まよ子(6) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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「まよ子」がこの文箱の「からくり」を見抜けたのは、祖父80歳のお祝いを兼ねて、元気なうちに家族みんなでと、箱根温泉旅行にでかけた賜物であった。


「まよ子」は、祖父といっしょの旅行に終始興奮気味であったが、行先を箱根に決めたのは、なんと母であった。


◆すくらんぶるアートヴィレッジ◆(略称:SAV)    若い芸術家たちの作業場・みんなの芸術村-はこね1

「よっこ見てごらん。お山がお顔に見えるよ」


「ほんとだ。お鼻からけむりが出ているみたい。たっちゃんといっしょ」


冠ヶ岳である。富士山よりも「まよ子」の心をとらえてしまったことに、祖父は困惑の様子であった。


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母の強い希望で開館したばかりの「箱根ラリック美術館」に行くことになったが、「まよ子」は広い公園のようなところを望んだため、祖父が「彫刻の森美術館」に連れて行ってくれることになった。


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広い敷地に様々な彫刻があり、その一つ一つがおもしろくて、祖父は「まよ子」のはしゃぎぶりに眼を丸くした。少し疲れが出てきた頃、「ピカソ館」に入る。祖父の目的はここにあった。


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もちろん、作品の数々は「まよ子」を喜ばせたが、疲れを忘れて見入っていたのはダグラス・ダンカン氏の写真であった。「まよ子」は気付かなかったが、祖父の眼に涙が光っていた。


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「よっこ、気に入ったようだね」


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「ピカソって、子どもが好きだったんだね」


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「そうだよ、おくさんのことをとても愛していたんだよ」


しばらく二人は無言、夢中になった。


そして


「でも写真はね、事実を写すけど真実はわからない」


「まよ子は、むずかしいことわからない。けど、この写真は本当よ」


祖父は満足だった。「まよ子」の見る眼を確かめたかったのである。


・・・つづく


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こんなプールを買ったのですが・・・紹介を忘れていました。と言うのも、急に涼しくなってしまって、孫を遊ばせようと思っていたのに実現できず、来年までしまっておくことにしたからです。残念。