魚革(1)
■ウナギ Eel
魚の革の中で1番利用されているのはウナギです。手触りは油のおかげで柔らかくしっとりとしています。戦中・戦後、ブリの革をなめして牛革の代用品として使用していました。軽くて薄いのが特徴で無染色品には、茶色っぽいグレーのラインが見られる。通常単体の革ではなく、パッチワークのように縫い合わせシート状にして使われることが多い。革が厚い魚はなめすことができます。
ウナギ革は英語でイールスキンと呼ばれ、昨年、イタリアの超有名デザイナーズ・ブランドであるドルチェ&ガッパーナが女性の秋冬コレクションでブーツやハンドバッグの素材に採用してちょっぴり注目を集めました。ただし、ウナギは採れる革の量もたかがしれているので、ブーツやバッグ1つに何十匹ものウナギが使用されるようです。ちなみに、日本で蒲焼にする時には皮ごと食べますが、イタリアでは皮を剥いて使うようで、そのため皮が出るということらしいです。
ちなみにお隣韓国の名産物には「ウナギ革」でつくられたお財布やバッグがあり、結構人気があるそうです。ところがこの「ウナギ革」、実は蒲焼にされるあのウナギではなく、「ヌタウナギ」という、まったく別の生き物の革です。
■ヌタウナギ/メクラウナギ目メクラウナギ科ヌタウナギ亜科ヌタウナギ属
「ウナギ」と名が付いている所からウナギの一種を想像する方もいるかもしれないが、別種でウナギとは縁もゆかりも無い魚です。
このヌタウナギ、メクラウナギと言った仲間は硬骨魚類ではなく「円口類」と言う原始的な生物の仲間に分類され、この仲間は総じて顎を全く欠落していると言う特徴がある。そのため獲物を捕食する行為が口の構造上不可能である事からこのヌタウナギは弱っている魚などに吸い付きその肉を削り取るようにして食べると言う他の硬骨魚類にはない一風変わった捕食行為をとる。またこのヌタウナギの名前の由来でもある「ぬた」とはこのヌタウナギの体表から分泌される非常に粘度の高い粘液の事を言う。この粘液の分泌量が多い事からヌタウナギと呼ばれる事になったらしいです。