お魚遍路(5)
■「タカハヤ(高鮠)」コイ科ウグイ亜科アブラハヤ属Phoxinus oxycephalus jouyi
アブラハヤに比べ太く短い体型をしている。体側の暗色縦帯はあアブラハヤより不明瞭。体側に不規則な斑点が散在する。
体長7~13cm。静岡県以西の太平洋側・富山県以西の日本海側本州、四国、九州、朝鮮半島の南・西岸域、中国大陸東北部に分布。アブラハヤによく似るが、尾柄高が高く、体型的には寸胴である。
暗色小斑点が体中に散在するが、アブラハヤでは、これが全く無いか、あっても体側から腹面にかけてで、背面には全く無い。体色はアブラハヤに比べ黄色味が強い。大型個体を比較すると、タカハヤの方が小振りである。分布域が重なる場合、タカハヤが上流、アブラハヤがその下流と棲み分けている。混在する場合、紛らわしいものが居る地域と、明確に区別できる地域とがある。
どちらの種も悪食で渓流釣りの嫌われ者である。不味の為、あまり食用とされないが、食べる地域もあり、この場合、冬季に限定される。四国地方では、「モツゴ」「ムツゴ」と呼ばれることがあります。
弘法大師の伝説とかかわりの深い魚。玉川のほとりで小魚を捕り、串刺しにして焼いて食べようとしていた山男を見つけた大師は、小魚を買い取り、清流に放してやりました。すると、死んでいたはずの小魚がすいすいと泳ぎ始めたので、男は殺生の罪を悔い、魚を捕るのをやめました。小魚の斑点は串の跡といわれ、今でもお山の人はこの魚を食べません。
魚にまつわる空海さんの話があったので、またまた嬉しくなってきました。