おほっ(60) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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気まぐれ(5)


■「芸術新潮」特集/ゴッホは自殺ではないという渇愛の8章

ゴッホの耳切り事件やピストル自殺はテオの気を引こうとする渇愛のアッピールであったという高階秀爾さんの新説(『藝術新潮』1984年12月号所載)に対して、洲之内さんがアンリ・ペリュショの『ゴッホの生涯』を典拠として執拗に異議を唱えている文章がある。高階さんのクールで図式的な解釈は洲之内さんのゴッホ観ひいては生き方、感じ方の全てを否定するものであったに違いない。そしてその洲之内さんが同時代の証言を含むペリュショの記述と高階さんの解釈とが齟齬をきたしている部分をえぐり出すやり方は、ある種筋金入りの論法を感じさせる。



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洲之内さんが典拠としたアンリ・ペリュショの「ゴッホの生涯」もネットで検索してゲット。ついでに「ゴーガンの生涯」も。


■アンリ・ペリュショ(Henri Perruchot)1917~

1958『ゴッホの生涯』翻訳:森有正/今野一雄

1965『ゴーガンの生涯』翻訳:窪田般弥



■高階秀爾(1932年2月5日~)
日本の美術史学者・美術評論家。東京大学文学部名誉教授。大原美術館館長。
東京大学美術史研究室教授として数多くの著作を著し、啓蒙的役割を果したルネッサンス以後の西洋美術を専門としながら、日本近代美術にも造詣が深くその方面の著作もある。同じく東京大学比較文学教授を務め、京都造形芸術大学名誉学長である芳賀徹とは小学校時代からの友人。また京都大学人文科学研究所准教授で美術史学者の高階絵里加は娘。


高階さんのゴッホに関する本は・・・


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■「ゴッホの眼」1984青土社

聖なる円光をまとう『向日葵』、葉むらに死を孕む『糸杉』、神の言葉を『種まく人』、死の大鎌で生命を『刈入れする人』など、イコノロジー的な作品の分析や、書簡の精緻な解読によって、ゴッホの孤独で苛烈な生の内部に光をあて、“事件”の真相を解きほぐす、画期的な長篇評論。


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「ちりめん本」出版の発起人は長谷川武次郎と言う人物・・・ということなので調べてみました。



■黄色表紙/長谷川武次郎版。日本昔話18ページ 明治31年英語版 "The Boy Who Drew Cats"「絵を描いた少年」翻訳: Lafcadio Hearn (小泉八雲)多色刷り大形版19.2x13.2cm。


結構いろいろ見つかりました。翻訳が小泉八雲さんというのもありました。小泉八雲さんの三男「小泉清」さんは画家でした。洲之内さんの「みんな行ってしまった」におもしろいエピソードが書かれています。


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■小泉清(1900~1962)

日曜美術館で放映され一般に知られるようになったが、寡作のため人目に触れることは少ない。伝説の画家である。小泉八雲の三男で、学生時代には会津八一から天才と言われ、里見や梅原からその才能を絶賛、いわゆる文化人や玄人好みの異才であった。上野の美大を中退後、映画館で楽士の仕事をしながら制作を続ける。里見勝蔵に勧められ46歳で画壇デビューするが妻の後を追って自ら命を絶ったそうです。絵は、原色の絵の具をチューブから出したまま塗り重ねるというもの。激しいけれど攻撃的ではなく、溶岩のような底光りするマチエールとインパクトある構図は、その複雑な血脈がなす業なのかもしれません。


洲之内さんによると・・・

「彼はストリップが好きで、始終浅草へ出掛けたらしい。小屋ではかぶりつきに座って見る。・・・彼自身、自分の二面性を意識していたようで、よく“人生は演技ですよ”と言っていたということである。」


さて、この文章がある「みんな行ってしまった」には、「軍艦島」のことについてもふれられている。雑賀雄二さんの写真集、その本の後に洲之内さんが文章を書いておられる。


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ということで、その写真集も・・・ゲットしました。