❤ハートを届けたい/全国組織の老人会、支援袋製作を呼びかけ
全国の老人クラブで組織する「全国老人クラブ連合会」(東京都千代田区)が、被災者の生活に必要な日用品を集めた「元気袋」の製作を呼びかけている。95年の阪神大震災時にも、会員が仮設住宅に住む被災者へ届けて回り好評だった。
当時の経験を生かし、兵庫県老人クラブ連合会の職員、小牧倫子(ともこ)さん(61)が、アイデアを出すなど中心的な役割を担っている。県老人クラブは「今は被災地へ行って助けることは難しいが、粘り強くハートを届ける支援をしたい」と話している。袋は手芸の得意な老人クラブ会員に縫ってもらう。袋の中には▽タオル▽歯ブラシ▽つめ切りやはさみ▽筆記用具・メモ帳▽石鹸(せっけん)--などの日用品を入れる予定。他にも、手の運動ができる弾力のあるゴムボールや、アクリル毛糸で会員が編んだ食器用のタワシなども加える。完成した「元気袋」は「全国連合会」でまとめて被災地に届けられる。クラブの会員のほか、個人や企業から袋の中に入れる日用品の提供も受け付けている。既に県内のホテルや企業などから、歯ブラシやつめ切りなどの提供があるという。
❤心寄せてNPOハート・オブ・ゴールド有森さんら、被災学校支援へ
東日本大震災を受け、特定非営利活動法人「ハート・オブ・ゴールド(HG)」(有森裕子代表、本部・岡山市)が、被災地にある学校の復興支援に乗り出した。HGはカンボジアの子どもたちの教育支援などを行うNPO。「今度は自分たちが日本の役に立ちたい」という声がカンボジアから出始め、国境を越えた支援になりつつある。HGは20日に大阪で行われた「淀川国際ハーフマラソン」で、五輪陸上女子マラソンメダリストの有森代表らが寄付を呼びかけ、176万円を集めた。今後もマラソン大会などの機会を通じて募金活動を継続。被災地の復旧状況を見ながら、HG会員のいる福島県や宮城県の学校を中心に、スポーツ用品の提供やスポーツプログラムの実施を検討している。HGは98年の設立以来、エイズなどで親を亡くしたカンボジアの子どもたちの教育、職業訓練にあたる一方、日本の里親が現地の子どもたちを物心両面から支える活動を進めてきた。
11日の震災後、カンボジアの子どもたちからHG現地事務所に、被災地に暮らす日本人の里親を見舞うカードが届き、スポーツイベントなどで募金活動を行う動きもあるという。有森代表は「私自身、学校の先生と友達に育ててもらったので、少しでも被災地の学校再建に役立ちたい。現地の要望を十分に聞いたうえで、学校や食べ物がないつらさを知っているカンボジアの子どもたちの思いを届けたい」と話している。
■お地蔵さん戻った/宮古の地区住民捜し出す
岩手県宮古市崎山の通称女遊戸(おなつぺ)地区で親しまれていた「お地蔵さん」が東日本大震災の津波で一時行方が分からなくなっていたが、住民の手で捜し出され、数日後に元の場所に戻った。住民たちは集落復興のシンボルにしたいと、損壊した堂の再建を願っている。子供を抱いた地蔵は背丈が約80センチで集落中央の農道脇に建つ堂内に安置されていた。津波で堂ごと流されたが、地元の女性たちが捜し、近くの川でがれきに埋まっているのを見つけた。足の部分が一部欠け、着物や帽子もなくなっていたが、赤いエプロンを付けたままで、姿はほぼ変わらない。元の場所に仮安置され、毛糸で編んだ新しい帽子もかぶせられた。小豆やせんべいも供えられた。地域の女性たちは毎月24日の縁日にはお地蔵さんの前で念仏を唱えてきた。地区で最年長の前川三之助さん(92)は「戦時中、出征兵士の家族が武運長久を祈ったものだ」と話した。1960年代に火災で焼損し、79年に再建されたという。見つけた女性(67)は「一日も早く堂を再建したい」と手を合わせた。