オランダ絵画黄金期における最大の巨匠レンブラントの名声を確立した集団肖像画の最初の傑作『トゥルプ博士の解剖学講義』。本作は1632年におこなわれたアムステルダム外科組合主任解剖官ニコラス・トゥルプ博士の公開解剖学講義を記念し、当時レイデンからアムステルダムへと移住したばかりのレンブラントへトゥルプ博士を始めとした数名の人物から私的に依頼され制作された作品で、既にレイデンでの活躍が話題になっていたレンブラントの名声を確立した作品として知られている。制作された当初はアムステルダム外科医会館の一室に飾られていたと推測され、1828年に当時のオランダ国王ウィレム1世が購入しマウリッツハイス美術館の所蔵されることになった来歴を持つ本作では、集団肖像画における当時の最も一般的な表現であった画面の中に描かれる複数の人物を統一的に羅列する手法を用いず、おこなわれた解剖学講義をひとつの場面として画面の中で描き、そこへトゥルプ博士を始めとした登場人物が実際に講義をおこなっているかのような臨場感に溢れる表現をおこなっている。このような表現手法は当時の集団肖像画としては極めて珍しく、画家自身の、そして黄金期を迎えつつあったオランダ絵画における集団肖像画様式の重要な転換期となったことも指摘されている。解剖学の講義をおこなうトゥルプ博士は神から授かった身体の中で最も高貴で精密な機関とされている腕の筋肉を引き上げ、その後ろでは画面に登場する人物の名簿を持った男がこちらを向いている。また解剖される処刑された犯罪者の死体は光に溢れ神々しさすら感じられ、神の創造物である人体を解剖することによって神の御言葉を知ることを意味しているとの解釈がなされている。
ダヴィンチの解剖スケッチつながりで、第4ページにはレンブラントの解剖シーンの作品を2枚紹介しました。
「デイマンの解剖講義」のデイマンは先の「トゥルブの解剖講義」の画面中央にいた人物で、この腹と頭を開かれている死体の人物もはっきりしていて、盗みの罪で絞首刑になったフォンテインという青年だそうだ。デイマンは脳の組織を持ち上げている。すでに死体の腹は切開され、穴が開いた状態。傍らにいる人物は、切り取られた頭蓋骨を持っている。これも妙に生々しい。
ブラジルの外科医ジルソン・バレットと芸術愛好家のマルセロ・ド・オリービフが、ルネッサンス時期の芸術家ミケランジェロがバチカン市のシスティーナ礼拝堂の天井に描いた絵画の中に、人体解剖の暗号が隠されていると主張している。『アダムの創造』、『天地創造』など聖書の場面が描かれている世界で最も有名な宗教画の中には、人体解剖の知識が38枚の壁画のうちの34枚に織り込まれていると指摘した。15年前にも、アメリカの医者フランク・マッシュベーガー氏が、『アダムの創造』の中の神とその周囲を囲む天使たちの画面が、まるで人間の脳の切断面のようだと指摘している。一部の手がかりとなる壁画、例えば『アダムの創造』あるいは『イブの創造』を例に挙げると、描かれている枝の部分はまるで人間の気管支のようであり、側面からみた神の紫の衣も人間の肺のように見える。また、『リビアの巫女』の絵を逆さまに見ると、巫女の衣と彼女の胴体の底の部分が、腕の骨のように見える。ミケランジェロは他のルネッサンス期の芸術家たちと同様、人体の解剖および人物画に熱中していたことはよく知られている。芸術家が“物”を絵画の中に隠す例はめずらしくない。
ということで、ミケランジェロの作品も掲載しました。
解剖図ではありませんが、以前に制作した歯の構造白Tシャツを染めました。白のままだと、あまりにも生々しいので・・・
染料は、ぼちぼちもう染まらないかなと思える青です。うっすらとブルーに染まり、柿渋や他の色染料に影響することなく全体を染めることができました。
この染料は70℃以上に温めてから使用します。
寸胴鍋の中に染料容器を入れて湯煎する方法で温めてから、布を入れてかき混ぜます。
そして・・・ていねいに水洗いします。
柿渋「豆絞」も染めました。
天日干しをして・・・完成です。