4月が待ち遠しかったのは(2)
開館60周年を迎えた藤田美術館の記念展は、すでに1月より始まっていました。
●開館60周年記念「藤田美術館展」
1月15日(水)~1月20日(月)阪急うめだ本店9階ギャラリー
日本で屈指の東洋古美術のコレクションを誇る藤田美術館。その中から日本を代表する古美術商(谷松屋戸田商店)戸田博店主の審美眼によって選びぬかれた38点の名品が一堂に並んだ展覧会。
※重文・御所丸黒刷毛茶碗
《付属物》箱-書付江月和尚筆
《伝来》古田織部-井上家-藤田家
《寸法》高さ6.2~7.5 口径9.9~13.0 高台径6.0~6.4 同高さ0.9 重さ334
御所丸茶碗は織部切形で朝鮮に注文したもので、姿は織部沓形といえる。沓茶碗は俗に黒織部と称するものの中に類例が多いが、御所丸茶碗の中にもまさに黒織部さながら、白釉に黒釉をましえた御所丸黒刷毛という手がある。 白釉をかける前に鬼板のような鉄砂を一部に塗った文様は、黒織部そのままである。 土も赤く焦げ、白釉にも紅がさして柔らかい。「夕陽」は織部伝来の由緒正しく、黒刷毛中の白眉と目されている。
・・・しかし、私がぜひとも見たいのは、
◆【藤田美術館】◆
534-0026大阪市都島区網島町10番32号/06-6351-0582
開館60周年特別展~序章~3月8日(土)~6月15日(日)
【主な展示品】<国宝>曜変天目茶碗、玄奘三蔵絵<重文>継色紙、白縁油滴天目鉢、駿牛図他<その他>大獅子図(竹内栖鳳筆)、幽霊髑髏子犬白蔵主三幅対(長澤蘆雪筆)など約30点
およそ800年前、南宋時代の中国でつくられた「曜変天目茶碗」。世界に三つしか現存しないこの茶碗が、大阪市都島区網島町の小さな美術館にある。明治時代に活躍した実業家藤田傳三郎と長男平太郎、次男徳次郎が収集した東洋古美術品を保存展示している藤田美術館。今年、昭和29(1954)年の開館から60周年を迎える。藤田美術館は、昭和29(1954)年、藤田家の「かかる国の宝は一個人の私有物として秘蔵するにあらず、広く世に公開し、同好の友とよろこびを分かち、またその道の研究の資料にせまほしく」との願いから、社会文化の向上発展に寄与する目的で開館した。開館60周年を迎えた今年、特別展として館所蔵の代表作が展示されている。漆黒に映える瑠璃色の宇宙(曜変天目茶碗)、鮮やかで壮大な物語(玄奘三蔵絵)、竹内栖鳳が描いた堂々たる金の獅子(大獅子図)、そして都島区毛馬出身の与謝蕪村が描いた愛らしい猿と鹿の掛け軸など。たくさんの心惹かれる名品を、間近で見ることができる貴重な年である。「東洋古美術品」は「なんだか難しそう」「どんなふうに見たらいいのかわからない」と思っていた。しかしそんな心配は無用。ここでは、作品横に掲示されている「解説」が簡潔でとてもわかりやすく工夫されている。その「解説」は、200字程度で小学校高学年から理解できる内容をめざして、展覧会開催前に2~3か月を費やしつくられている。また、会期中の毎週土曜日には、午前11時と午後2時の2回、学芸員による展示解説も行われている。わからないことは、その場で質問できる。すばらしい収蔵品が数千点もあり、学芸員の解説も楽しみな美術館だが、残念ながら春と秋しか開館していない。「蔵」を改装した展示室は空調設備を備えていないため、気候のいい春と秋しか開館できない。そんな自然に寄り添いながら、世界に誇る宝物を守り続ける藤田美術館で、春の一日を過ごしてみてはいかがだろうか。展示室は「蔵」を改造し、今では珍しい木枠の展示ケースが使われています。
※国宝・曜変天目茶碗
南宋時代(12~13世紀)中国・建窯(福建省)
高6.8cm口径12.3cm高台径3.6cm
「曜変」とは「窯変」の意味で窯の中で焼成中にできる釉薬の変化で偶然の産物であるが、あまりにも美しいため〝星〟の意味をもつ〝曜〟の字があてられた。「天目」とは中国にある山脈の名称で、その山中には大きな寺院があった。12世紀から13世紀の頃、ここに留学していた日本の僧が帰国の際、寺院でつかっていた黒釉茶碗を持ち帰る。日本ではそれらの茶碗を「天目」と呼び、のちにこの器の形を「天目茶碗」と称した。黒い釉薬は静かな夜空を思わせ、青や緑に光る斑文が美しい。外側にも銀河星団のような斑文をちりばめている。しかし、この輝きを生む製法はいまだ謎。美しいこの茶碗は、徳川家康から水戸徳川家へ伝えられたものである。
※大獅子図/竹内栖鳳筆
四曲一隻・絹本彩色
239.0×281.8cm明治35(1902)年頃
パリ万博の視察目的でヨーロッパに行った竹内栖鳳は、各地の動物園ではじめて実物のライオンと対峙(たいじ)。帰国後ライオンを描いた作品で賞を受けたため、一時は「栖鳳=ライオン」ともいわれたそうである。本作品は昨年秋に開催された「京都市美術館開館80周年記念 竹内栖鳳展 近代日本画の巨人」にも出展された。竹内栖鳳といえば「猫」を思い浮かべる方も 多いのでは。これはとても大きくて迫力満点のライオンです。大きすぎて展示に困るとか。ふさふさした毛並みが触ってみたくなるほど、とても丁寧に描かれています。今にも大きなあくびをしそうです。
◆太閤園
534-0026大阪市都島区網島町9-10/06-6356-1110
太閤園は、昭和34年(1959)にオープンした格調高い庭園と宴会場や高級料亭からなる、およそ7000坪の敷地をもつ施設。もとは明治42年(1908)頃、当時の財界の雄であった藤田傳三郎氏が大川(旧淀川)畔に築造した「綱島御殿」に遡る。現在は各種パーティ会場や展示室などに利用できる大中バンケットなどがある。とくに、格式高い料亭「淀川邸」では、庭園を眺めながら日本料理の神髄を味わうことができるのが魅力だ。太閤園の庭園は築山式回遊庭園で、日本各地から集めた石や灯龍、塔などから作庭され、四季折々に美しい表情をたたえることでよく知られる。近年では、5~6月頃にホタルを見ることもできるそうだ。藤田美術館や藤田邸跡公園なども隣接して、歴史や文化を感じることができる。
・・・敷居が高くて入りにくいのですが、今回はじめてお庭を拝見することができました。
◆藤田邸跡公園/534-0026大阪市都島区網島町10
現在は大阪市立藤田邸跡公園となっている。園内に滝を配置するなど特徴のある庭園である。この庭園は戦後放置され鬱蒼とした森となっていたのを、JR東西線建設工事時に建設基地として使われるために木が伐採され、東西線開業後に大阪市によって公園として整備されたものである。築山・滝・流れを基本的構成とし、起伏に富んだ地形を人工的につくり出している。江戸時代以前には例のない、築山をスクリーン的に扱い、豪快な石組みは、豪壮で荒々しい自然の情景を表現している。藤田邸跡公園は、隣接する桜ノ宮公園とは異なり、夕方以降は閉門され、夜間は入園することが出来ない。美術館は1年の半分は休館しているが、藤田邸跡公園は通年入場することができる。
・・・こちらの公園もはじめてでした。