1961(昭和36)年に建てられた旧・本町ビルディングは、堺筋と本町通という大通りの交差点にあって、半世紀にわたって「堺筋本町」の街のイメージを、目を引く派手さはないものの、人々の深層心理に働きかけるようにして規定してきました。その存在の大きさは、このビルが姿を消したときに、初めて多くの人が気付くことになります。シックな茶褐色のタイルに覆われた平滑な外壁と、角に丸みを帯びたアルミサッシからなる外観は、この時代のオフィスビルのひとつの典型といえます。しかしよく見ると南東の壁がせり出すように湾曲していたり、エントランスの庇部分に貼られた御影石も微妙に波打っているなど、細部に設計者のこだわりが感じられます。そして地上からはなかなか気づかないビルの屋上には、巨大なレリーフがあります。ビルで働く人々の憩いの場だった屋上広場を飾るものとして、★ガウディに大きな影響を受けた建築家★今井兼次(1895-1987)がデザインしたモニュメントがあります。色鮮やかなモザイクは使われなくなった茶碗や火鉢などの割れものを再生利用してつくられており、今井はこの手法を「フェニックス・モザイク」と呼んでいました。元々繊維関連企業が建てたビルであったことから、いとへんの街として栄えた船場を象徴するものとして、「糸車」がモチーフとなっています。また低層部の外壁の石張りには、木彫作家として活躍した★植木茂(1913-1984)のレリーフがはめこまれています。戦前までの建築には装飾があり、戦後それらが失われて建築はつまらなくなったという意見を聞くこともありますが、芸術作品やレリーフ・壁画などが、この時代の建築に豊かさをもたらしていたのです。旧・本町ビルディングは現在、建て替えが計画されていますが、建築家★安藤忠雄氏の設計によって、フェニックス・モザイクは新しいビルに保存・活用されるということです。建築は姿を消すかもしれませんが、その存在と歴史はまさにフェニックス(不死鳥)となって引き継がれていくことでしょう。2015年2月中に解体を終える予定で、解体完了後に引き続き新ビルの建設が始まります。新ビルの規模は地下2階地上12階建てを計画。新ビルの完成は2016年9月、グランドオープンは2016年12月をめざしています。1階に大阪商工信用金庫の本店営業部、2階に200席のホール、3階から10階に大阪商工信用金庫の本部各部署、11階に食堂などが入る予定になっています。
・・・寂しくもあり、嬉しくもあります。また、この街のこの場所に来る楽しみが増えました。
◆1973「大阪国際ビルディング」/設計施工:竹中工務店
541-0052大阪市中央区安土町2丁目3-13/06-6261-1221
http://www.kc-plaza.com/osakakokusai/index.html
昭和48年の竣工以来、常に大阪中心地においてリーディングビルの地位を守る“大阪国際ビルディング”。歴史ある本町界隈のビジネス街のなかで、今も昔も、屈指のランドマークとして在り続けています。加えて、大阪のメインストリートの一つである本町通 りに面し、地下鉄3路線にアクセスする類い稀な交通利便性。比類なきステイタスと優れたロケーションが、ビジネスの信頼とスピードを向上させます。”常に時代の先端をリードするビル”「大阪国際ビルディング」では平成11年度よりリニューアル工事を実施しております。伝統あるビルに最新のオフィス環境を提供します。快適なオフィスの中でこそビジネスは創造されます。
○公開広場/太陽の光が降り注ぐ緑溢れる公開広場は、訪れる人々やビルで働く人々に安らぎと四季の移り変わりを感じさせます。
◆1991「りそな銀行大阪本社ビル」
541-0051大阪市中央区備後町2-2-1/06-6268-7400
ビル前緑地に、1991「ラウンド・ストラクチャア」作:内田晴之が設置されていました。
◆1983「野村不動産大阪ビル」
541-0052大阪市中央区安土町1-8-15
堺筋沿いにあるオフィスビル。1フロア面積は404坪。 大規模サーバー障害を引き起こしてしまったファーストサーバ本社などがテナントとして入居している。
◆1964「野村不動産備後町ビル」
541-0051大阪市中央区備後町1-7-6
かつては池萬ビル、イケマン堺筋ビルなどと呼ばれていた。向かいの大和銀行(現りそな銀行)の本店機能の一部が置かれていた事もある。2013年から解体が開始。跡地には遠藤照明が新本社ビルを建設する。
◆1953「フジカワビル」/設計:村野藤吾
541-0048大阪市中央区瓦町1-7-3/06-6231-4304
http://www.art-express.co.jp/guide-net/osaka/fujikawa/index.html
ガラスブロックの外観や美しい階段が有名、1~2階も村野が画廊の為に設計しただけあって個性的です。堺筋に面した1階は約37坪の吹き抜け大空間。2階は手前と奥に吹き抜けを見下ろすロフト。
・・・こんな画廊で展覧会してみたいものです。