KIZUNA41 | すくらんぶるアートヴィレッジ

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ハエ


すくらんぶるアートヴィレッジ(略称:SAV)-はえ1


津波で流され、腐敗が進む水産物から大量発生しているハエを駆除しようと、宮城県気仙沼市階上地区の主婦小野寺恵子さん(64)が身近な調味料などを使って始めたハエの捕獲法が評判となり、地域で広がりをみせている。使うのは砂糖100グラム、日本酒70cc、酢50ccを混ぜた溶液。穴を開けた2リットル入りペットボトルに少量ずつ入れ、物干しざおにつるしたり自宅の周りに置いたりしている。酢や酒のにおいに寄ってきたハエが中に入り、出られなくなってペットボトルにたまる仕組み。5日から始めた小野寺さん方では、1日置いただけでボトル半分ほどのハエがたまるという。この方法を小野寺さんから聞いた地元町内会長が回覧板で紹介したことから、「ハエ取りペットボトル」が地区内に広がったという。ハエの大量発生は、水産加工会社の倉庫から津波で流された冷凍のサンマやサメ肉が周辺の水田や畑に散乱し、腐敗しているのが原因だ。ハエは5月中旬から増え始め、小野寺さんは「晴れた日でも窓を開けられず、洗濯物も干せない。減る気配はなく、本を絶たないと何の解決にもならない」と訴える。腐敗が進む水産物の回収は、港周辺や道路などでは進んでいたが、農地に打ち上げられた分は最近まで手付かずだった。市産業部は「ライフラインの復旧を優先してきた。水田や畑に重機を持ち込めず、作業に時間がかかっている。作業員の数を増やし、できるだけ早く片付けられるようにしたい」と理解を求めている。


すくらんぶるアートヴィレッジ(略称:SAV)-はえ2


陸前高田市気仙町の上長部地区で、住民が魚の腐敗臭に苦しんでいる。魚は津波で破壊された水産加工会社の冷蔵庫から流れ出たサンマやサケなど。東日本大震災発生から2カ月以上過ぎた今もがれきが邪魔をし、広範囲に散乱した魚の撤去や消毒が進んでいない。大量に発生したハエが近くの避難先に入り込むなどし、衛生面に対する住民の不安が高まっている。上長部地区は現在約100人が暮らす。地区に程近い冷蔵庫は津波で壁などが壊れ、鉄骨むき出しの無残な状態。流れ出たサンマの入った箱などが、手が届かないがれきの下や住宅1階の屋根の上などあちこちに散乱したままで、冷蔵庫から1キロ以上先まで広がっている。気温が上昇する日中には、むせるような腐敗臭が漂う。4月末ごろから発生するようになったハエの「被害」も深刻。腐敗したサンマをひっくり返せば、わき出るようにウジがうごめく。


すくらんぶるアートヴィレッジ(略称:SAV)-はえ3


散乱した魚の回収作業は、ゴールデンウイークには1日300人以上のボランティアが当たったが終わらなかった。今は訪れるボランティアが少なくなった上に、住民が自力で回収しても重機がなければ地中に埋めることができないジレンマも抱える。住民は市を通じて消毒を依頼したが、がれきの撤去が進んでいないため、今月中旬の作業で業者が消毒できたのは車が通れる道路沿いだけだった。引き続きがれき撤去と魚の回収を要望している。


すくらんぶるアートヴィレッジ(略称:SAV)-はえ4


岩手県陸前高田市の上長部(かみおさべ)地区で強い腐敗臭が漂う中、仮設住宅の建設が進んでいる。無数のハエも飛び交い、入居を希望している被災者から「においはいつまで続くのだろう」「ハエを抑えられないのか」と不安を訴える声が上がっている。上長部地区では60戸あった民家のうち約40戸が津波で流された。水産加工会社の冷蔵庫も破壊され、千数百トンのサンマやサケが約1キロにわたり流出。気温の上昇にともない腐敗臭が深刻化した。がれき撤去作業が進む平日は、重機を動かすたびに大量のハエが舞い上がる。ハエは体長2センチ余りと大型で、避難所や仮設住宅がある市立長部小学校や近隣の民家にも飛び交う。建設中の仮設住宅は海から約2・5キロ離れ、41世帯が入居予定。海風が強烈なにおいを運び、付近にハエが飛び交う。


すくらんぶるアートヴィレッジ(略称:SAV)-はえ5


近くに住む女性は「今は洗濯物を外に干しているが、昨年の夏のような暑さだと、においが気になり、外に干せないかもしれない」と話す。市水産課によると、4月中旬~5月初旬、1日平均100人以上のボランティアらが散乱した魚を回収。県などと連携し、殺虫剤や防臭剤の散布も実施した。しかし倒壊寸前の建物やがれきの下には水産品が潜り込んだまま。においやハエの問題を解消するめどはたっていない。長部地区コミュニティーセンターに避難している村上修一さん(61)は「自宅が流されて住む所がないから、自分たちは弱い。我慢すればいいのかもしれないが、仮設住宅は2年もしくはそれ以上住むところ。感染症などの心配もあるので真夏を迎える前に何とかしてほしい」と不安を口にする。市建設課の担当者は「仮設住宅に限定せず、地区全体の問題として対策を講じないといけない」と話している。


すくらんぶるアートヴィレッジ(略称:SAV)-はえ6


津波で打ち上げられた養殖設備や水産加工施設から流れ出るなどした魚介類の腐敗臭が、岩手県内の被災地で深刻な問題になっている。廃棄場所の確保が困難なうえ、行政はがれき撤去などに追われ回収もままならない。大量発生したハエが避難所に入り込んだり、悪臭で被災者が頭痛を訴えるケースも出ており、衛生面での不安の声も上がる。「今日はまだいい方。風向きによっては体育館の窓も開けられないよ」。大槌町の赤浜小学校。約90人と避難している佐藤寿さん(64)によると、気温の上昇とともにハエの数も多くなっているという。避難所から300メートルほどの船着き場では、養殖に使われる浮きや漁網、ロープでできた巨大な山が腐敗臭を放っていた。腐ったホタテやワカメが残っているのが見える。サーッという音とともに地面を黒く染めていたハエの大群が飛び立った。津波被害を受けた養殖設備などは、地元漁協の依頼を受けた県沿岸広域振興局がクレーン付き大型船で回収し、陸に揚げている。連日の作業でそれらの山の幅は40メートルほどに広がり、頂上は2階建ての建物ほどに達した。振興局によると、漁業が主産業の大槌町は回収量が特に多く、作業が長期化している。担当者は「揚げた以上、分別して別の場所に持って行きたいのだが、置き場所がない」と困惑する。移動のめどは立っておらず、「このままなら、消毒薬の散布も考えないといけない」と話した。大船渡市では、サンマやサバなどを冷凍保存していた水産加工施設が被災した。市によると、魚は残っていただけで計約1万5000トン。4月から市内8カ所で埋設処分を進めているが、土地の確保や運送用トラックの手配が進まず、今も約2000トンが残る。がれきの中には倉庫から流出した魚が散乱しており、こちらは回収のめども立っていない。腐敗臭は港から1キロ以上離れた避難所まで漂う。家族で身を寄せる女性(60)は「最近は臭いが気になって洗濯物を外に干せなくなった。でも、みんながんばってるんだし我慢しなきゃ」。港を見下ろす高台に立つ大船渡保育園の富沢郁子・主任保育士は「ハエなどの発生で健康への影響が心配」と話す。こうした中、市は6月初めから、殺虫や防臭効果のある薬剤の散布を始める方針だ。「がれき撤去などが優先で、水産物まで手が回らなかった。夏までになんとか処理を終わらせたい」と話している。陸前高田市でも事態は深刻で、住民は市に腐敗した魚の早期回収を要望した。約80人が避難生活を送る気仙町長部地区コミュニティーセンターの世話人、菅野征一さん(66)は「頭痛を訴える人もいる。暑くなるのに、窓も開けられないような状況はつらい」と話す。