《大阪春秋》
発行:「新風書房」543-0021大阪市天王寺区東高津町5-17/06-6768-4600
★第18号「特集・博物館めぐり」昭和53(1978)年10日10日発行
「なにわWEB資料館」 http://osaka-web-museum.na.coocan.jp/
http://osaka-web-museum.na.coocan.jp/m18.htm
表紙「藤田伝三郎邸」・・・・・・・・・・・・きり絵・加藤義明
巻頭随想 大阪の博物館と美術館・・・・・・・堀内宏昭・・ 6
随筆春秋 師子堂恵信/柿谷華王子/牧野 弘/山田笑子・・ 8
◇特集・博物館めぐり◇
★大阪府立博物場の思い出・・・・・・・・・・牧村史陽・・42
・・・ここに書かれている内容では、牧村さんは「博物場」川向いの★南本町1丁目で、1898年(明治31)に★木綿問屋の長男として生まれた。だから幼時は「博物場」が唯一の遊び場所で、ともすれば丁稚やおなごしに連れられて、夕方までそこの「動物舎」で遊んだ、ということです。木綿問屋の長男であり、開催された様々な展覧会を観に行っているに違いありませんので、文章・文献を詳しく調べてみる価値がありそうです。「能楽堂」についても、この能楽堂は、もと生国魂神社内にあり、一時中之島「翠柳館」内に再建されたのを、明治27年に、時の博物場長・平瀬露香(亀之輔)が資金を集めてこの地に建設したものであることはのちに知った、と書いてあり、その「能楽堂」の写真は、「おおさか100年」に掲載されていました。
【牧村史陽】(1898~1979)
牧村史陽は、1898 年(明治31)大阪船場の木綿問屋に生まれた。大阪大倉商業学校(現・関西大倉高校)を卒業後、独力で大阪の郷土史調査を積み重ねた。「郷土史は足で書け」を持論とし、大阪のありとあらゆる場所へおもむいては、調査地の光景を★写真に収めて歩いた。晩年の大作★『難波大阪』の著述においても、その付録篇の中で、「自慢ではないが、どこにどんなものがあるかはほとんど知りつくしているつもりである― 」と自負しつつも、新しく稿を起こすとなると、改めて現地を確かめてみなければペンを持つ気になれない、徹底した実地主義を貫いている。大阪船場に生まれた浪華っ子らしく大阪弁に深い愛着を抱き、「大阪ことばの会」を結成して1955 年(昭和30)★『大阪方言事典』を刊行した。しかし、五千語以上を収録したこの書物でさえも、おそるべき熱意の人、牧村史陽にとってはいまだものたらず、その後さらに二十数年間にわたって増補・改訂を加え続け、昭和54 年に★『大阪ことば事典』として再刊されたのをもってようやく、「いちおうの纏まりがついたものと考えている」(『大阪ことば事典』はしがき)と得心してみせた。生涯現役であることを願い、百歳をこえて21 世紀までも研究を続けていたいと語った牧村史陽であったが、昭和54 年44月、81 歳で没した。昭和53 年に大阪文化賞を受賞。
《参考》
●「大阪経済人と文化』著:宮本又次/実教出版1983
江戸時代よりかなりの呉服問屋としてあった。呉服問屋は本町、備後町に多く、木綿太物問屋も安土町、備後町、★南本町より北久太郎町にかけて多かった。
●「大阪繁昌記」著:宮本又次/新和出版1973
船場では江戸時代、呉服町・伏見町に、呉服問屋・唐物屋がならび、本町通りには古手問屋が軒をならべていた。しかしのち本町通りにも呉服太物の問屋・仲買が出来、近江商人・尾州商人が進出して来た。備後町・安土町・本町・★南本町は繊維問屋の集合街として、戦前まで知られていた。
・・・そして、牧村さんが残された貴重な写真は★「関西大学」が所蔵・データベース化されています。
《関西大学「大阪都市遺産研究センター」》
★「牧村史陽氏」旧蔵写真データベース
http://haya.bitter.jp/makimura/
写真の撮影者、牧村史陽(1898~1979)は、『大阪ことば事典』(講談社、1978年)や★『難波大阪』(講談社、1975年)などの著書で知られる、大阪の郷土史研究家です。明治31年に大阪船場に生まれ、大阪大倉商業学校(現・関西大倉高校)を卒業後、独力で郷土史研究に打ち込みました。昭和53年(1978)には大阪文化賞を受賞しています。牧村史陽の郷土史研究の特徴として、一つには現地調査を極めて重視したことが挙げられます。牧村は「郷土史は足で書け」という言葉を座右の銘にし、大阪府下の史跡や名所をくまなく歩き回りました。そしてもう一つの特徴として、牧村史陽が筋金入りの写真マニアであったことが挙げられます。牧村は郷土史調査の際に膨大な枚数の写真を撮影し、その数は、最終的には数万枚に達しました。本センターが所蔵する「牧村史陽氏旧蔵写真」は、その写真コレクションの一部です。「牧村史陽氏旧蔵写真」に写されているのは、昭和30年代~40年代を中心とした大阪の風景です。撮影対象は寺社・史跡・名所など多岐にわたります。これらの写真は、印画紙に現像された、いわゆる「紙焼き写真」の状態で所蔵されているため、印画紙の裏面には牧村の手で撮影日時や撮影場所等が書き込まれています。これらの写真は、牧村の手によって地域別に分類された紙箱に入っていました。またさらに箱の中で、反古紙や封筒、ミニアルバムで写真をまとめて分類したものもあります。また写真の一部は、ガラス板に感光剤を塗布した「写真乾板」として所蔵されています。昭和30年代~40年代の高度経済成長期は、大阪の都市景観が大きく変化した時期でした。この時代を撮影した、総数6444枚におよぶ写真資料は、大阪の都市景観研究における貴重な資料といえます。
《「大阪百景」丸山石根★牧村史陽作品集》250x265mm、240頁
画:丸山石根/文:牧村史陽/刊行:大阪新聞社/発行年:1983年
大阪21世紀計画のスタートに当たり、新聞紙上の発表分にオリジナルを加え、製作された大阪再発見の作品集。市内55景・府下45景にある大阪の文化の歴史とその名残りを、画と文で案内。
《難波大阪》出版社: 講談社/発売日:1975
「歴史と文化」編:宮本又次
「郷土と史蹟」編★牧村史陽
「美術と芸能」編:望月信成
古地図に描かれた大阪、大阪の古墳文化、古代中世の大阪の歴史、大阪の美術文化、大阪の喜劇・芝居・落語・漫才、大阪の地歌と箏曲、人形浄瑠璃文楽、大阪の能、四天王寺の舞楽、大阪の史蹟など、3冊セットで刊行。
《参考》中之島図書館(平成24年3月作成)
テーマ別資料紹介【第10回】大阪写真集その頃の大阪~昭和の風景~
https://www.library.pref.osaka.jp/nakato/osaka/booklist/010_showa_shashin.html
街頭紙芝居が作られた頃の大阪についての写真集を集めました。
《写真集・明治大正昭和大阪〈上〉―ふるさとの想い出310》
大型本:166ページ/編:岡本良一/出版社: 国書刊行会/発売日:1985.11
※「写真集・明治大正昭和大阪〈下〉―ふるさとの想い出311」
出版社: 国書刊行会/編:島田清/発売日:1986
《「写真集おおさか100年」》
大型本:495ページ/出版社:サンケイ新聞社/1987.4
・・・大阪市史編纂所の第9回講演会「写真に見る近代の大阪」(於:中央図書館5階大会議室)に参加しただけで、こんなに多くの図書・資料を発見することができました。調査研究は、牧村さん曰く「郷土史は足で書け」ですよね。これから、それらの資料等を読み解いていくわけですから、まだまだ多くの時間が必要です。今回は、とりあえず発見した資料等の紹介にとどめます。