「まよ子」の先輩・安子はカメラマンとして歩み始めました・・・キャパやコルベール、ミラーなどの写真家が登場しましたが、日本で注目しているカメラマンがいますので紹介しておきましょう。
旅写真家/三井昌志
1974年、京都市生まれ。東京都在住。神戸大学工学部卒業後、機械メーカーに就職しエンジニアとして2年間働いた後退社。2000年12月から10ヶ月に渡ってユーラシア大陸一周の旅に出る。以降、旅写真家としてアジアを中心に旅を続け、アジアの人々の飾らない日常を撮り続けている。訪問国は36ヶ国。
■自転車 最近の旅ではバイクを使う機会が多くなりましたが、日本では自転車が「足」です。iPodで80'sポップスを聞きながら、自転車で近所の河原を駆け抜けています。八王子市に引っ越してからは、八王子と都心の間を自転車で往復したり、羽田空港まで行ってみたりと、たまに長距離を移動したくなる衝動に駆られます。日本でバイクに乗らないのは、ヘルメットを被らなくちゃいけないし、交通規則を守るのが面倒だからです。「交通規則? それは何ですか?」という感じのアジアの国々を旅していると、日本の厳しいルールがあまりにも窮屈に感じてしまうのです。
■写真家を名乗っておきながらこう言うのも何ですが、僕は写真についてそれほど多くの知識や経験を持っているわけではありません。写真を専門的に学んだことはないし、誰かに師事したこともありません。撮影スタイルは全くの我流ですし、旅をしている時以外はあまり写真を撮りません。僕にとって「旅」と「写真」は、ひとつの軸で結ばれた車輪のようなものです。見知らぬ町を歩いていると写真を撮りたいという気持ちが湧いてくるし、写真を撮るという目的があるからこそ旅を続けられるのだとも思うのです。作品を見ていただければわかるように、被写体のほとんどが人物です。アジアを旅していると人々の表情の豊かさにひきつけられるし、美しい風景や建物なんかは、それが専門の上手な人に任せておけばいいやって思ってしまうんです。僕は現地の言葉が話せないし、ほとんどの場合相手も英語を理解できません。でもレンズを向けてシャッターを切ることによって、言葉を必要としないコミュニケーションを取ることが出来る。カメラは僕にとって(不器用で不完全ではあるけれど)重要なコミュニケーションの道具でもあるのです。最初の旅から現在に至るまで、ずっと一眼レフデジタルカメラを使ってきました。2001年の旅ではEOS-D30を、2004年の旅ではその後継機であるEOS-10Dを使い、2005年の旅ではEOS-20Dを使いました。2006年から20008年はEOS-5Dを、2009年からはEOS-5Dmark2を使っています。デジタルカメラにはフィルムカメラにはない利点があります。「ランニングコストが一切かからない」「荷物が軽量になる」「撮った写真をすぐに確認できる」「感度を自在に変えられる」といったことですね。それは長く旅をする僕のような人間にとって、特に大きなメリットです。だから今後もデジタルカメラを使い続けることになるでしょう。
そして、三井さんがお気に入りのカメラマンは・・・故人となってしまったアンリ・カルティエ・ブレッソンです。一瞬の中に物語が封じ込まれたようなモノクロスナップの数々は、いつも僕の想像力を刺激してくれます。
そして、もう一人・・・スティーブ・マッカリーの写真には、いつもため息が出ます。色も光も人々の表情も、どれを取っても素晴らしい。世界はこんなにも美しく、そして力強いものなんだと思い知らされます。ポートレートばかりを集めた写真集「Portraits」、それに雨期の国々の表情を集めた「Monsoon」。どちらもお勧めです。
先日、日本にも上陸した・・・台風