いちじく(10)
■若合春侑「無花果日誌」
桐子はカトリックの女子校に通う高校二年生。家の近所のお下劣な環境を脱すべく、県内一のお嬢様学校に入ったのだけれど、お上品ぶった同級生や先生、修道女との毎日は、すっきりしないことばかり。大好きな母さんの死、郁クンとの恋、衝撃の事件。からまわりする自意識を抱えながら裸の自分に向き合い、明日へ走り出す桐子は・・・。みずみずしい十七歳の一瞬一瞬が輝く話題作。
■草市潤「随筆・卵と無花果」
消えてしまうには惜しい言葉と佐賀の方言も交えて駆使される多彩な日本語。本書は「やくたいもない話」に続く六十篇の書き下ろし随筆集。
■吉原杏「無花果の蜜」どうしても思い出せないあの蜜の味
一度知ってしまったそれは、もう止まらなかった。虐げられた人間世界の中で、唯一こころを開放できる官能の嵐の中で、私は夢をみずにはいられない身体になってしまったのかもしれない。私はどうしても思い出せないあの無花果の香りを求めて、男に身体を開いてしまう。そう、私の身体には淫蕩の血が流れているのだ。真に性を知り尽くした女が語る性の遍歴小説。
■Chris Van Allsburg (原著)村上春樹 (翻訳)「まさ夢いちじく」
どんな夢でもかなえてくれるいちじく。ビボット氏が手に入れたいちじくには奇想天外な力があった。そこで彼は世界一の金持ちになっている自分を夢に見るぞ、と決心する。セピア色の柔らかい色調の絵が神秘的な世界へ導く。
■二宮由紀子「ハリネズミのプルプル(2)イチジクの木の下で」
「プルプル、おとうさんは、けっこんします」おとうさんが突然こういったので、プルプルはびっくり。おとうさんのかわりにプロポーズをするためにプルプルは元気よく出かけますが、森の中で迷子になってしまいました。
■山元加津子「いちじくという名の犬と」
ふりむくとそこに、まあるい目をきらきらさせたかわいいワンちゃんがいてほしい。パピヨンの「いちじく」との生活を綴ったエッセイ。トイレ、食事、しつけ、避妊手術など、いちじくとの2年間を描く。
■橋本治「無花果少年と瓜売小僧」
もっと簡単にすべてがうまく行く人間関係だってあったっていいじゃないか!!11月の中頃、突然“家を出たい”と思った無花果少年こと磯村くんは、瓜売小僧こと木川田くんとついに同棲する。美しくも切ない男同士の「同棲時代」の一部始終。
■橋本治「無花果少年と桃尻娘」
結婚したい―。結婚という二つの文字は、闇の世界にキラキラ輝く、完全なる立方体の描象概念だわ。利倉くんと結婚したい榊原玲奈。もう一度木川田くんと暮らしたい磯村薫。桃尻娘も無花果少年も、みんな大人になって、一応の結末を迎える。だから、「またね!!」。
■Jamil Shakely (原著)野坂悦子 (翻訳)「いちじくの木がたおれぼくの村が消えた―クルドの少年の物語 (教科書に書かれなかった戦争)」
イラン・イラク戦争の終末前後にイラクの化学兵器による攻撃をうけ、子どもを含め多くの人たちが亡くなりました。本書が語るのは、この時おとなたちの闘いの犠牲になった一人の少年アラームの短い生涯です。クルドの人びとや作者ジャミル・シェイクリーさんの体験が重ねられ描かれています。
■本山和「いちじくの粒つぶ」
■第3回世界自然・野生生物映像祭「森の女王~イチジクの木の物語~(53分/字幕)」
イチジクとその受粉を手伝うイチジクコバチとの共存関係は数百年前から続いている。アフリカの野生生物と、多くの生命に支えられてきたイチジクの木の物語。イチジクコバチとの見事な共生が実にわかり易く映し出されていた。太古の昔からイチジクの実は生命体を支えてきた。川に落ちた実は魚達のえさとして、サルがかじった後に放り投げた実は再び土に帰って子孫の種となる。僅か数時間の命と言うイチジクコバチ。その間にイチジクの受粉を完成させなければならない。イチジクの実の中で育ち、イチジクのお株を這い出して別のイチジクの実を目指して突撃していく。自らの身体もバクテリアに侵され、余命いくばくもない身体でイチジクの実の中で子孫を残そうともがく。僅か1mmの体長のイチジクコバチの映像が実に鮮明に映し出されている。人間のテクノロジーの凄さを改めて感じる。この映像はイギリスの夫婦が子供達を連れて2年余りの歳月をかけて写したという。子供達は学校へ行けないから家庭教師を同伴して。アフリカの原野でマライ族の子供達と仲良くなっていく。日本の国会では教育改革が論争されているが、教育の原点は親が自らの生き様を子に示すこと。そのことの大切さがこの物語の中にはある。人間も動物も昆虫も植物も、「ひたむきに生きる 」ことの大切さを改めて教えてくれる映像です。
本当・・・自然ってスゴイですよね。イチジクをしばらく追っかけてきましたが、まだまだ学ぶことが多くあります。