【琳派400年記念祭】
「琳派」という言葉をどこかで耳にしたことがあるでしょうか。「琳派」は、ごく近年になって使われはじめ、今は世間的に定着した言葉のようです。大正時代に美術史関係の人が創り出した言葉なので、昭和40年代の美術辞書にも解説されていません。『源氏物語』が千年にわたり親しまれてきたのに比べれば一般に馴染が少ないのも当然です。しかし、★俵屋宗達(生没年不詳)『風神雷神図』屏風は美術の教科書にも掲載され、多くの人が知っています。この宗達と一緒にいろいろな仕事、例えば『嵯峨本』と呼ばれる謡本を遺したのが★本阿弥光悦(1558~1637)です。光悦は元和元年(1615)に徳川家康から「鷹峯」の地を拝領し、それから400年の歳月が流れ今日に至りました。「琳派」とは、宗達から100年ほど後に絵師となった★尾形光琳(1658~1716)の「琳」をとって名付けられた名称です。尾形家は俵屋宗達や本阿弥家と姻戚関係にあり、光琳は宗達の作品をよく学んでいます。『風神雷神図』屏風を手本に、光琳は同じ図柄の屏風絵を遺しており、「琳派」は、宗達や光悦から生まれたといってよいのです。
・・・やっぱ「国立博物館」に行かなくっちゃ。
◆【京都国立博物館】◆
605-0931京都市東山区茶屋町527/075-525-2473
★琳派誕生400年記念「琳派・京(みやこ)を彩る」
2015(平成27)年10月10日(土)~11月23日(月・祝)
琳派とは、江戸時代に現れた装飾的な作風を特色とする、俵屋宗達、尾形光琳・乾山、酒井抱一といった芸術家の一群をゆるやかにつなぐ言葉です。その源は、京都洛北の鷹峯に住し、書をはじめ様々な芸術に関与した本阿弥光悦へと遡ります。本展は、光悦が徳川家康から鷹峯の地を拝領して400年となることを記念し、琳派誕生の地である京都において初めて開催される本格的な琳派展です。琳派の名作を一堂に集め、その都ぶりな美意識、日本的と評される特質をご堪能いただくとともに、琳派の系譜をご紹介します。
※「風神雷神」が京博に降臨!
国宝「風神雷神図屏風」俵屋宗達筆/建仁寺<展示期間:10/10~11/23>
重要文化財「風神雷神図屏風」尾形光琳筆/東京国立博物館<展示期間:10/10~11/8>
「風神雷神図屏風」酒井抱一筆/出光美術館<展示期間:10/27~11/23>
■「明治古都館(旧 帝国京都博物館本館)」
明治28年10月竣工、30年5月開館。当館のシンボルともいうべき煉瓦造の建物。設計者は宮内省内匠寮技師片山東熊(かたやまとうくま)博士です。昭和44年、表門、札売場及び袖塀とともに重要文化財に指定されました。建築面積は3,015m2(展示面積2,070m2)です。玄関ホール、中央ホールのほか、大小10室の陳列室及び中庭が左右対称に配置され、主として特別展覧会などに使用されています。正門は、明治28年10月竣工。昭和44年に旧帝国京都博物館 本館とともに重要文化財に指定されました。正門は、一般のお客様の退館及び、団体でご入館される観覧券をお持ちのお客様の入退館専用となっております。
【参考】蓮華王院「三十三間堂(本坊妙法院門跡)」
605-0941京都市東山区三十三間堂廻り町657/075-561-3334
http://sanjusangendo.jp/index.html
正式名は、蓮華王院で、その本堂が「三十三間堂」と通称されます。これは、東面して、南北にのびるお堂内陣の柱間が33もあるという建築的な特徴によります。「三十三」という数は、観音菩薩の変化身三十三身にもとづく数を表しています。平安後期、約30年の間、院政を行った後白河上皇が、自身の職住兼備の「法住寺殿・ほうじゅうじどの」と呼ぶ院御所内に、当時、権勢を誇った平清盛の資財協力によって創建したものでした。 ところが、そのお堂は建長元年(1249)、市中からの火災により焼失し、鎌倉期★文永3年(1266)に再建されたのが現存のものです。朱塗りの外装で、堂内は、花や雲文様の極彩色で飾られたといい、今もわずかにその名残を停めています。地上16メートル、奥行き22メートル、南北120メートルの長大なお堂は、和様、入母屋造り本瓦葺きで、手前からはるか彼方へ一点透視的に漸減する眺めは、胸のすく壮快さです。
★国宝「風神・雷神」と二十八部衆
観音二十八部衆に風神・雷神を加えた30体の等身大の尊像が千体観音像の前に安置されています。その多くは、古代インドに起源をもつ神々で千手観音に従って仏教と、その信者を守るとされます。名称や尊容は、7世紀の中国で訳された経典にみえ、すでに敦煌の遺跡には、その作例があるといいます。天衣の女神や甲冑をつけた神将、動物や楽器を執るものなど変化に富み、他では見られないものもあり、あたかも護法神像の博物館のようです。これらは、檜材の寄木造り、玉眼を用いた彩色像で、それぞれが迫真的な表情や姿態を見せる鎌倉彫刻の傑作です。
★「風神・雷神像」
ともにインド最古の聖典とされる「リグ・ヴェーダ」に登場する神で、その名が示すように自然現象を神格化した原初的な神々です。風神は、ヴァーユと呼ばれ、数頭立ての馬車で天を駆けて悪神を追い払い、富貴栄達を授ける神とされ、一方の雷神は、ヴァルナという水神だといわれます。仏教では、仏法を守る役目とともに、悪をこらしめ、善を勧めて風雨を調える神と信じられています。その像形は、古代の信仰や伝説的空想によって、全く日本化されており、後世の二神のイメージを決定づけた名作で、お堂の再建時に造像を統括した★湛慶が、その作成に深くかかわっているとされます。
★俵屋宗達の「風神・雷神図」はこの三十三間堂の風神・雷神像に誘発されて描いたとも言われています。
・・・「建仁寺」にも行かなきゃ。