・・・「陶板名画の庭」つづきです。
●1990「国際花と緑の博覧会」
大阪市鶴見区と守口市に跨る鶴見緑地で、183日間の会期(1990年4月1日~9月30日)で行われた博覧会国際事務局(BIE)認定の国際博覧会であり、また国際園芸家協会(AIPH)の大国際園芸博覧会でもある。会場面積は約140haで、略称は「花の万博」「EXPO'90」。「花と緑と人間生活のかかわりをとらえ21世紀へ向けて潤いのある豊かな社会の創造をめざす」をテーマとし、日本を含む83カ国と55の国際機関、212企業・団体が参加した。総来場者数は2312万6934名で、特別博覧会史上最高を記録した。
※ダイコク電機/パチンコ・パチスロ店向けの関連機器の専業メーカーであり、特にホールコンピュータに関しては業界シェアの約4割を占めるNo.1企業である。またパチンコ・パチスロ台のデータをリアルタイムに閲覧できる「データロボ」システムや、いわゆる出玉の貯玉管理用のカードシステム「ロボカード」なども手がけている。
●ダイコク電機「名画の庭」テーマ:21世紀の都市庭園への提言
「名画を自然の中で楽しめたら・・・」という、ダイコク電機の女性社員のアイデアから生まれたのが、こちらの「名画の庭」です。このパビリオンは、安藤忠雄により設計されました。「名画の庭」では、これまで屋内のものと考えられてきた絵画を、世界特許をもつ日本独自の新素材セラミックで制作することにより、半永久的な保存が可能な陶板画として全面的に屋外に開放されていました。庭園自体は、水面に高さ12.6mの柱が45本建ち並び、その中を長さ約87mと約72mのスロープが貫いていて、観客はそちらを歩きながら名画を楽しめる仕組みになっていました。制作・展示された絵画は、「誰もが知っているが、見た人は少ない」という基準で、和・漢・洋から次の4点が選ばれました。
①レオナルド・ダ・ヴィンチ作「最後の晩餐」
建物正面に掲げられていました。こちらは、縦4.2m横9.1mの原寸大です。「最後の晩餐」は、非常に有名な絵画ですが、こんなに大きい絵だということを知らない人が多いでしょう。
②張擇端原作「清明上河図」
あまり知られていませんが、清明節(春分から15日目の節分)に賑わう北宋の都の風物を描いたもので、台湾にあり国宝級です。縦0.6m横20mに拡大展示されました。
③ミケランジェロ作「最後の審判」
縦13.7m横12.2mの原寸大です。「最後の審判」は、大きな絵画だと知ってはいますが、目の当たりにすると想像以上の大きさに圧倒されます。
④伝鳥羽僧正作「鳥獣人物戯画」甲巻・乙巻
漫画の祖先として知られている「鳥獣人物戯画」。一般公開はされていないからこそ「名画の庭」で・・・各縦0.6m横23mに拡大展示されました。そして、とうとう本物が今年秋に公開されるのです。
このように、ニューセラミック技術の進歩により、原画の色も忠実に再現され、原作の持つ芸術性が少しも損なわれずに再現されていました。この「名画の庭」は、男性コンパニオンさんがいるパビリオンとしても有名でした。ヴァチカン市国の衛兵に扮しておられました。花博で大好評だった「名画の庭」、閉幕から約4年経った1994年3月に京都府内にて「京都府立陶板名画の庭」として再オープンしたわけです。花博の時の作品に新たに4点を加え、同じく安藤忠雄さんによる設計です。