・・・帰りには、道沿いの古墳を見てまわりました。
●景行天皇稜
この古墳は、日本武尊の父と伝えられる第12代景行天皇の陵墓とされ、「景行天皇山辺道上陵」として宮内庁が管理しています。地区の名を取って「渋谷向山古墳」とも呼ばれています。古墳は等高線の乱れが少なく、崇神天皇陵のように大きな改変を受けていません。また、周濠も幅が狭く、築造時の姿を良くとどめているとされ、周濠と周濠を仕切る土手の調査では、築造時の葺石が確認されています。全長約300m、後円部径約168m、後円部の高さ約25m、前方部幅約17m、前方部の高さ約23mを測り、前方部はほぼ西を向き、周りには濠が巡っています。埋葬施設は不明です。年代は、これまでに出土した土器から4世紀後半(古墳時代前期後半)とされています。崇神天皇陵に続いて造られた大王の墓で、前方後円墳、円墳、方墳、各1基の陪塚を持ち、4世紀の古墳としてはわが国で最大規模の古墳です。遺物は埴輪や土器などしか見つかっていませんが、伝世品として関西大学が所藏する石枕があります。1864年の出土とされ、大王の頭部を飾るのにふさわしい優品です。
●崇神天皇稜
大和朝廷の創始者とされる第10代天皇、崇神天皇の陵墓「山辺道勾岡上陵」として陵墓に指定され、宮内庁が管理しています。地域の名を取って「行燈山古墳」とも呼ばれています。周濠に沿う緑が美しく、展望も良いことから、山の辺の道を歩く人達にとって、絶好の休憩場所として親しまれています。古墳は全長約242m、後円部径約158m、口縁部の高さ約31m、前方部の幅約100m、前方部の高さ約13.6m、周濠を含めた全長は約360m、最大幅約230mの巨大な前方後円墳です。築造された年代は4世紀後半(古墳時代前期後半)の早い時期と推測されています。埋葬施設は不明ですが、昔の絵図には後円部墳頂に南北方向の盗掘跡と見られる掘り込みが描かれており、掘り込みのようすから竪穴式石室と考えられています。遺物は周濠から銅板、金銀細工品、土器などが出土しています。銅板は縦54cm、横71cmほどの長方形で、採られた拓本には表面に内行花文鏡に似た文様、裏面に四区画に分けた文様が陽刻されています。鏡に関係した銅製品と考えられますが、他に例が無く、用途は不明です。また、この古墳は大王墓にふさわしく、3基の陪塚を伴っています。南アンド古墳(全長65m)、アンド山古墳(全長120m)、天神山古墳(103m)です。全て前方後円墳で、地方では豪族クラスの規模を誇ります。
・・・こんなに美しい古墳を見たことがありません。道路をはさんで、
●伊射奈岐神社(大和天神山古墳)
国生み神話の主人公である伊邪那岐命を祀る古社です。社伝では崇神天皇の御代の創建とされていますが、天文年間に社記が焼失してしまったため定かではないそうです。第60代醍醐天皇の時代には、延喜式神名帳に列せられ「官幣に預かり給う」と記載されています。1641年、二代目柳本藩主・織田長種がこの地へ移し、本殿を造営しました。明治時代には、柳本藩社、後に柳本村社となり、柳本町内に祀られていたお社が合祀されました。
また、説明看板には「崇神天皇の御代の崇祭は、伊勢神宮と殆ど同時期に創建された最も古い神社であり、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国征伐の出陣に際し、弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)を后に迎えて間もない命は我が身を按じ、当神社で戦勝祈願をして伊勢へ出立したことも、当初から大和朝廷の崇敬が厚かったことを物語っています。」とありました。また、伊射奈岐神社の境内地は、県指定の史跡『大和天神山古墳』があります。古墳時代前期(3~4世紀)の最古レベルの前方後円墳で、墳丘の東半分が国道169号線建設時に削られてしまったが、残った部分は比較的よく形状を留めている。墳丘は全長103m、後円部径56m、後円部高さ9m、前方部幅47m、前方部高さ7m、周濠は不明。葺石は認められたが埴輪は存在せず。1960年に竪穴式石室が調査され、石室内部にコウヤマキ製の割竹形木棺が確認された。副葬品は、銅鏡23面が木棺中央の41kgの朱を取り囲むように配置。鏡には三角縁神獣鏡は含まれない。副葬品は、2002年に国の重要文化財に指定された。
◆【天理市立黒塚古墳展示館】◆
632-0052奈良県天理市柳本町1118番地2/0743-67-3210
2002年10月12日に開館しました。古墳時代初期の前方後円墳である黒塚古墳から1998年に国内最多の三角縁神獣鏡33面、画文帯神獣鏡1面、大量の鉄製刀剣類、U字形の鉄製品などが出土した。これらの調査成果を公開・活用するために、天理市により、黒塚古墳の周濠だったと考えられる池の東畔の公園内に開設された施設である。館内は、1階の吹き抜け下に黒塚古墳の石室が原寸大(長さ8.3m)模型で再現されており、2階の吹き抜け上から1階の石室全体を見渡すことができるようになっている。ほか1階では鉄器など黒塚古墳出土品のレプリカを展示して古墳時代の大和と黒塚古墳についてパネルで紹介、2階では出土した三角縁神獣鏡33面、画文帯神獣鏡1面の精巧なレプリカを展示している。なお出土品の実物は保存処理を施された上、奈良県立橿原考古学研究所にて保管されている。