・・・歴史的な建築物をリノベーションするには、古いものと新しいものを調和・融合させる熟練の職人さんたちの「匠」が必要です。
【ジェームス邸】
655-0872兵庫県神戸市垂水区塩屋町6-28-1/078-752-2266
http://restaurant.novarese.jp/jmt/
神戸塩屋の旧ジェームス邸。ジェームス山という辺り一体の地名の由来ともなった、ウイリアム・アーネスト・ジェームスの旧邸宅、この神戸生まれの英国人は様々な事業を成功させ、外国人専用の住宅地として塩屋一帯の開発も行い、瀬戸内の海を望む広大な敷地に自らの邸宅も構えました。1934年の建築、設計は竹中工務店★早良俊夫、堂々としつつもとても変化に富んだスパニッシュスタイルの外観です。日本におけるスパニッシュスタイルはアメリカ経由でもたらされ、歴史的な意匠をもちつつも外観壁面はスッキリとしたモダンさを兼ね備えて健康的なイメージで昭和初期に流行し、特に関西に多く建てられたそうです。日本でのスパニッシュは気候に合わせ軒の出が大きくとられ、早良はこれにロマネスクや和風など様々な様式をミックスして独自の豊かなデザインをこのジェームス邸で表現しました。
この邸宅はその後★サンヨーの会長邸宅・社の迎賓施設となった後、パナソニックへの子会社化の際に解体・更地売却の危機が訪れましたが、地元におられた★竹中工務店の方が、地域住民として、またゼネコンのスタッフとして迅速かつ熱心に保存に向けて働きかけ、成功に導かれた稀有な例です。
・・・メインダイニングの壁面が、久住有生さんの仕事です。
【船場ビルディング】
541-0047大阪市中央区淡路町2-5-8/06-6231-8531
http://www.e-cosmetics.co.jp/momoi/
★船場ビルディング314号室「サロン・ドゥ・螺」/050-3736-8638
《NEWS》2015.4.27船場経済新聞より
大阪の近代建築にアートサロン/らせんの天井残したいと有志集う
大正時代に建てられた、登録有形文化財「船場ビルディング」内に3月10日、「サロン・ドゥ・螺(ら)」がオープンした。左官職人★久住有生さんが手掛けたという内装は、壁や天井は土壁に覆われており、床は一面の大理石が敷かれている。壁の上部から天井にかけて丸みを帯び、天井の中心に向かってらせん状になっているのが特徴だ。同店入居前に同室に店舗を構えていたアンティークショップのオーナーが依頼したもので、退去時に原状回復することを惜しんだという。「独創的な内装を残そう」と、歌人でアートディレクターの北夙川不可止さんを中心におよそ20人の有志が集った。アーティスト、大学教授、建築家など、40代~50代を中心としたメンバーらで、合同会社「螺(ら)」を設立。アートとカルチャーの発信拠点として、同室にサロンをオープンさせた。社名の由来は、天井に造られた「らせん」から。同サロンでは、「短歌サロン」や「紅茶を愉しむ会」、バロック音楽を楽しむ「古楽コンサート」などを開催する。その他、展覧会やフェイクスイーツのワークショップなど。「私たち自身もこの空間を生かして何ができるのかを楽しみにしている」と北夙川さん。「街から近代建築が失われつつあるが、この部屋の内装を守ろうと20人もの有志が集まることができた。開店を決めてから実際に開店するまで慌ただしく、やっと一息つくことができた。これからのことは手探りで進めていければ」とも。営業時間は13時~19時30分(土曜は17時30分まで)。日曜・祝日定休(イベント時、事前見学予約時を除く)。
《NEWS》2015.7.16大阪日日新聞より
90年前の御堂筋”散策”心斎橋大丸原図展
「御堂筋の顔」として市民に親しまれてきた大丸心斎橋店が完成した約90年前の図面や写真を集めた巡回展「心斎橋大丸原図展~ヴォーリズと佐藤久勝」が17日、船場ビルディング内のギャラリー「サロン・ドゥ・螺(ら)」(大阪市中央区淡路町2丁目)で開幕する。建て替えの是非が注目される中、足跡を伝える約30点を展示。国の登録文化財でもある同ビルの内外観も楽しめる。ギャラリーを運営する「合同会社螺」などが主催。資料を保有する一粒社ヴォーリズ建築事務所やヴォーリズと関わりの深い近江兄弟社が協力した。大丸心斎橋店は、1922年に第1期が完成。火災や戦災で一部が焼失したものの、「ネオゴシック様式」で、当時の流行だった華やかなアールデコ調の装飾を散りばめた建物が今にその一端を伝えている。図面はモダンデザインを取り入れたエレベーターホールやエントランスなどが荘厳で、実際にはない塔が描かれるなど遊び心のにじむオリジナル作品も垣間見ることができる。作者は米国出身の建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964年)。その半生で学校や教会、住宅など幅広く手掛け、大阪教会や旧大同生命大阪本社ビル、関西学院、神戸女学院などが代表作だ。現存する洋風建築の多くは、文化的価値が認められている。19日は、ヴォーリズの日本人妻を描いた小説「負けんとき」の著者で、作家の玉岡かおるさんらをゲストに迎え、北区の大阪市中央公会堂でシンポジウムを開く。大阪展は8月2日まで。同6日は東華菜館(京都市)、同13~20日はチャータードビルディング(神戸市)、同23~30日にはアンドリュース記念館(滋賀県近江八幡市)を巡回し、演奏会や建築見学会など関連の催しもある。それぞれヴォーリズ建築の代表作。サロン・ドゥ・螺はガウディ調の内装で、保全活動が続く。代表を務める大学講師で歌人の北夙川不可止さん(50)は「数少ない戦前の近代建築の一つで、二度と同じものは建てられない。あらためて“大大阪時代”を振り返り、感動を新たにしてほしい」と広く来場を呼び掛けている。
・・・「大丸」の工事の方も気がかりですね。