児童文学館 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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・・・大阪府立中央図書館に行きましたので、やはり「児童文学館」についてふれておかなければ・・・と思います。


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大阪府立国際児童文学館

565-0826吹田市千里万博公園10番地6号

1979年の国際児童年を記念して事業が計画され、滋賀県と激しい誘致合戦を繰り広げた末に児童文学研究者・鳥越信から12万点に及ぶコレクションの寄贈を受け1980年に準備組織として財団法人大阪国際児童文学館を設立。1984年5月5日(こどもの日)に開館した。館の設計は大阪府建築部営繕室が行い、1998年には建設省(当時)の公共建築百選に選定されている。シンボルマークは安野光雅のデザインで、横笛を吹くギリシア神話の牧神・パーンを象ったものである。1986年から1990年までは、司馬遼太郎が財団理事長を務めていた。約70万点の資料を所蔵・公開し、同種の施設としては日本最大の規模であった。また、研究施設としては児童文学のみならず漫画を含む広範な「子供の読み物」に関する調査研究を実施していた。資料の保存に際しては「可能な限り刊行時の状態のまま保管する」ことを最優先とし、一般の図書館で広く実施されているフィルム装着式の補強や蔵書管理用のバーコード貼付、雑誌の複数号をまとめて製本する等の作業は行わない。散逸しやすい雑誌付録や通常は廃棄されることが多い表紙や帯・函・挟み込みのしおり・新刊案内・アンケート葉書等も可能な限り保存しており、岩波少年文庫のように刊行時期により装丁が異なるレーベルについても同一タイトルを装丁の種類別に収集している。単行本に関してはポリプロピレン製の透明カバーで保護している場合もあるが、これも表紙を外した状態を確認する際の支障とならないよう取り外しが可能になっている。


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2008年2月、大阪府知事の橋下徹は大阪府の厳しい財政再建問題の中で、国際児童文学館が所蔵する約70万点の図書資料を確実に保存・活用し、府民利用の向上と子どもの読書振興を図るためには、児童文学館を大阪府立中央図書館に移転することが適切と判断した。国際児童文学館の知名度の低さ、立地の不便さ、来館者が少ないことなどを理由に「マーケティングの観点から、場所は中央図書館のほうがいい。圧倒的に子供たちに見られる所へ移し、本を生かせるようにしたい」と主張した。

2009年12月27日に閉館、2010年3月末に廃止され、児童書等の資料は中央図書館に移管され、2010年5月に大阪府立中央図書館国際児童文学館として再び公開されることとなった。

大阪府立中央図書館国際児童文学館

577-0011東大阪市荒本北1丁目2-1大阪府立中央図書館内06-6744-0581

https://www.library.pref.osaka.jp/site/jibunkan/

大阪府立中央図書館国際児童文学館は、大阪府立国際児童文学館(吹田市千里万博公園内)より約70万点の資料を引き継ぎ、平成22年5月5日に開館いたしました。これからは、大阪府立中央図書館、大阪国際児童文学振興財団、大阪府教育委員会の3者が協力しつつ「子どもの読書支援センター」、「児童文化の総合資料センター」としての機能を推進・強化してまいります。

大阪国際児童文学振興財団

http://www.iiclo.or.jp/

当法人は、児童文学等児童文化に関する図書その他の資料の収集、保存、活用及び研究ならびに国際交流に係る諸事業を行うことにより、大阪の児童文化の振興に資し、もって児童の健全育成に寄与することを目的とする。

旧施設(大阪府立国際児童文学館)の廃止にあたって

児童文学者鳥越信氏から寄贈された約12万点の児童文学関係資料をもとに、昭和59年に開設された大阪府立国際児童文学館は、平成21年3月、大阪府議会において、廃止条例案が可決成立し、その所蔵資料約70万点を大阪府立中央図書館へ移転することが決定した。平成21年2月府議会において、次の3つの附帯決議が採択された。

一 国際児童文学館設立時の趣旨に沿い、引き続き資料を収集、保存、活用すること

一 これまで国際児童文学館において培われてきた「子どもの読書支援センター」並

びに「児童文化の総合資料センター」としての機能を引き継ぐこと

一 府立中央図書館において引き継がれた機能が、府民・利用者に、明確に分かるよ

う区分した対応に努めること

大阪府立中央図書館では、旧施設における研究機能を除く、資料の収集・保存・提供、講座・講演会事業、読書推進に関するさまざまな業務・事業を引き継ぐことになった。この方針を受けて、大阪府立中央図書館では、約70万点の資料収容のため地下書庫電動化改修工事、閲覧室の改修工事を行い、資料移転作業、情報システムの移設工事を122年3月末に完了した。平成25年3月大阪府立図書館協議会


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・・・実際に「地下書庫」に眠っている「児童文学館」の図書や資料の膨大さは絶句でした。


NEWS》2016.2.5毎日新聞より

旧国際児童文学館名建築の使い道、募集中

名建築なんですが、いい使い道ありませんか--? 橋下徹・前知事が2009年に閉鎖した後、廃棄物や公文書の保管場所になっている万博記念公園内の旧府立国際児童文学館(大阪府吹田市)。府は民間事業者から活用アイデアを募集している。鉄筋コンクリート2階建てで、白い外壁が特徴的だ。公共建築百選に選ばれた。児童書を収集・公開する文学館として約25年間親しまれたが、橋下氏は0912月、コスト縮減などを理由に閉鎖した。その後、旧文学館には別の府施設が排出したPCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物が持ち込まれ、処分するまでの間、一時保管している。書庫には公文書を置き、建物内部は一般公開していない。府は、大阪万博(1970年)から半世紀となる2020年を前に、旧文学館を集客に活用する方針に転換した。万博のシンボル「太陽の塔」そばにある立地の良さを生かす。しかし、具体的な活用策はまだ「白紙の状態」(府の担当者)。まずは民間からのアイデアを募集することにした。締め切りは4月22日。府は「将来的には、運営事業者を公募する」としている。建物正面にある彫刻プレートには、「ハンザ同盟の自由都市ブレーメンからグリム兄弟生誕200年を記念し寄贈されたもので、ブレーメンの彫刻家が原石を西ドイツから運び、この地で製作されたもの」と記されています

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鳥越信】(19292013

2013.2.15読売新聞より

鳥越信氏83歳(とりごえ・しん=児童文学評論家)14日、老衰で死去。葬儀は近親者で行う。喪主は長男、恭(きょう)氏。早稲田大教授として児童文学研究に取り組み、収集した12万点の資料「鳥越コレクション」を1979年、大阪府に寄贈した。これを基に84年、吹田市に「府立国際児童文学館」が創設され、運営に当たった。同館は2010年に廃止され、資料は東大阪市の府立中央図書館に移された。「日本児童文学史年表」で1976年の日本児童文学者協会賞などを受賞した。

《参考》松岡正剛の千夜千冊より

日本の絵本史」編:鳥越信ミネルヴァ書房2001

http://1000ya.isis.ne.jp/1054.html

ありがたい研究本である。近代以降の絵本の歴史をほとんど検証して、その特質を浮き彫りにした。さすがに執筆者は多いが、記述にムラがなく価値の視軸がぶれてない。編者の鳥越信の力なのだろう。


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《参考》図書館戦争

http://www.toshokan-sensou.com/secret/index.html

http://www.toshokan-sensou-movie.com/

《参考》ハイネの言葉警句

『焚書は序章に過ぎない。本を焼く者は、やがて人間も焼くようになる』

図書館の自由に関する宣言】日本図書館協会

http://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/232/Default.aspx

図書館の自由に関する宣言(抄)

図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。

第1 図書館は資料収集の自由を有する。

第2 図書館は資料提供の自由を有する。

第3 図書館は利用者の秘密を守る。

第4 図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

戦前に思想善導機関として機能した図書館の歴史を反省し、1954年(昭和29年)に打ち出された。1979年(昭和54年)に「図書館は利用者の秘密を守る。」が新しい第3宣言として加えられ、旧第3宣言は「すべての」の次に入っていた「不当な」が削除され第4宣言に改められた。「不当な」の文言がなくなったのは“正当な”検閲というものは存在しないため。

1979年改定においてもなお「知る権利」の明文化をしていないことから、憲法が保障する「知る権利」(日本国憲法第21条に規定される「表現の自由」に含まれていると解釈されている)とプライバシー侵害との折り合いをどうするのかといった事件が絶えない。1997年の少年Aによる神戸連続児童殺傷事件時の顔写真(「FOCUS」等)をどうするのか、少年法との折り合いはどうするのか、名古屋市立図書館『ピノキオ』事件などによる差別用語や差別表現などとの折り合いをどうするのかなどの課題が多い。また行政と対立する場面もしばしば見られる。こういった問題が出てくるのは図書館の大多数は「公共図書館」であり、憲法や教育法を守るべき組織であるからである。「ピノッキオの冒険回収騒動」に関しては以後「検討の3原則」が追加された。

検討の原則

1.問題が発生した場合には、職制判断によって処理することなく、全職員によって検討する

2.図書館員が制約された状況の中で判断するのではなく、市民の広範な意見を聞く。

3.とりわけ人権侵害に関わる問題については、偏見と予断にとらわれないよう、問題の当事者に聞く