■坂茂さん(坂茂建築設計代表)によるボランタリー建築機構坂茂(坂茂建築設計代表)によるボランタリー建築機構(Voluntary Architects Network)は、東日本巨大地震の被災地に設置された避難所のための間仕切りシステムを供給する準備を進めている。
■避難所間仕切り、建築家・坂茂さんが製作
建築家の坂茂さんが東日本大震災を受け、被災地の避難所で使える簡易間仕切り=写真・坂茂建築設計提供=の製作を進めている。家族単位のプライバシーを確保することで、被災者のストレス軽減に役立ててもらうのが目的という。 坂さんは1957年生まれで東京都在住。ロール状の紙管を使った「紙の建築」で世界的に知られ、阪神大震災では神戸に教会と仮設住宅を建設。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の顧問として、難民キャンプのシェルターも手がけた。間仕切りは長さ約2メートルの紙管をフレームのように組み合わせ、壁部分には布を張る方式。軽量で組み立ても簡単という。7年前の新潟県中越地震では一部の避難所で使われた。
■中国・四川大地震で紙製パイプを使って小学校の仮設校舎を建てるなどし、世界的に活躍する建築家坂茂(ばん・しげる)さん(東京都)が26日、山形市の避難所の一つ同市総合スポーツセンターを訪れた。避難者のプライバシーを確保する紙パイプの間仕切りを紹介し、「ストレスを軽減してほしい」と、希望者に無償での提供を申し出た。坂さんは今回の震災発生時、海外にいた。帰国後、24日から紙パイプを持参し宇都宮市や新潟県長岡市の避難所を訪問。この日、親交のある住宅建築会社社長がいる山形市に入った。間仕切りは、厚みのある再生紙製で直径約10センチ×長さ約2メートルのパイプを柱に、約5×約4メートルのパイプを梁(はり)として組む。設置のデモンストレーションでは、慶応大教授時代の教え子や東北芸術工科大の学生らが約10分で、16平方メートルのスペースを“完成”させた。梁に布をかければ部屋のような空間に。広さも調節できるという。家族と親戚の約20人で避難し、作業を目にした福島県相馬市、高校2年吉田稔君(17)は「自分の空間がほしいと思っていた」と目を輝かせていた。坂さんは「プライバシーが確保されないと精神的疲労から病気になる恐れもある。僕らのできることをやりたい」と話し、この後、岩手県に向かった。
■東日本大地震津波支援プロジェクト
Disaster Relief Project for
我々は避難所に簡易間仕切りを作っています。
●避難所間仕切りシステムの必要性
仮設住宅へ移ることができるまで、避難民の方々は体育館などの大きな空間の中で家族ごとに数ヶ月間プライバシーのない生活を余儀なくされます。しかしながら全くプライバシーのない状態では、人々は徐々に精神的にダメージを受け始め、肉体的な問題も併発する恐れがあります。そこで我々は無償で、家族ごとに簡易間仕切りを作る活動をしています。我々は2004年の新潟県中越地震や、2005年の福岡県西方沖地震の際にも同じような活動をしてきました。
●東日本大震災避難所用間仕切りシステム
今回設営する間仕切りシステムは、合板のジョイントやロープでの筋交いが一切不要で、さらに短期間で簡単に組み立てられます。仕切りの間隔も自由に調整可能です。 発注後約一週間で搬入ができます。
4月3日山形県山形市
山形市総合スポーツセンターに 70セット分の設置を行いました。
4月5日岩手県閉伊郡大槌町
大槌高校体育館に40セット分の設置を行いました。
●募金のお願い
東北地方太平洋沖地震によって犠牲になられた多数の方々に、深く哀悼の意を表します。我々ボランタリーアークテクツ ネットワークでは、被災され、避難所で数ヶ月間プライバシーのない生活を強いられる人々の精神的負担を和らげることが急務と考えます。これまで避難所のために作ってきた簡易間仕切りを改良して作り、設置する活動を行っております。今後、皆様からの支援金および近隣のボランティアのご協力をお願い致します。
銀行名:三菱東京UFJ 銀行、東松原特別出張所
口座名:ボランタリーケンチクカキコウ バンシゲル (ボランタリー建築家機構 坂茂)
口座番号:普通 3636723
頑丈で立派で素敵なデザインの建物をつくるのも建築家。でも、今求められているのは、早く安く簡単にできる仮設住宅や避難所での間仕切り。行動する建築家に期待したい。
仮設住宅は、まだまだ不足している。復興への道は厳しい。