父は先ほどからマスターと話し込んでいる。
「お母さん、何か相談してるの」
「そうよ、もうおじいちゃんが亡くなって3年、そろそろ荷物も整理しなきゃね」
「じゃ、たっちゃんの部屋片付けちゃうの」
「そうよ、いろいろ大切なものやお借りしているものもあるのよ」
「まよ子」は考え込んでしまった。祖父との思い出がいっぱい詰まった部屋が無くなってしまう。
「あの文箱はどうするの?」
失言であった。「まよ子」は思わず口にしてしまい、母の表情をうかがった。
「よっこ、あの文箱知ってたの」
「うん、画集を引っ張り出したら後ろに」
「そう、じゃ浮世絵を見たのね」
「お相撲の浮世絵でしょ」
「そうよ、お相撲の浮世絵」
母・千恵子は、「まよ子」の表情をうかがった。本当に大相撲の浮世絵だけを見たのだろうかと。
「まよ子」は、母はあの浮世絵のことを本当に知っているのだろうかと。
しばらくの静寂、そしてビートルズの曲が流れた。
「今度の日曜日、おじいちゃんの部屋を片付けるから手伝ってね」
「いいわ、でも私欲しい本がいっぱいあるの」
「でも、おじいちゃんがマスターの山野さんからお借りしている本もあるのよ」
マスターは料理を運びながら
「いやいや、もう私には必要ない本ばかりだから、よっこが欲しいならもらってくれてもいいよ」
「うれしいなあ、安子さんも日曜日うちに来ない?」
「よっこ、お手伝いさせるつもりでしょ」
「ばれたか、でも素敵な画集がいっぱいあるんだから」
「まよ子」は、安子にあの浮世絵のことを相談してみようかと考えていた。
・・・つづく
会員さんが、ペットボトル工作にチャレンジしました。
ペットボトルの注ぎ口部分をハサミで切り、ペイント・スプレーしました。
細い竹をガスコンロであぶって曲げ、茎にしました。葉っぱもペットボトルで作り、針金でしばりつけています。
完成して大満足です。
ペットボトル・フラワーを壁にぶらさげるためのヒモも編みました。