まよ子(14) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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父・小池修は、新聞社に勤めていたので、急に身を乗り出した。

「フリーのカメラマン?」

「いえ、読々新聞に所属していたようですが・・・」

「安達というカメラマンは居たかなあ・・・」


◆すくらんぶるアートヴィレッジ◆(略称:SAV)    若い芸術家たちの作業場・みんなの芸術村-よみよみ1

安子はこまった表情で、しかしきっぱりと言い放った。


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「父は、安達ではありません。木場浩一と言います」


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聞いてはならないことを聞いてしまったことを、テーブル全員が瞬時に理解した。

「ごめん、事情があるようだね」

「いえ、いいんです。私が小学校の時、両親は離婚しました」

「そうか、それでお父さんのことは・・・」

「今でも愛しています。そして、いつも父のカメラを肌身離さず持っています」


◆すくらんぶるアートヴィレッジ◆(略称:SAV)    若い芸術家たちの作業場・みんなの芸術村-こんた1

そう言うと、バッグから1台の古いカメラを取り出した。


「それ、安子ときどき使ってるやつじゃないの」

「そうよ、今までだまっていてごめんなさい」

「だまっていたなんて、私そんな古いカメラじゃダメでしょなんて、私の方こそあやまらなきゃ」

そんな二人の会話も耳に入らない様子で、父は突然大声でマスターを呼んだ。

「マスター、ちょっと来てくれ」

あわてて厨房からマスターが飛び出してきた。

「料理に何か・・・」

「違うよ、このカメラ見てくれよ」

マスターは眼を丸くした。

「どうしたんだよ、このカメラ」


◆すくらんぶるアートヴィレッジ◆(略称:SAV)    若い芸術家たちの作業場・みんなの芸術村-こんた2

そして、マスターはこのカメラがロバート・キャパも使用していたものであることをみんなに語ってきかせた。

「そんなすごいカメラだったんですか」

「そうだよ、おじさんも実物見るのははじめてで、感動したなあ」

安子は、本当にうれしい顔で、両親のこと離婚のことを静かに語り始めた。

全員そんな安子をとても身近に感じ、一つの家族のように。

・・・つづく


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SAVの藍畑に・・・


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藍の花のようです。もう、そんな季節になったんですねえ・・・