お魚遍路(4)
大好きな彫刻家・籔内佐斗司さんの「真魚坊」という作品です。
残念ながら読み方は「まなぼう」です。しかし、空海のことを少しは意識されていたのではないかと思うのですが・・・
■空海(弘法大師)は最澄(伝教大師)とともに、旧来のいわゆる奈良仏教から新しい平安仏教へと日本仏教が転換していく流れの劈頭に位置し、中国から真言密教をもたらした。書道家としても能筆で知られ、嵯峨天皇・橘逸勢と共に三筆のひとりに数えられる。
「弘法大師」とは空海の諡号であるが、「弘法大師」と「空海」とは必ずしもイコールではない。弘法大師に関する伝説は、北海道を除く全国に5000以上あるといわれ、歴史上の空海の足跡をはるかに越えている。柳田国男は大子(オオゴ 神の長男を意味)伝説が大師伝説に転化したという説を提出しているが、他に中世、全国を勧進して廻った遊行僧である高野聖の存在を忘れるわけにはいかないだろう。ただ、やみくもに多くの事象と弘法大師が結び付けられたわけではなく、やはり空海の幅広い分野での活躍、そして空海への尊崇がその伝説形成の底辺にあることは疑い得ないことである。