茶室考(5)
■如庵(じょあん)
如庵という名称は、一説によれば庵主織田有楽斎のクリスチャンネーム「Joan」または「Johan」から付けられたという。
■根津美術館に・・・織田有楽斎作の茶杓「玉ぶりぶり」がある。
■振々毬杖(ぶりぶりぎっちょう)
平安期以降の都では、正月になると子供たちが今で言うゴルフを楽しんでいた。打つボールの大きさはソフトボール以上で、鬼の頭や目に見立てて打ち合っていたらしいが、杖(クラブ)の形状は17世紀のスコットランドで牧童たちが遊んでいた木の根っこを利用したゴルフ道具に良く似ている。日本の正月と言えば羽根突きに独楽回しだが、これらの遊びも毬杖と同じように新年の吉兆を占う儀式めいた要素が強かったようだ。初めは「打球楽」と呼ばれた舞の一種だったが、それが転じて穢れのない子供たちによる、明日を占う遊びとなった。それがやがて江戸時代まで受け継がれ、お茶事の世界に取り入れられる。面白いのは、普通の棒なら左右どちらでも打てるが、ゴルフクラブがそうであるように毬杖の場合は左利き専用のクラブ(杖)があって、これを「左毬杖」=ひだりぎっちょうと呼んだことから「ギッチョ」になったと言う説があることだ。つまり、昔の日本ではおそらくインド発祥・中国経由で伝来して来たゴルフの原型としての遊びが現実にあり、それはおそらく穢れを極端に忌み嫌う宮中にあって、怨霊の祟りを祓う儀式として長く後世に伝えられ、茶道の世界にも織田有楽斎作の茶杓として今日に残る「玉ぶりぶり」のように、一種の厄除け効果を狙った銘が付けられた。確かに良く観察してみれば、ゴルフクラブと茶杓はその形状に於いて良く似ている。
茶道具や茶室そして庭に、多くの竹が用いられている。
竹を用いた様々な工夫や造形を参考にしながら、SAVをもっともっと整備していきたいと思う。