展開したように。こうして “エルド吉水”は誕生し、その漫画は彼のスタイリッシュかつ人間味溢れる世界観と、銃、車、スーツといったアイテムへのこだわりを色濃く表現するものと なったのである。2011年9月、満を持してノワール・マンガ『龍子』を発表。裏社会で生きる女組長・龍子を主人公とした血と硝煙の香り漂う冒険活劇である。現在進行形の この作品では、吉水は描き上げた漫画を1ページずつコピーし、パネルにして展示する。したがって、漫画として読むことができるだけでなく、各ページが独立 したプリント作品として成立するのである。展示することによって生まれる読者と作品との距離感は、インクの美しいモノクロームと漫画のルールを超えた自由 なコマ割を際立たせ、吉水がかつて制作したPAを想起させる。銃声の後の静謐、サブカルチャーとファインアート、欲望と仁義とロマンとエレガンスが混沌と して渦巻くような空気感、作品が持つこうしたアンビバレントな要素に潜むスリルとそれを楽しむ遊び心が、エルド吉水と彼の漫画の格好良さなのだろう。

 

・・・アーティストは、カッコ良くないとダメですね。