まよ子(23) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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「お腹もふくれたし、新しい目標もできたし・・・」


「まよ子」はうきうきと資料整理を続けた。父も、そんな様子をうれしく見守った。

突然、作業をしていた父の手がとまった。


「お父さん、お父さん・・・」


返事はない。そして父は、段ボール箱の一番底から、厳重に包まれた書類を取り出した。「まよ子」は覗き込んだ。



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N・A・P・O・L・・・ナポレオン?」

「そう、ナポレオンだ」

「どうして、古代エジプトと関係あるの」

「ナポレオンも、エジプトを調査していたんだ」


「まよ子」は知らなかった。どうしてナポレオンがエジプトを調べる必要があったのか、そして何を発見したのか、発見できなかったのかもしれない、ひょっとしたら、たっちゃんは・・・「まよ子」は頭がクラクラしてきた。



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「す、すごい」


父の大きな声で我にかえった「まよ子」は、父が床に並べた資料を凝視した。


「ルビンの壺よね、お父さん」

「そうだ、ルビンの壺だ」



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その夜、父からナポレオンが発見したロゼッタ・ストーンについての話などを聞くことができた。「まよ子」はベッドに入ってからも、興奮して眠れなかった。


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「たっちゃんは、ナポレオンが発見したルビンの壺にたどりついた。ナポレオンは“ルビンの壺”を知らなかったはずだから・・・」


「でも、たっちゃんはこの壺の意味を知っていたはずだから・・・」

「ナポレオンも気付かなかった何かを発見したに違いない」

「きっと、ぜったいに、間違いない」



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静かにベッドを降りると、書斎に向かった。まだ電気がついている。


「お父さん?」

「なんだ、よっこか?」

「だろうな、眠れないよな」


父も同じだった。二人は、黙々と段ボール箱の資料を探った。


「ナイル川って、2つあるんだね」

「そうだよ、知らなかったのかい」


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しばらくしてから


「よっこ、ひょっとしたらナイル川・・・」


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「いや、エジプトすべてが“ルビン”の壺かもしれない」


あまりにも大きなスケールで、「まよ子」は唖然とするしかなかった。その夜は一睡もせず、明け方近くまで父から青ナイル・白ナイルのこと、太陽神のことなどを聞かされた。「まよ子」は、正直、もうついていけそうにないと感じた。それは、睡魔に負けたからではなく、心からそう思った。そして、「染たつ」資料館こそが自分の仕事であると、より鮮明になったのである。


・・・つづく



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「七宝編」ようやく編みあがりました。結構、時間がかかり、手にも豆ができるほどです。


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とりあえず、キャンバス置場前にぶらさげました。