少年とカエル(1)
以前「蛙男」の調査をしましたが・・・
ベネチアの現代美術館「プンタ・デラ・ドガーナ(Punta della Dogana)」の岬の突端に立ち、蛙を手にする少年の像「Boy with Frog」。美術館開館のために1953年生まれのチャールズ・レイに注文されたこの像は、その白さと古典的造型によってヴェネト地方が生んだ最大の彫刻家カノーヴァを思わせ、蛙によって沼沢地であったこの街の歴史を暗示しながらも、少年の不敵な表情と大理石ならぬその素材(ステンレスとアクリル系ポリウレタン)とが、一挙に西洋美術の伝統を相対化する。作者のレイ氏は過去のインタビューで、カエルの足を持ち上げ見つめる少年の像は、好奇心と恐れ、嫌悪が混ざった感情を表現していると語っている・・・そして、「少年とカエル」はいなくなった。
・・・ということで、今回は「少年とカエル」を調査することにしました。
◆エドワード・ベルジェEdward Berge(1876~1924)
メリーランド州ボルチモアで生まれたアメリカの彫刻家です。主にブロンズの記念碑的な作品が知られています。メリーランド大学で学び、彫刻のラインハート·スクール研究完了時に、アカデミージュリアンに入学し、チャールズラウルベルレとオーギュスト·ロダンに師事しました。ナショナル·スカルプチャー·ソサエティのメンバーであり、ナショナル·アーツ·クラブに所属していました。
◆ハリエット・ホイットニー・フリッシュマスHarriet Whitney Frishmuth(1880~1980)
アメリカの女流彫刻家。
・・・これは、少女とカエルですね。
◆グリム兄弟生誕200年記念「メルヘンの泉」
ドイツ南部、ローテンブルクのマルクト広場には、ヤコブ・グリムの生誕200年にちなみ、1985年彫刻家フィンガーロキットニッツのデザインにより作られた「メルヘンの泉」と呼ばれる噴水があります。円柱の先端には、いばら姫のお城、円柱にはグリム童話のモチーフが彫刻されており、かえるの王子などが泉のまわりを飾っています。
※「かえるの王子さま」・・・王子さまも「少年」です。
グリム童話のひとつで、日本ではかえるの王子(様)と呼ばれることが多い。かえると金のまり、または鉄のハインリヒとも言う。
ある国の王女が、泉に金の鞠を落としてしまう。そこへカエルが「自分を王女様のお友達にしてくれるのなら、池に落とした金の鞠を拾ってきてあげよう」と申し出る。王女は鞠を取り戻したい一心で、その条件をのむ。しかし、王女は鞠を取り返すと約束を破ってカエルを置いて帰る。それでもカエルは自力で城にたどり着き、王女に約束を守るように言う。王女は嫌々ながらもカエルと一緒に夕食をとった後、すぐに寝室に戻るが、カエルは寝室にまであがりこんできていた。図々しいカエルを見て王女は怒りのあまりカエルを壁に叩きつけるが、そのおかげでカエルの魔法が解け、立派な王に戻る。これまでの無礼を詫びた王の求婚を受け、二人は幸福な結婚をする。翌日、王の国から迎えの馬車が来る。馬車に同乗していた王の忠実な家来・ハインリヒは、胸に3本の鉄の帯を巻いていた。これは主人がカエルにされたときに、悲しみのあまり胸が張り裂けないようにはめたものだった。主人が助かったため、喜びのあまり1本ずつはじけて帯がはずれる。「鉄の帯が外れる」とはドイツ語のことわざの「Mir fällt ein Stein vom Herzen (直訳:心の石が落ちる、意味:肩の荷が下りる)」に掛けた表現で、胴体から鉄の鎧が外れて行く描写は心から固い石がはがれ落ちてほっとすると言う表現を連想させる。王も王女もハインリヒも全員が無事に幸せになったという結末を象徴するグリムの粋な締め言葉である。日本では、カエルを壁に叩きつけるのではなくカエルにキスをすることで魔法が解けるというバージョンも見られる。