◆【OAP彫刻の小径2015】◆
530-0042大阪市北区天満橋OAP公開緑地内/アートコートギャラリー06-6354-5444
http://www.artcourtgallery.com/exhibitions/?cat=oap
●外礒秀紹・吉野央子展「空間のリズム」2015年5月~2016年11月
大阪市北区のOAP「彫刻の小径」において、2015年5月から2016年11月まで、国内外で活躍する2人の彫刻家、外礒秀紹と吉野央子による野外彫刻展を開催いたします。
外礒秀紹は、金属板を格子状に組み込み、パターンの反復と集積によって造形された金属彫刻を手掛けます。整然と構築された美しいパターンは、自然の中に巡る風、光や音などの波形を掬い取り応用して採り入れたもので、素材の特質である金属の力強さを湛えつつも、まるで空気を含むように柔らかく軽やかな印象を与えます。外礒は、自然現象は元より、建築や橋などの大型人工物など人間のスケールを悠々と超えるそれらが細部の集積であることを理解し驚愕した経験から、本シリーズの制作を始めました。前後左右へと様々に視線が巡り、鑑賞する角度や影の効果で多様な表情を見せる発見に満ちた外礒作品では、自然界のみならず人間社会の中でも営まれ構築されている「全体が細部を包括すると同時に、細部が全体を包括している」という世界の仕組みや、ものごとが時間や天候、季節など様々な環境に影響を受けながら変化することに気づかされます。誰もが日常的に体験する風・光・音などの現象をキーワードに造形された作品群は、鑑賞者の無意識の記憶を呼び起こし、新たな気づきの眼差しを促すことでしょう。
吉野央子は、素材として木を選び、木彫の伝統的技術を継承しながら、木の特質を活かした新たな表現の可能性を追求しています。本展の出展作品では、ブロック状に切り出したパーツを隙間を空けて交互に組み重ねた後、輪郭を削り出して造形します。「句読点を打つように、何気ない空間に呼吸と驚きを与えたい」と語る吉野は、展示環境と素材との対話を続けながら一つ一つ手仕事を重ね、人々の想像を自由に超えてゆく新鮮な作品を展開しています。空豆や茶壺といった具体的で明快な親しみやすさを持ち、観る人を包み込むような大きさやユニークなフォルムを与えられた作品群は、鑑賞者との楽しい対話を生み出します。決められた機能から解放され、空間と鑑賞者にストレートに作用してゆく吉野彫刻。その自由さは、細やかに整備された現代社会だからこそ生まれる制約や、技術の進歩によってフォーマット化され、知らず知らずの内に消えた手痕、予定調和の均一化されつつある世界の枠組みを軽 妙に揺さぶります。
外礒・吉野の両作家の作品群は、集積された美しい規則性を持つ、高い技術に支えられて精緻に仕上げらた彫刻表現ですが、それらには共通して行為の痕跡や手仕事の温もりが滲み出ています。野外環境の影響と時間とを積層しながら緩やかに変容してゆく両者の作品が共鳴し合い、また、観る人の知覚に働きかけ、観察と発見と驚きに満ちた展示となれば幸いです。
・・・さて、何度も訪問していますが、やっぱり「造幣局」に行ってみましょう。ひょっとしたら何か新しい発見があるかもしれません。
◆「造幣局」
530-0043大阪市北区天満1-1-79/06-6351-5361
造幣局は、近代国家としての貨幣制度の確立を図るため、明治新政府によって大阪の現在地(大阪市北区)に創設され、明治4年4月4日に創業式を挙行し、当時としては画期的な洋式設備によって貨幣の製造を開始しました。その頃我が国では、機械力を利用して行う生産工業が発達していなかったため、大型の機械設備は輸入するとしても、貨幣製造に必要な各種の機材の多くは自給自足するよりほかなかったので、硫酸、ソーダ、石炭ガス、コークスの製造や電信・電話などの設備並びに天秤、時計などの諸機械の製作をすべて局内で行っていました。また事務面でも自製インクを使い、我が国はじめての複式簿記を採用し、さらに風俗面では断髪、廃刀、洋服の着用などを率先して実行しました。このように、造幣局は、明治初年における欧米文化移植の先駆者として、我が国の近代工業及び文化の興隆に重要な役割を果たしたので、大阪市が今日我が国商工業の中心として隆盛を見るようになったのも、造幣局に負うところが少なくないといわれています。その後、造幣局は、貨幣の製造のほか、時代の要請にこたえて勲章・褒章及び金属工芸品等の製造、地金・鉱物の分析及び試験、貴金属地金の精製、貴金属製品の品位証明(ホールマーク)などの事業も行っています。平成15年4月1日から、独立行政法人造幣局となりました。