新連載を「外伝」としたのは、まさに今「カムイ外伝」が上映されているからである。なぜ今「カムイ」なのか・・・
「まよ子」連載において、後半部分で“風”にまで発展した。様々な風についてのイメージをふくらませている中、やはり「忍者」が浮かんだ。残念ながら本編に盛り込むことができなかったこともあって、「まよ子外伝」として取り上げておきたい。
■「カムイ外伝」とは
1964年に白土三平による「カムイ伝」連載が開始され、翌65年に“番外編”として「カムイ外伝」が誕生した。反差別、反権力などの社会思想が色濃く映し出されている「カムイ伝」に対し、「カムイ外伝」では、抜忍として逃亡を続けるカムイの内面を深く描いている。
まさしく、「外伝」は「本編」にはない“素顔”であり“横顔”である。外と内との関係において“ルビンの壷”なのである。
■そもそも「カムイ」とは
カムイ(kamui)は、アイヌ語で神格を有する高位の霊的存在のこと。アイヌ民族の伝統的信仰は日本神道に近いとする説もあり、その場合多神教に分類される。カムイが日本語のカミと共通起源の語彙であるとする説もあるが、現代日本語の「かみ」とは多少意味が異なり、「霊」や「自然」と表現してもおかしくない。一方、日本神道の「八百万の神」も、アイヌの信仰文化と同様の「アニミズム」の特徴があるという説も根強くある。神威や神居と当て字されることもある。
「まよ子」において、様々な遊牧民(ノマド)を取り上げてきた。また、染色という表現を中心に展開してきた。そういう面からも、日本における「アイヌ」民族のことにふれられなかったことが心残りであった。