・・・「奈良公園」に行けば必ず前を通るのに、一度も入ったことがない気になる建物それが「奈良県庁」。「屋上」が開放されているということを知り、さっそく行ってみることにしました。
★県庁舎屋上広場の開放日程について/管理係・財産係0742-27-8406
http://www.pref.nara.jp/4203.htm
■1965「奈良県庁」設計:片山光生(建設省近畿地方建設局)
630-8501奈良市登大路町30/0742-22-1101
1965年2月竣工のモダニズム建築。興福寺伽藍が点在し、鹿で有名な奈良公園の出入口である登大路を挟んで見える鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階、地上6階建ての奈良県庁舎は水平ラインを強調したデザインと頂部に兜の様な巨大な塔屋を持つシンボリックな建築である。
庁舎建築の典型となった1959年竣工の香川県庁舎★(設計:丹下健三)の風貌を思い出させる様な建築である。各階の水平ラインは古建築の高欄を現代風にアレンジして簡素化し、跳ね出されたパラペット屋根と共に建物に陰影を与えている。庁舎は中庭を囲むように2階建ての低層部両翼と敷地の奥に6階建て本館を中心に建物のヴォリュームを押さえた印象を与える為に配置されている。鉄筋コンクリート造のグリット割された柱や梁の構造は★コルビュジェのピロティを模している。外装は杉型枠板を柱の縦方向と梁の横方向を使い分けて木目のコンクリート打ち放しを主とし、サッシのブラックとガラスのブルーで素材と色を強調している。
芝が張られた中庭はピロティに支えられた低層棟に回廊状に囲まれ、人々を招き入れる為に解放され奈良公園との連続性を意識している。登大側アプローチの両サイドにさり気無く設置されている屋外階段もシンプルで均整が取れている。設計者の片山光生は岡山県岡山市生まれで、昭和18年に京都帝国大学工学部建築学科を卒業し、戦後に建設省近畿地方建築局に所属していた官僚建築家である。2020年の東京オリンピックに向け解体工事がようやく進み出した国立霞ヶ丘陸上競技場の設計にも携わっており省内では知られた建築家であった。
※奈良県庁舎改修(1995年8月~1999年12月)★日建設計
・・・奈良公園の喧騒をよそに、ここは別天地(天国)。穴場として、ぜひお勧めしたいスポットです。
・・・「県庁」裏側にあるのが「県立美術館」、同じく片山光生さんの設計です。