きらっ(188) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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ひゃくねず(百鼠)2


灰色(はいいろ)は物を燃やした際に出る灰のような色。例えば、白と黒の着色材(colorant)の混合によって作ることができる。無彩色と呼ばれるが、普通は若干の色味を有する。

灰色の着色材には普通、黒色顔料と白色顔料を用いて、灰色顔料は用いない。市販の灰色の絵具はしばしば、黒色と白色以外にも有色顔料を含む。

単独で灰を呈色する顔料は殆ど存在しないが、天然スレート粉を挙げることが出来る。練成に時間の掛かる顔料である。天然スレート粉は、ヘンリー・デービスが考案した、デービスグレーとして知られる。ただし、天然スレート粉は品質が一様ではなく管理が困難であり、現在では別の顔料によって色出しするなどの対策が採られている。なお、セメントから作られるスレート板は、粉砕しても顔料の適性を具えない。


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葬儀の熨斗袋に書かれる「御霊前」の文字は、遺族の悲しみが早く薄まるようにとの願いを込めて(あるいはあまりの悲しみに涙で墨も薄まるという意味で)、薄墨によって書く。薄墨の色は灰色である。喪中はがきなどでも、灰色(または銀色)の枠でかこったデザインのものが使われる。またこの連想から、テレビなどでは訃報記事のタイトルやイメージカラーを灰色にするケースが多い。


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イギリス英語ではgrey、アメリカ英語ではgrayと表記する。


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鼠色は、まさに生き物の「鼠」そのものの色で、昔から言われている「四十八茶百鼠」の言葉は、茶とともに鼠色が私たちの生活のごく身近にあり、多くの場面で用いられていることを、うまく表現している格言と言える。日本の文化は、陰影が基本とも言われていますが、光と影を生かし、特に影の部分の色が侘び・寂の原点で、灰色や鼠色はまさに、陰影の暗さの文化を象徴する色である。


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灰色と鼠色の関係では、鼠色の名称が用いられるようになるのは江戸初期になるが、灰色は天平勝宝二年頃、「銀塵(ぎんぢん)」二分二鉄界料という文章が正倉院文書に残されており、これが灰色に近い色と推測される。灰色は古くは墨色に含まれた色で、墨色を5種類に薄め、濃い順に焦・濃・重・淡・清階調に分け、これら薄めたすべての色を灰色と表していたようである。灰色は、古くは「鈍(にび)」と言われていたが、平安時代は不吉・不浄の色として、墨とともに好意的に使われることなく、後に禅の思想の影響を受けるまでの間は、単に「色(いろ)」と表現されていたようである。


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歌舞伎や茶道、また古い佇まいに接するとき「侘び・寂」を同一語として扱うことが多いのだが、「寂」の言葉は室町時代の色彩と深い関わりをもっており、鎌倉時代の「張」に変わって出現した。寂の精神は、静寂に深い喜びと老い枯れて味わいのあることの、幽粋と枯淡を意味し、色で表すと、鮮やかさを抑えた水墨画がもっている無彩色であり、墨の濃淡と湿潤であり、灰色の「寂」はこのような背景で位置づけられているようである。