「彫刻の森美術館」を満喫した二人は、両親と合流するために箱根登山鉄道に乗った。
「強羅」でケーブルカーに乗り換える。窓からの景色は「まよ子」を喜ばせた。
芦ノ湖畔で遅い昼食をとり、お土産にと「寄木細工」の店に立ち寄る。職人さんの技に「まよ子」は釘付けになった。
「お嬢ちゃんには、こんな箱はいかがかな」
「すてき、まよ子これほしい」
祖父は目を細めて
「いいよ、でもその箱があけられるかな」
「まよ子」が悪戦苦闘している様子をながめながら
「たっちゃん、何年ぶりだろうねえ」
「元気そうじゃないか、もう20年以上になるかなあ」
「たか子さんは、いっしょじゃないのかい」
「先に逝っちゃたんだよ、苦労かけたから」
「そうかい、いやなこと思いださせちゃったねえ」
そんな会話も耳にはいらないで「まよ子」は
「たっちゃん、やったよ」
職人さんと祖父は目を丸くした。
「たっちゃん、この娘はたいしたもんだねえ」
「おいらの孫だからねえ」
「たっちゃん、どうしてこのおじちゃん、たっちゃんって知ってるの」
祖父はこまった様子で
「さっき、よっこがおじいちゃんのこと、そう呼んでたから」
そう言うと、あわてて木箱の代金を支払って店を出た。
「この木箱はね、“秘密箱”とか“からくり箱”って言うんだよ。だから、このお土産のことは内緒にしておこうね」
「まよ子」は祖父と二人だけの秘密ができて、ぎゅっと“秘密箱”をにぎりしめた。
そんな箱根のことを思い出し、「書斎」で見つけた美しい蝶の文箱の“からくり”を見抜いたのである。
「よし、あいたわ」
「隠し抽斗」から出てきたのは、浮世絵であった。しかし、「まよ子」は眼をそむけ凍ってしまった。
見てはならないものを見てしまったという罪悪感と、これまで祖父に抱いていた温かな思いが瞬時に凍り付いてしまったのである。
どれくらいの時間が経っただろうか、スローモーション映画のように浮世絵を丁寧にそろえ、文箱に納めて本棚の奥へと押し込み、画集をもどした。
台所で「まよ子」は、残してあった牛乳をごくりと飲み干した。・・・つづく
共同作業場にどっさりと、ペットボトルを運び込みました。
そしてボチボチと、「輪っか」のように切断しています。さてさて、何になるのでしょうか?ヒントは・・・冬支度です。
ペットボトルの底の部分は「コマ」にして・・・リサイクル。上の部分も何かに使いたいのですが・・・現在、頭をひねっています。