《般若寺》
630-8102奈良市般若寺町221/0742-22-6287
寺伝によると629年高句麗の僧慧灌がこの地に寺を建て文殊菩薩像を安置したのに始まり、その後735年(天平7)聖武天皇の時、平城京の鬼門鎮護のため堂塔を造営されたと伝えられています。京都から奈良への要路にあたるため、治承の兵火で戦火をこうむりましたが、西大寺の叡尊上人により文殊の霊場として復興され、庶民救済の文殊会を盛んに開くようになりました。鎌倉期の優美な建築様式をもつ楼門〔国宝〕が残っています。楼門の奥正面に立つ十三重石塔〔重文〕は、高さ約14.2メートル。石仏を彩って咲く春の山吹、秋のコスモスなどが美しく、花の寺としても有名です。
般若寺門前を南北に通る道は★「京街道」と呼ばれ、大和(奈良県)と山城(京都府)を結ぶ、古代以来重要な道であった。この道はまた、平城京の東端を南北に通っていた東七坊大路(東大寺と興福寺の境をなす)の延長でもある。
奈良坂の古道に沿って立つ般若寺は、いつ訪れても寂寞とした荒涼感が漂い、数多い奈良の古寺の中でも独特の風情を醸し出している寺である。境内は樹木が少ないためか伸びやかで、庶民的で親しみやすい温もりがある。30年ほど前から一隅に植えられていたコスモスが、現在では境内を埋め尽くすほどになり、本堂や石塔を始め、元禄時代作の西国三十三観音の石仏などを取り囲むように咲き乱れる。赤紫やピンク、白などの花々が初秋のそよとの風に頼りなげに揺れる様は、まさに古都の風流韻事。開花期の約1週間だけライトアップされ、闇に浮かぶ幻の花姿に酔いしれる。
《楼門(国宝)》
入母屋造・本瓦葺きの楼門2階建て門)。民家の建ち並ぶ京街道に面し、西を正面として建つ。鎌倉時代(13世紀後半)建立。下層は1間、上層は3間とする。長押を多用し、和様を基調としつつ、上層の組物など細部には大仏様の意匠を多用する。上層の出組の組物は、外部から見ると複雑な構造に見えるが、建物内部では柱が直接桁(屋根の垂木を支える水平材)に達する単純な構造で、組物は使われていない。つまり、上層の組物は外側から釘止めまたは枘(ほぞ)差しとした見せかけのもので、このような構造の建物は非常に珍しい。
《十三重石塔》
高さ12.6m。1253年(建長5)頃に南宋から来日した石工・伊行末(いぎょうまつ)により建立された、日本の代表的な石塔の一つ。楼門を入って正面、本堂から見ても南正面に位置し、当寺の信仰の中心となっている。
《白鳳「阿弥陀如来」立像》
秋季特別公開期間 9月20日(火)~11月11日(金)
昭和39年(1964)解体修理が行われた際に、十三重石塔石塔内から、白鳳時代の小金銅仏・伝阿弥陀如来像が発見されました。像高28.8cmの小金銅仏です。白鳳展では、「額が狭く四角ばった面貌や、大ぶりな手足の表現などは、朝鮮半島三国時代の金銅仏を想起させる。一方、衣や台座の稜線に特殊な鑿で二列の点線を刻む複連点文を施す点や、衣端の周縁帯に半裁九曜文を表す点などは、法隆寺観音菩薩像(伝月光)のような白鳳金銅仏に共通し、本像も三国時代の渡来仏に倣って、日本で制作されたとみるのが穏当であろう。」と解説されていました。
《参考》「白鳳展」於:奈良国立博物館
平成27年7月18日(土)~9月23日(水)
http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2015toku/hakuhou/hakuhou_index.html
白鳳美術の魅力は金銅仏に代表される白鳳仏にあると言って良いでしょう。白鳳仏は若々しい感覚にあふれ、中には童子のような可憐な仏像も見ることができます。神秘性や厳しさを感じる飛鳥彫刻や、成熟した天平彫刻とはまた違う魅力です。
《参考》客殿
実業家★畠山一清によって東京都港区白金台に移築され、第二次世界大戦後は料亭「般若苑」として営業していた(現在は廃業)。
★「畠山記念館」
108-0071 東京都港区白金台2-20-12/03-3447-5787
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/index.html
創設者畠山一清(号即翁)(1881~1971)が蒐集した茶道具を中心に、書画、陶磁、漆芸、能装束など、日本、中国、朝鮮の古美術品を展示公開している私立美術館。収蔵品は、国宝6件、重要文化財32件を含む約1300件。春夏秋冬、季節の移り変わりに合わせて企画展を年4回行っている。同館の建物は、畠山即翁自身の発案により、鉄筋コンクリート構造の近代建築のうちに、日本建築を巧みに取入れた造りになっている。2階展示室内には、四畳半の茶室「省庵」と茶庭が設けられ、茶室にいる雰囲気の中でゆっくりと作品を鑑賞できる。
《植村農場》
630-8102奈良県奈良市般若寺町168/0742-23-2125
http://www.uemura-bokujyo.co.jp/
植村牧場は、聖徳太子ゆかりのコスモスで有名な般若寺の真向いにある小さな牧場です。私は四代目の牧場主となりますが、元々は初代が病弱だったため「自分の健康のために飲むつもり」で乳牛を飼いはじめたのが植村牧場のはじまり。明治16年創業以来一貫して新鮮な牛乳を皆様方にお届けする為努力して参りました。現在は30頭の牛を飼育し、一日1500本の低温殺菌牛乳を奈良一円の一般家庭に届けるほか、奈良ホテルやレストランに宅配。ありがたいことに、週末には京都や大阪から保冷庫を抱えてやってくる人もいます。機械化が進む中、私達は手作業で1本1本真心をこめて製品にしております。ある意味では★日本一遅れた牧場かもしれません。街の中で一番古いという牧場は、広さ約1800坪。明治時代からの牛舎の中には30頭余りの乳牛、羊、ヤギが皆様方をお待ち致しております。又15名余りの知的障害者の人達も日夜がんばって働いてくれております。是非一度おいで下さりお声をかけて下さい。またしぼりたての牛乳で作ったソフトクリームコーナー、カフェレストランいちづではシェフ自慢のランチをご用意しております。